フランスの「生理の貧困」

  1. フランス語会話・勉強

日本でも生理の貧困が問題になっていますが、フランスでも同じ問題に苦しんでいる女性はたくさんいます。

今回はフランスの生理の貧困、そして生理用品の無料配布について覗いてみましょう。

生理用品の配布

会話

Hanako: J’ai entendu dire qu’à l’école, maintenant, les filles peuvent avoir des protections hygiéniques gratuitement.

学校で女の子達が無料で生理用品を貰えるようになったって聞いたわ。

Marie: Oui, à cause de COVID, la pauvreté des étudiantes s’aggravait, la précarité menstruelle aussi.

ええ、新型コロナのせいで学生の貧困がひどくなったでしょう。生理の貧困もね。

Hanako: Ce n’est vraiment pas possible de ne pas pouvoir aller à l’école, parce qu’elles ne peuvent pas les acheter.

生理用品が買えないから学校にいけないなんて、余りにもあり得ないわ!

Marie: Elles ne sont pas extrêmement chères, mais pour les familles ou les étudiantes de petit budget, ce n’est pas une somme négligeable.

凄く高いわけではないけど、収入の少ない家族や学生にとっては、馬鹿にできない金額よね。

Hanako: En plus, on a besoin parfois pour des règles, de pilules, de médicaments contre la douleur, de médecins etc..

それに生理のせいで場合によっては、ピルとか鎮痛剤とか、医者とかだって必要でしょう。

Marie: Quand on a des règles douloureuses, comme on ne peut pas aller travailler, le salaire baisse aussi. 

生理痛がある場合は仕事にも行けないから、お給料も下がるわね。

フランスのテーブルの上に積まれた布おむつとコインの山。

ポイント

pauvreté 

pauvreté」は「貧乏、貧困」という意味。お金などの物質的な貧しさだけでなく、精神的な貧しさに対しても使われます。

自分が貧乏であるという時は、形容詞の「pauvre 貧乏な」を使いましょう。

また「pauvre」は名詞の前に来ると「哀れな、可哀そうな」という意味になるので、順番には注意が必要です。

la pauvreté des étudiants

学生の貧困

Je suis pauvre.

私は貧乏だ。

un pauvre homme

哀れな男性 / 人

précarité menstruelle

précarité」は「不安定」、「menstruel(le)」は「生理 / 月経の」という意味。「précarité menstruelle」は「生理が原因での不安定さ」、つまり「生理の貧困」を意味します。

petit budget  

budget」は「予算」の意味。個人の家庭などの予算「家計」のことも意味します。「famille de petit budget」は「小さな家計」、つまり「収入が少ない家庭」のことですね。

フランスの生理の貧困

précarité menstruelle」は日本と同じくフランスにも昔からある問題ですが、それが浮き彫りになったのは新型コロナが理由です。

そもそもフランスには、家庭からの援助が無かったりで「bourse d’études 奨学金」を利用しつつアルバイトで稼ぐという学生が少なくありません。

もともとギリギリの収入でやりくりしている中、コロナのせいでアルバイト収入がなくなってしまいました。

食事も満足にできない、そして生理用品も買えないという学生達がクローズアップされましたのです。

コロナ以前の2019年でも*170万人の女性が「précarité menstruelle」に苦しんでいました。コロナ以降はその内*64%の女性が、さらに生理用品の入手が難しくなったとのこと。

女生徒の33%は生理用品の購入に金銭的援助が必要と感じているそうです。

また13%の女生徒が、生理用品を買うか、食事など生きていくために最低限の物を買うか、そんな選択をした経験があるそうです。

フランスでお腹に手を当ててベッドに座る女性。

生理用品の無料配布スタート

précarité menstruelle」で生理用品が購入できず、学校を定期的に休んでいる女生徒の数は*13万人いるといわれています。

学校に行けないということは、授業が受けられず成績に影響するだけでなく、友達と遊んだり勉強以外のスポーツや芸術などの活動もできないということ。「précarité menstruelle」の悪影響は大きいのです。

そんな中、フランス政府は2020年末にホームレスや服務中の女性の生理用品の無償化を決定。2021年の9月からは全ての大学に、生理用品の無料ディスペンサーが設置されています。

まとめ

生理用品の配布で「précarité menstruelle」の問題が全て解決するわけではありませんが、少しでも苦しむ女性の負担が減るのは良いことですね。

生理に関する単語はこちらの記事をご覧ください。

*参照:https://www.always.fr/fr-fr/a-propos-de-always/non-a-la-precarite-menstruelle

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