新年の挨拶の定番は「あけましておめでとう」ですが、フランスではいったい何というのでしょうか?
前回の年末の挨拶に引き続き、今回はフランス語の新年の挨拶について覗いてみましょう。
目次
あけましておめでとう
日本語の新年の挨拶は「あけましておめでとう」。「新年」や「ございます」がついたり、漢字表記にするといったバリエーションはありますが、基本的にはたった一つですよね。
ところが「あけましておめでとう」に該当するフランス語表現は一つではなく、主に下記の2つが使われます。
Bonne année !
Meilleurs vœux !
直訳すると意味が違いますが、どちらも「あけましておめでとう」の意訳がしっくりくる表現達です。それぞれの意味を見てみましょう。
Bonne année !
「あけましておめでとう」と同じようにフランスで新年に使われるのが「Bonne année !」という挨拶です。
「bonne」は「bon」の女性形で「良い」、「année」は「年、一年」という意味。直訳だと「良い年」ですが、「良い一年を過ごせますように」という意味が込められています。
Bonne année et bonne santé !
「Bonne année」の基本形に「bonne santé」をプラスした上記の挨拶も良く使われます。
「santé」は「健康」という意味なので、「良い一年になり、そして健康でいられますように」になります。
Bonne et heureuse année !
「heureuse」は「幸福な、幸せ」の意味。「良い、そして幸せな一年になりますように」です。
Je vous souhaite une bonne année !
良い一年になりますように!
「bonne année」を文章にするときは上記のように「Je vous souhaite~ あなたの~を祈ります」を使います。
「bonne année」の代わりに下記のような表現を使うこともできますよ。
- excellente année 素晴らしい一年
- très bonne année とても良い一年
- très belle année とても美しい一年
Meilleurs vœux !
「meilleurs」は「最も良い」、「vœux」は「vœu 願い」の複数形で「祝いの言葉、祝意」の意味です。
この表現では省略されていますが、この「vœux」の主は発言者なので「mes meilleurs vœux 私からの最上級の祝意」をあなたに送ります、という意味になります。
この表現を文章にしたのがこちら。
Je vous présente/adresse mes meilleurs vœux.
あなたのご多幸をお祈りします。
「bonne année」とは違い「présenter 示す、表示する」、「adresser 送る、言葉をかける」を使うことに注意してください。
新年のあいさつの使い分け
「Bonne année」も「Meilleurs vœux」も日本語にすると「あけましておめでとう」がしっくりきますが、フランス語では意味が違いますね。
どちらを使えば良いか悩むかもしれませんが、どちらを使っても、また下記のように両方を重ねて使っても全く問題ありません。
Bonne année et meilleurs vœux !
Meilleurs vœux ! Je vous souhaite une bonne année !
他にも、相手の幸せを願うような言葉を好きなように連ねていくことができます。
Je vous souhaite plein de bonheur !
あなたに沢山の幸せがありますように!
Que vous avez pleins de bonnes choses !
あなたに沢山の良いことがありますように!
本年もよろしく
日本だと「あけましておめでとう」の後に「本年もよろしく」と続けることも多いですね。
しかしフランス語には「本年もよろしく」に該当する表現はありません。「よろしく」には「Merci d’avance」など、お願いごとをした後につける表現はありますが、年始の挨拶としてはふさわしくありません。
そのため、上記でご紹介したような挨拶や相手の幸せを願う言葉をかければOKです。
日本では「本年もよろしく」とお願いをするのに対して、フランスでは相手の幸せを願う言葉をかける…文化の違いは面白いですね。
新年のあいさつまとめ
フランス語の年始の挨拶表現をご紹介しました。
カードやSNSなど文章にして送るなら他にもいろいろな表現がありますが、口頭で挨拶する場合は難しい表現はせず、シンプルな言葉で十分。
文章が覚えにくい場合は「Bonne année」「Bonne santé」「Meilleurs vœux」 の3つを押さえておけば、フランス語の新年の挨拶はばっちりです!
日本の年末の挨拶といえば「良いお年を」ですが、フランスの年末の挨拶は何というのでしょうか。
今回はクリスマス前や大晦日など、年末に使われるフランス語の挨拶について覗いてみましょう。
クリスマス前の挨拶
日本ではクリスマス前特有の表現は特にありませんが、カトリック文化のフランスではクリスマスを盛大にお祝いするため、クリスマス前にはいろいろな人に特有の挨拶を贈ります。
Passez un joyeux Noël !
良いクリスマスをお過ごしください!
Je vous souhaite un joyeux Noël !
良いクリスマスになりますように!
「joyeux Noël」は「joyeux」が「喜ばしい、めでたい」、「Noël」は「クリスマス」で、「メリークリスマス」という意味。
「Passez ~」は「~を過ごしてください」、「Je vous souhaite ~」は「あなたの~を祈ります」です。
上記2つの表現はクリスマスイブや当日にも使えますよ。
「Joyeux Noël !」は単独で「メリークリスマス!」とクリスマスイブや当日の挨拶として使いますが、単独ではクリスマス前には使わないので注意しましょう。
大晦日前の挨拶
クリスマスが終わって大晦日が近づくと、また違った挨拶が登場します。
Passez une bonne fête de réveillon !
楽しい大晦日のパーティーをお過ごしください!
Je vous souhaite une bonne fête de fin d’année !
楽しい年末のパーティーになりますように!
「fête」は「パーティー、お祝い」、「réveillon」は「クリスマスイブ、大晦日」、「fin d’année」は「年末」という意味。
「fête de réveillon」は「大晦日のパーティー」のこと。「réveillon」には「クリスマスイブ」の意味もありますが、クリスマスイブは「réveillon de Noël」と呼ぶ方が一般的です。
「fête de fin d’année」は「年末のパーティー、年末のお祝い」ですね。
フランス人は大晦日に友人と集まって「fête」をすることが多いですが、必ずしもキラキラしいパーティーである必要はなく、「お祝い、お祝いの時期」というニュアンスで捉えると良いでしょう。
クリスマスと大晦日をまとめて挨拶
クリスマス前にもう会わないと分かっていたり、会うかわからないような相手には、クリスマスも大晦日もまとめた年末の挨拶を贈ります。
Passez de bonnes fêtes de fin d’année !
楽しい年末をお過ごしください!
Je vous souhaite de bonnes fêtes de fin d’année !
良い年末になりますように!
上記で注目は「de bonnes fêtes ~」と複数になっている点です。大晦日前の挨拶では「une bonne fête」と単数でしたね。
年末にある「Noël」や「réveillon de Noël」、31日の「réveillon」など複数の「fêtes」ということです。
Bon fin d’année !
良いお年を!
こちらは直訳だと「良い年末を!」ですが、日本風なら「良いお年を!」と訳する方が自然ですね。
「Passez ~」や「Je vous souhaite ~」を付けるときは、下記のように「une bonne fin d’année」と「une」を忘れないようにしましょう。
Passez une bonne fin d’année !
挨拶がするっと口から出ない場合
普段から口にする挨拶と違い、年末にしか使わない挨拶はするっと口から出てこないこともありますよね。
そんな時は相手の挨拶にまず「Merci. ありがとう」と答えた後、「À vous aussi ! あなたもね!」「Bonne fête aussi ! あなたも楽しいお祝いを!」と答えるだけでもOK。短い挨拶でも十分に気持ちは伝わります!
年末の挨拶まとめ
フランスの年末の挨拶をご紹介しました。
フランスでは友人や家族など知り合いだけでなく、お店やレストランの店員さんなどにも年末のお祝いの言葉をかけるのが普通のことです。
年末にフランスで過ごす場合は、「Merci, au revoir. ありがとう、さようなら」だけでなく、時期にあった一言を添えるようにしてくださいね。
フランス語の新年の挨拶はこちらをご覧ください。