フランスでは、不妊治療がより積極的に行われていることをご存知でしょうか。日本では、不妊治療は保険適用外であるため、費用が高額になるという課題があります。一方、フランスでは、不妊治療は公的医療保険の対象となっているため、費用を抑えて治療を受けることができます。フランスは費用面などから不妊治療へのハードルが低く、30人に一人の赤ちゃんが不妊治療によって産まれていると言われています。
今回はそんなフランスの不妊治療について覗いてみましょう。
フランスの不妊治療の現状と課題
目次
出産祝いを買いに行こう
会話
もうすぐ従妹が出産予定のマリーさん、花子さんに出産祝いの買い物に一緒に行こうと誘っているようです。
Marie: Est-ce que tu peux m’accompagner pour aller acheter un cadeau de naissance?
出産祝いを買いに行くのに付き合ってくれない?
Hanako: Avec plaisir! C’est pour qui?
喜んで!誰へのプレゼント?
Marie: C’est pour le couple de ma cousine. Elle va bientôt accoucher.
私の従妹カップルなの。もうすぐ出産なのよ。
Comme elle n’avait pas réussi à avoir d’enfant pendant longtemps, je voudrais lui offrir vraiment quelque chose.
彼女は長いこと子供も持つことができなかったから、ホントに何かお祝いしたいのよ。
Hanako: Alors, ils doivent vraiment être heureux maintenant.
じゃあ、彼らは今本当に幸せでしょうね。
Marie: Oui, en plus je sais qu’elle avait souffert à cause de son traitement…
ええ、それに治療のせいで苦しんでいたのを知ってるから…
Hanako: Ils ont eu recours à la PMA?
不妊治療をしたの?
Marie: Oui, Ils ont fait des inséminations artificielle, mais ça ne marchaient pas.
ええ、人工授精を何度かして、でもダメだったの。
Enfin, ils ont réussi à la dernière tentative de FIV .
それで、最後の体外授精で成功したのよ。
ポイント
naissance
「naissance」は「誕生、出産」という意味。「cadeau de naissance」は「出産祝い」ですね。
フランスの書類には「date de naissance 生年月日」「lieu de naissance 出生地」を記入するを求められることが多いです。
「lieu de naissance」は「Japon 日本」か都道府県名、もしくは「都道府県名 + Japon」でOKです。
「act de naissance 出生証明」も提出を求められることが多い書類ですが、これは日本にはない書類なので、日本大使館などで戸籍謄本をもとに作成してもらう必要があります。
accoucher
「accoucher」は人間が「出産する」という意味。「○○を出産する」は「accoucher de ~」といいます。
「accoucher」は人間の出産にしか使いません。魚や鳥などが卵を生むときには「pondre」、その他の動物の出産には「mettre bas」や「mettre au monde」という表現を使いましょう。
traitement
「traitement」は文中では「治療」という意味。「待遇、処理」という意味もあります。
PMA
「PMA」は「procréation médicalement assistée」の略語で「不妊治療」という意味です。
- procréation 出産、生殖
- médicalement 医学的に
- assistée 補助された
「stérilité 不妊」いう単語を使わない表現なので、言葉にするときの精神的負担の少なそうですね。
「PMA」は一般的にはそれほど馴染みがない略語なので、通じない時は「traitement de la sterilité」という表現もつかえます。
insémination artificielle
「insémination artificielle」は「人工授精・体内授精」の意味です。
- insémination 授精
- artificielle 人口の
FIV
「FIV」は「Fécondation in vitro」の略で「体外授精」のこと。「 in vitro」は「ガラス(試験管)の中で」を意味するラテン語です。
フランスの不妊治療のシステム
利用できるのは45歳まで
フランスの「PMA」は自然に子供ができない夫婦やカップル・子供が欲しい女性が利用することができます。
女性同士のカップルも利用できますが、男性同士のカップルは利用できません。
利用できるのは女性が45歳の誕生日を迎えるまでですが、申請は43歳までとなっています。
フランスの不妊治療は無料
不妊治療といえば料金が高く、お金に余裕がないとできないイメージがありますよね。実際に治療費を払うために、女性が治療で体が辛くて仕事をやめたくてもやめられないという声もあります。
ところがフランスの「PMA」はなんと100%治療費をカバー!病院代だけでなく、一回100ユーロ以上するような注射・注射の看護師代・エコーや血液検査もカバーの対象です。
「PMA」ができる病院は多くは無いので、遠方の場合は交通費も申請すれば返金してもらえるようになっています。
そして「inséminations artificielles」は6回まで、「FIV」は4回までチャレンジが可能です。
フランスでの卵子提供は無償のため、フランスで希望すると長い待機期間が必要です。そのため有償の外国で治療をするカップルもいますが、その費用も全額ではないですが返金対象なんですよ。
まとめ
フランスの「PMA」を利用するには書類申請など面倒なことも多いですが、無料のため収入に関係なく子供が欲しい人たちが利用できるシステムです。
フランスの出生率が日本より高いのは、女性が働きやすい環境だけでなく不妊治療のシステムも関係しているのかもしれませんね。
※2022年3月の情報です。