お友達の身内にご不幸があったなど、フランスで生活しているとお悔やみの言葉を述べる機会に遭遇することもあるでしょう。
今回はそんな時に役立つフランスのお悔やみの言葉について覗いてみましょう。
フランス語でお悔やみを伝えるには?シーン別フレーズ
目次
フランス語の「お悔やみ申し上げます」
フランス語でお悔やみの言葉を伝えるとき、口頭では何といえばいいのでしょうか?まずは例文を確認しましょう。
会話
今日のマリーさんは花子さんに電話をかけているようです。
Marie: Je suis désolée de ne pas avoir répondu à ton appel hier.
昨日は電話に出れなくてごめんなさいね。
J’étais à l’enterrement d’un de mes proches.
身内のお葬式に行っていたものだから。
Hanako: Oh, toutes mes condoléances.
まあ、お悔やみ申し上げます。
Marie: Merci. C’était pour mon oncle que tu as déjà vu autrefois. Il était malade depuis longtemps.
ありがとう。昔あなたが会ったことのある叔父のお葬式だったの。長いこと病気をしてたから。
Hanako: Je ne savais pas…je suis vraiment désolée…
知らなかったわ…本当に残念ね…
Et toi, ça va? Ce n’est pas trop dur?
それで、あなたは大丈夫?つらい思いをしていない?
Marie: Un peu dur, mais ça va aller, merci.
少しつらいけど、大丈夫よ、ありがとう。
Hanako: Si je peux faire quelque chose pour toi, n’hésites pas à me dire. Je suis là pour toi.
もし、あなたのために何かできるなら、遠慮せずに言ってね。私はここにいるからね。
お悔やみを伝えるフランス語の基本的な表現
フランス語のお悔やみの言葉で、まず覚えておきたい表現が2つあります。例文にも登場した表現を確認しましょう。
toutes mes condoléances
まず1つ目は「toutes mes condoleances」で「お悔やみ申し上げます」という意味。お葬式や訃報を耳にした時などに一番使われるフレーズです。
「condoléances」は「悔み、弔辞」という意味で、常に複数形で使用する点に注意しましょう。
この表現は口頭でお悔やみを伝えるときだけでなく、メッセージカードに一言添えるとき、メールなどの文章でお悔やみを伝えるときなど、様々な場面で使えます。
フランス語でお悔やみを伝えたいけれど、何といえばいいかわからないというときは「toutes mes condoleances」と、この一言を伝えればOKです。
口頭でお悔やみを伝えるとき「toutes mes condoléances」だけでは短くて何となく言いにくいという場合は、下記のような表現を使いましょう。
Je te(vous) présente mes condoléances.
お悔やみ申し上げます。
「présenter quelque chose à quelqu’un」は「(人に)~を紹介する/提示する」という意味ですが、お悔みやお祝いなどの気持ちを伝える時にも使う表現。
「Je te(vous) présente mes condoléances」は直訳だと「私のお悔やみの気持ちをあなたに伝えます」となります。
Mes sincères condoléances.
心からのお悔やみを申し上げます。
こちらも短いですが、口頭でもよく使われるお悔やみのフレーズです。「sincère」は「誠実な、率直な」という意味。ここでは「心からの」と訳しています。
je suis désolé(e)
謝るときによく使用する「je suis désolé(e)」という表現もお悔やみの気持ちを伝えるのに使えます。
「désolé」には「残念に思う、悲観にくれた」という意味もあり、亡くなった方を悼む気持ちも表現できますよ。
上記でご紹介した「condoléances」を使うお悔やみの表現は日ごろ使うことがないため、言い慣れなれずに気持ちがこもらない言い方になってしまうこともあります。
そんな場合は、この「je suis désolé(e)」のように言い慣れた表現を使うほうが、相手にあなたの気持ちが伝わることでしょう。
Je suis vraiment désolé(e).
Je suis sincèrement désolé(e).
さらに深い悲しみの気持ちを伝えるなら、上記のように「vraiment 非常に」や「sincèrement 心から」を加えてもいいですね。
お悔やみの言葉に添えたいフランス語
お悔やみを伝えるとき、お悔やみの言葉のほかにも、相手の事を心配したり、励ましたりする言葉も添えたいですよね。
続いてはお悔やみを伝えた後に、よく使われるフランス語表現をご紹介します。まずは例文に登場した表現から見てみましょう。
Et toi, ça va?
「Et toi, ça va?」は「あなたは大丈夫?」という意味で、近しい人を亡くして悲しい思いをしている人を心配する表現です。目上の人に対しては「Et vous? ça va?」と言いましょう。
「ça va?」は「Bonjour, ça va? こんにちは、元気?」とあいさつした後にも登場する、おなじみのフレーズですね。「ça va?」は砕けた表現という印象があるかもしれませんが、お悔やみの言葉に添えて使っても問題はありません。
また、例文では花子さんの「Et toi, ça va?」という言葉に対し、マリーさんは「ça va aller」と答えています。
例文中では「大丈夫よ」と訳していますが、これは「今は大丈夫ではないけど、そのうち大丈夫になる、心配しないで」というニュアンスを含んでいます。
Ce n’est pas trop dur?
例文の「Ce n’est pas trop dur?」は「つらい思いをしていない?」という意味。「dur」は「かたい、厳しい」という意味でよく使われますが「(気持ちが)つらい、耐え難い」という意味も持つフランス語です。
近しい人を亡くすと当然「triste 悲しい」のですが、悲しくてその状態がつらく耐え難い、というニュアンスです。
Si je peux faire quelque chose pour toi
「Si je peux faire quelque chose pour toi」は「もしあなたのために何かができるなら」という表現です。
例文ではその後に「n’hésites pas à me dire」「遠慮せずに言ってね」と続けています。
日本語に直訳すると少し大げさですが、フランス語では「何かあったら言ってね」「何かあれば力になるよ」といったニュアンスで、よく使われる表現です。
Je suis là pour toi
「Je suis là pour toi」は直訳だと「あなたのために私はここにいるよ」。こちらも日本語では仰々しく感じますが、フランス人はよく使う表現です。
「私はあなたの側にいるよ、だから悲しまないでね」といったニュアンスが込められています。
悲しんでいる友人がいるときは、大袈裟かなと恥ずかしく思わずに、ぜひ「Je suis là pour toi」と伝えてくださいね。
また同じような意味で下記のような表現もあります。
Je suis avec toi.
私はあなたと一緒にいるよ。
「Je suis là pour toi」「Je suis avec toi」、どちらの表現も実際に一緒にいるかどうかは関係ありません。もちろん実際に一緒にいるよ、というときにも使われますが、主に「私の気持ちがあなたに寄り添っている」と伝えたいときに使われます。
同じような意味ですが、特に離れている相手に使われる表現もあります。
Je pense à toi.
あなたのことを思っています。
「penser à ~」は「~のことを思う、考える」、「Je pense à toi」は「あなたのことを思っています」という意味です。
日本語で「あなたのことを思っています」といわれてもピンときませんが、これには「だからあなたは一人じゃないよ」というニュアンスが込められています。
Tu peux compter sur moi
ここからは、例文に登場しないフランス語表現をご紹介していきます。
「compter sur quelqu’un」は「~を頼りにする」という意味。「Tu peux compter sur moi」は「私を頼りにしてね」という表現です。
お悔やみの言葉に添えると、困ったことがあったら力になるよ、といったニュアンスになります。
親や配偶者など特に近い親族を亡くした場合は、いろいろな手続きが必要ですよね。その人がいなくなり、日常生活で困ることも出てくるでしょう。
そんな時に「Tu peux compter sur moi」と声をかけてもらえると、どうしていいかわからず途方にくれた気持ちも少し落ち着くかもしれません。
悲しんでいる人を支えたい気持ちを伝えたいときには、下記のような表現もあります。
Je te soutien.
あなたの支えになるよ。
「soutienr」は「支える、支持する」という意味。お悔やみの言葉に添える場合は「心の支えになるよ」といったニュアンスです。
Je partage ta douleur
「partager」は「共有する」、「douleur」は「痛み」、「Je partage ta douleur」は「あなたの(心の)痛みを分かち合う」という意味です。
つらい時は共感してもらうだけでも、ふっと気持ちが楽になることもありますよね。こちらも日本語ではなかなか使うことのない表現ですが、フランス人はよく使う表現なので、ぜひ使ってみてください。
「douleur」の代わりに「peine 心痛、苦悩」といってもいいでしょう。
フランス語で直接お悔やみを伝える時のポイント
短い表現でも気持ちを込める
お悔やみの気持ちを伝える言葉は多々ありますが、口頭で伝えるならば長いフレーズを使う必要はありません。
慣れない難しいフランス語を使って弔意を伝えようとすると、暗記の棒読みになってしまって気持ちが込められない…なんてことになりがちです。
気持ちのこもらない長いフレーズより、心のこもった短いフレーズの方が、しっかりとお悔やみの気持ちが伝わりますよ。
ハグをする
日本ではお葬式などでも、亡くなった方の身内の方をハグすることはありませんよね。ところがフランスでは、身内の方をハグするのは普通のことです。
お悔やみを伝えると共にぎゅっと抱きしめて、励ましの気持ちも同時に伝えましょう。
もちろん全員がハグをするわけではありませんが、それ程親しい間でない相手にハグをしてもおかしいことではありません。
またハグをするのは性別や年齢に関係はありません。相手が異性や年齢差がある場合にハグをするのは一層ためらってしまいますが、気にしないようにしてくださいね。
とはいっても、ハグはしにくいこともあるでしょう。そんな時はハグではなく手をぎゅっと握ったり、肩や背中をさすってもOKです。
どれも日本にはない習慣なので勇気がいるかもしれませんが、言葉だけでは伝えられない気持ちを伝えるのにも有効ですよ。
日本語に訳して考えない
フランス語のお悔やみに添える言葉には「Je suis là pour toi あなたのために私はここにいるよ」のように、日本語に直訳すると大仰すぎて口にするのがためらわれてしまうものが多いですよね。
しかし頭の中で日本語に訳して、大仰すぎるから…と口にするのを控えてしまうと、あなたの気持ちは相手には伝わりません。
ここまででご紹介した表現は、フランス人がお悔やみの気持ちを伝えるときに口にすることが多いフレーズです。
フランス語でお悔やみを伝えるときは、フランス人に倣って、その人を支えたい気持ちや労わる気持ちを恥ずかしがらず口にするようにしましょう。
メールや手紙でお悔やみを伝えるフランス語の例文
フランスで自分の友人が亡くなるということはあまりありませんが、友人のご家族などの訃報を耳にし、メールや手紙などで弔意を伝えることもあるでしょう。
そんなときに使えるメッセージをいくつかご紹介します。
Je t’adresse mes plus sincères condoléances en ce temps de deuil et te témoigne toute ma sympathie et mon soutien.
悲しみの中、心からのお悔やみと、共感と支えをお伝えします
Nous partageons ton chagrin en ce moment difficile.
この辛い時期のあなたの悲しみを分かち合います。
Je suis profondément attristé(e) par la perte de ton/ta ○○. Mes pensées sont avec toi.
あなたの〇〇が亡くなられたことに深い悲しみを感じています。私の気持ちはあなたと共にあります。
Je ne trouve pas les mots pour soulager ta peine. S’il y a quelque chose que je peux faire pour toi, n’hésite pas à m’appeler.
あなたの悲しみを和らげる言葉を見つけることができません。でも何かあなたのためにできることがあるなら、どうぞ電話をしてください。
フランス語のお悔やみのメッセージの中には、日常では使われない仰々しい言い回しを使ったものが沢山あります。
美しい表現ではあっても、外国人である私たちが使うと不自然な印象を与えてしまうことも。自分で考えていない、まるっとコピぺした文章だと思われてしまうのも嫌ですよね。
口頭でお悔やみを伝えるときと同様、難しい言い回しではなく、上記で紹介しているような比較的簡単な表現を参考に、できるだけ自分の言葉で気持ちを伝えるようにしてくださいね。
また、こちらでご紹介したお悔やみの表現は文章でお伝えする場合は問題ないのですが、口頭で伝えるには少し大仰な印象を与えてしまいます。
口頭では最初にご紹介している「toutes mes condoléances」などシンプルな表現を使うのがおすすめです。
フランスのお葬式のマナー
フランスで生活していたり配偶者がフランス人の場合、フランスのお葬式に出席することもあるでしょう。
そんなときに知っておきたいお葬式の基本マナーをご紹介します。
フランスのお葬式はお香典不要
お葬式に行くとき、日本ならお香典を準備しますが、フランスではお香典を渡す習慣がありません。
とてもお世話になった人がなくなった場合など、どうしてもお香典をお渡ししたいというときは、お悔やみのメッセージカードの封筒の中に小切手を入れておくと良いでしょう。
ただし、お香典文化がないため、お香典返しの文化もありません。
親しい人のお葬式にはお花を贈る
日本ではお香典をお渡ししない場合、お花を贈ることもありますよね。フランスではお香典と同様に、一般的にはお花を贈る習慣もありません。
もちろん、とても親しい仲の友人や親せきが亡くなった場合は贈ることもありますが、お花を受け取らないという方もいらっしゃいます。
勝手に送り付けると、逆に迷惑になることもあるので、贈っても良いかきちんと確認をとってから手配するようにしましょう。
お花の種類は故人が好んだものを選べばOK。ただし白一色は子供がなくなった場合以外は避けるようにしてください。
服装は黒を基調に選ぶ
フランスのお葬式に出席するときの服装は、日本人から見るととても自由です。とくに参加者の服装には日本のように小難しいマナーはありません。
中にはカラフルな服の人もいるので、初めてフランスのお葬式を目にする方は、こんな服や持ち物でもいいの?!とびっくりすることでしょう。
とはいえ、全体の色は黒が基調なのは日本と変わりません。日本のように一目で喪服とわかるような服装ではなく、手持ちの中から黒っぽい服や靴、鞄を選べばそれで大丈夫です。
ただし教会でお葬式がある場合は、露出の多い服装は避けるようにしてください。
フランスのお葬式のマナーはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
まとめ
フランス語でお悔やみの言葉を伝える際には、短いフレーズが役立ちます。ただし、自分の言葉で気持ちを伝えることも大切です。
お悔やみを伝える機会はない方が良いですが、生きていると避けられないことでもあります。
いざという時にきちんとお悔やみの気持ちをフランス語で伝えられるように、短いフレーズだけは覚えておくとよいですね。