車社会のフランスでは、日本と比べ飲酒運転への罪悪感が少なく、運転の必要があってもお酒を飲む人が多い傾向があります。
今回はそんなフランスの飲酒運転事情について覗いてみましょう。
目次
車の運転と飲みすぎ
今日の花子さんは自宅でソワレを開催中。車で来ているマリーさんが帰りの挨拶をしてきましたが、どうやら飲みすぎのようです。
会話
Marie: Hanako, on ne va pas tarder à partir. Merci pour la soirée.
花子、私たちはもうすぐお暇するわ、楽しい夜をありがとう。
Hanako: Avec grand plaisir.
楽しんでもらえてよかったわ。
Mais attends, tu as l’air assez soûle. Je crois que vous êtes venus en voiture ce soir.
でもちょっと待って、あなた、結構酔ってるみたいよ。あなたたち、今晩は車で来たとおもうのだけれど。
Marie: Oui, mais ne t’inquiète pas. C’est mon mari qui conduit.
ええ、でも心配しないで。運転するのは夫だから。
Hanako: Ah bon? Je l’ai vu boire quelques verres, lui aussi.
そうなの?彼も何杯か飲んでいたのを見たけど。
Marie: Il tient bien l’alcool. En plus, tu sais, en France, on peut prendre deux verres de vin même si on conduit.
彼はお酒に強いのよ。それに、知ってるでしょ、フランスでは運転する時でもワインを二杯飲んでいいのよ。
Hanako: Oui, je sais…dis, tu ne veux pas rester dormir?
ええ、知ってるけど…ねえ、家に泊っていかない?
Marie: Ne t’embête pas, ça va aller.
そんなのいいわよ、大丈夫。
Hanako: Sinon, j’appelle un taxi? Vous n’avez qu’à récupérer la voiture demain.
それか、タクシー呼ぼうか?車は明日取りに来ればいいじゃない。
Marie: Bon, ok, on rentre à pied.
もう、分かったわよ、歩いて帰るわ。
Hanako: Tu en es sûr?
本当に?
Marie: Oui, enfin, il n’a plus beaucoup de points aussi.Si la police nous arrête pour conduite en état d’ivresse…
ええ、それに、彼はもうあまり(免許の)点数がないんだったわ。もし警察に飲酒運転で捕まったらね…
ポイント
on ne va pas tarder à partir
「ne pas tarder à ~」で「もうすぐ~をする」という意味。「on ne va pas tarder à partir」はだれかのお宅にお邪魔して、もうすぐ帰ろうという時によく使われ、「もうすぐお暇します」と伝えたいときに便利な表現です。
帰ることを伝えるには「Je pars」や「Je m’en vais」 等も使えますが、こちらだと今すぐ出発します、というニュアンス。「on ne va pas tarder à partir」のほうが直接的でなく柔らかいニュアンスになります。
avec grand plaisir
「avec (grand) plaisir」は「喜んで」という意味で、何かをお願いされた時の返事としてよく使われます。
A: C’est très bon ton gâteau. Est-ce que tu peux me donner ta recette?
あなたのお菓子とっても美味しい。レシピを教えてくれない?
B: Avec plaisir.
喜んで(教えるわ)。
他にも文中のように、何かしてあげたときのお礼の言葉に対する返事として「喜んでもらえて良かった/嬉しい、どういたしまして」というニュアンスでも使います。
A: Grâce à ta recette de gâteau, on m’a surnommé cordon-bleu. Merci beaucoup.
あなたのレシピのおかげで、料理上手って言われちゃった。どうもありがとう。
B: Avec plaisir.
どういたしまして。
soûl
「soûl(e)」もしくは「saul(e)」は話し言葉で「酔った」という意味。きちんと話したい時には「ivre」を使いましょう。
「飲酒運転」はこの「ivre」の名詞形「飲酒運転」はこの「ivre」の名詞形「ivresse 酔い」を使い、「conduite en état d’ivresse」といいます。
tenir l’alcool
「tenir l’alcool」は「お酒に強い」という意味。「お酒に弱い」だと「ne pas tenir l’alcool」です。「tenir」は様々な意味がありますが、この場合は「~に耐える」という意味でつかわれます。
フランスの飲酒運転
いくつかの例外はありますが、フランスで飲酒運転として罰せられるのは、アルコール血中濃度が0.5g以上から(呼気に含まれるアルコール濃度は0,25 mg/L 以上)。
日本の場合は呼気に含まれるアルコールが0.15mg以上で違反となるので、日本の倍とまではいきませんが、フランスは飲酒運転に関する規制が日本よりも緩くなっています。
このアルコール濃度は、その人の体重や食事の有無などによって変わるので一概にはいえませんが、大体ワイン二杯が目安といわれています。
飲酒運転に抵抗のないフランス人
ワイン二杯は目安であり、二杯なら飲んでも危険が無いわけではありません。
しかし法律でアルコール血中濃度が0.5g以下なら違反でないと決められているため、ワイン二杯程度なら運転OKと思っているフランス人は沢山います(自分はお酒に強いからもう少し飲んでも大丈夫、と思っている人も)。
そしてパリなどの大都会以外では車社会のフランス、友人宅のソワレに行くのに車必須ということも珍しくありません。
ソワレ=お酒が登場しますが、車で来ているからと全く飲まないというゲストはほとんどいませんし(元々お酒に弱くて飲まないという人はいますが)、ホスト側も車のゲストにも普通にお酒をサービスします。
もちろん運転する人は飲みすぎないように注意しますが、日本人の感覚だと、こんなに飲んで大丈夫なのだろうか…と心配になってしまうのです。
まとめ
フランスに住んでいると、友人の運転でソワレに連れて行ってもらうということもあるでしょう。
そんな時、運転手の友人にお酒を飲むなとは言いにくいものですが、どの位飲んでいるかなどは確認しつつ、飲みすぎてしまっている場合は、ソワレ開催者のお宅に泊めてもらうなど、しっかり自衛してくださいね。
※2020年12月の情報です。