フランス語には、おしゃれで素敵な響きを持つ言葉がたくさんあります。中でも縁起の良いフレーズを覚えておくと、あなたや周りの人に幸せを運んでくれるかもしれません。この記事では、短くて簡単なフレーズから、ことわざや有名な人物の引用まで、さまざまな縁起の良いフランス語をご紹介します。ぜひ覚えて使ってみてください。
フランス語の簡単な短いフレーズが、あなたや周りの人に幸せを運んできてくれるかもしれません。
フランス語学習者【必見】縁起のいい言葉の意味と使い方
目次
短くて簡単!縁起のいいフランス語
相手の幸せや成功を祈る、短くて覚えやすい縁起のいいフランス語をご紹介します。フランス人が日常的に使っている表現なので、覚えてどんどん使っていきましょう!
Bonne chance!
Bonne chance!
(ボンシャンス)
幸運を祈ります。
「bonne」は「いい」、「chance」は「幸運」という意味で、「Bonne chance!」は何かにチャレンジやスタートする相手に対し、上手くいきますように、と幸運を祈るフランス語表現です。
学校のテストや仕事の面接、初デートやプロポーズ前、はたまた予約の取れない店に予約の電話をするときなど、「Bonne chance」は幅広い場面で使えますよ。
「Bon/Bonne ~!」という表現は、「Bonne chance!」以外にも「いい〇〇を!」と相手の幸せや成功を祈る意味で頻繁に登場します。例えば…
Bon voyage!
いい旅行を!
Bonnes vacances!
いいバカンスを!
Bonne route!
いいドライブを!
もっと詳しく「Bon/Bonne ~!」のフランス語表現について知りたい方はこちらの記事もチェックしてくださいね。
Tous mes vœux!
Tous mes vœux!
(トゥメヴー)
ご多幸をお祈りします。
「vœux」は「vœu 誓い、願い」の複数形で「祈願、祝福」という意味。「tous」は「tout すべて」、「mes」は「mon 私の」の複数形です。
「Tous mes vœux!」は直訳だと「私からの全ての祝福を!」ですが、「ご多幸をお祈りします」「お幸せにね」というニュアンスで使われる表現です。
どんなことをその人の為に願っているか、「de~」を後ろにつけて明確にすることもあります。
例えば、結婚式で新郎新婦に対してなら「bonheur 幸せ」を付けて…
Tous mes vœux de bonheur!
幸せをお祈りしています。
例えば、試験前や起業する人に対してなら「réussite 合格、成功」を付けて…
Tous mes vœux de réussite!
合格/成功をお祈りしています。
「Tous mes vœux」はクリスマスや新年の挨拶としても使われます。
Tous mes vœux pour cette nouvelle année.
この新しい年のお幸せをお祈りしています。
クリスマスや新年のフランス語の挨拶はこちらの記事をご覧ください。
Bonne continuation!
Bonne continuation!
(ボンコンチニュアション)
これからも頑張ってください!
「continuation」は「続くこと、継続」という意味。「Bonne continuation」は「これからも頑張ってください」と訳されることが多いため、何でこれが縁起のいい言葉?と思われるかもしれませんね。
これが縁起がいい言葉といわれるのは「良いことが続きますように」「より良いことが起こりますように」という意味が込められているから。転職や退職する人との別れの場面などでよく使われるフレーズです。
もちろん何か努力をしている人に「このまま努力を続けてね」、何か楽しんでいる人に「(引き続き)楽しんでね」など、日常的にも使われますよ。
À la vôtre!
À la vôtre!
(アラヴォートル)
乾杯!
「À la vôtre!」は「乾杯!」というときに使われるフランス語です。「la vôtre」は「あなたの、あなた方の」という意味で、「votre santé あなた(方)の健康」を意味します。つまり「À la vôtre!」は「あなたの健康を祈って乾杯!」という意味ですね。
友人や家族など近しい間柄の人と乾杯するときは「la tienne 君の」を使って「À la tienne!」と言いましょう。
「la vôtre」や「la tienne」ではなく、「santé」を使う乾杯の表現もあります。
À votre/ta santé!
もっとシンプルに「Santé!」だけでもOKですよ。
それにしても、お酒を飲むときに健康を祈って乾杯するなんて、フランスの習慣は面白いものですね。
健康を祈る縁起のいい乾杯の表現以外に、乾杯の時に使えるフランス語は他にもあるので、好みに合わせて使い分けてもいいでしょう。
Merde!
Merde!
(メルド)
幸運を祈る!
「Merde」は「糞、くだらないもの」という意味で、何か嫌なことがあったときに「Merde! クソッ!」と間投詞として使われることも多い単語です。
日本では嫌なことがあっても「クソッ!」と口にする人は少ないですが、フランス人は男女関係なく使う人が多いため、耳にしたことがある人も多いのでは?
フランスでは使う人は多くても、日本語の「クソッ!」と同じで下品な表現です。流されて使わないようにしたいですね。
そんな「Merde!」ですが、なんと「Bonne chance!」と同じように「幸運を祈る」という意味でも使えます。
日本語でも犬の糞をふんだ時に「運が付く」といったりしますが、フランスでは「Merde」と他の縁起がいいといわれる言葉が同じというわけではありません。
【Merde!が縁起がいいといわれる理由】
自動車が発達する前、人々は劇場に行くために馬車を使っていました。興行が成功したときは沢山の馬車が停まります。そしてその後には、馬糞もたくさん落ちていますよね。
馬糞の量が多いほど興業が成功している証ということから、舞台に上がる前の役者に「Merde!」と声を掛けたのが由来といわれています。
「Merde」などのフランス語の下品な表現は、上記のような場合以外は使わない方がいいですが、どんなものがあるかは知っておきたいもの。興味がある方はこちらをチェックしてくださいね。
いろいろな縁起のいいフランス語
フランス語の「proverbe ことわざ」や、有名な人物の「citation 引用」にも縁起のいい言葉はたくさんあります。
日常生活ではあまり使うことが無いかもしれませんが、覚えておいて損はありません。まずは「proverbe ことわざ」を見てみましょう。
縁起のいいフランス語のことわざ
La fortune vient en dormant.
果報は寝て待て
- fortune 財産、運命
- vient(venier)来る
- en dormant 寝ている間に
「La fortune vient en dormant」は直訳だと「寝ている間に財産がやってくる」。幸福は人の力ではどうにもならないので、自然にやってくるのを気長に待つのがよいという意味で、日本語の「果報は寝て待て」に該当します。
Les cailles rôties lui tombe dans la bouche
棚から牡丹餅
- cailles rôties ウズラのロースト
- lui 彼の
- tombe(tomber) 落ちる
- dans ~の中に
- bouche 口
「Les cailles rôties lui tombe dans la bouche」は直訳だと「ウズラのローストが彼の口に落ちる」。思いがけない幸運を得るという意味で、日本語の「棚から牡丹餅」に該当します。
L’avenir appartient à ceux qui se lèvent tôt
早起きは三文の徳
- avenir 未来
- appartient(appartenir) à~ ~のものである
- se lèvent(lever) 起きる
- tôt 早い
「L’avenir appartient à ceux qui se lèvent tôt」は直訳だと「未来は早起きする人のものである」。早起きをすればよいことがあるという意味で、日本語の「早起きは三文の徳」に該当します。
Après la pluie, le beau temps
止まない雨はない
- après ~の後
- pluie 雨
- beau temps いい天気
「Après la pluie, le beau temps」は直訳だと「雨の後は晴れ」。辛いことの後は幸せがやってくるという意味で、日本語の「止まない雨はない」に該当します。
縁起のいいフランスの名言
ここからは有名な人物の「citation」をご紹介します。
On ne fait bien que ce qu’on aime
好きこそものの上手なれ
- on 人は
- ne ~ que 〇〇 〇〇しか~ない
- fait(faire) する
- aime(aimer) 好き
「On ne fait bien que ce qu’on aime」はフランスの作家Coletteの言葉で、直訳だと「人は好きなことしか上手にできない」となり、日本語のことわざ「好きこそものの上手なれ」と同じ意味です。
Impossible n’est pas français
予の辞書に不可能という意味はない
- Impossible 不可能
- français フランス語
「Impossible n’est pas français」はナポレオンの言葉で、直訳すると「不可能はフランス語ではない」。「予の辞書に不可能という意味はない」という日本語訳で知られています。
Le hasard ne favorise que les esprits préparés
幸運は用意された心のみに宿る
- hasard 偶然
- favorise(favoriser) ~に恩恵を与える
- esprit 精神、心
- préparés 準備する
「Le hasard ne favorise que les esprits préparés」はフランスの細菌学者ルイ・パスツールの言葉で直訳すると「偶然は準備した精神にしか恩恵を与えない」という意味。
幸運は偶然やってくるのではなく、普段から努力をしてきた人のもとにのみやってくるという意味です。
フランス語の縁起物
フランスにもこれを見たら縁起がいい!、これを持っていたら幸せがやってくる!という縁起物があります。
まずは「porte-bonheur 幸運グッズ、お守り」からご紹介します。
Trèfle à quatre feuilles
四葉のクローバー
- trèfle クローバー
- quatre 4
- feuille 葉
「Trèfle à quatre feuilles」は「四葉のクローバー」。日本と同様にフランスでも「porte-bonheur」とされています。
そしてそれぞれの葉にも縁起のいい意味があります。日本では「愛・健康・幸運・富」といわれますが、フランスではキリスト教に基づいて下記のような意味があるといわれています。
- l’espérance 希望
- la foi 信仰
- la charité 隣人愛
- la chance 幸運
fer à cheval
蹄鉄
- fer 鉄
- cheval 馬
「fer à cheval」は「馬の蹄鉄」、つまり馬の蹄に装着するU字の金具のことで、フランスの代表的な「porte-bonheur」です。
家の玄関や納屋の入り口の上に掛けておくことで、魔除けや厄除けになり、幸せをもたらすといわれています。
その由来はキリスト教の聖人Dunstan。彼が鍛冶仕事をしていたところに、旅人の変装をした悪魔が訪れました。
Dunstanに蹄鉄の修理を依頼しますが、彼はすぐさま悪魔の正体を見抜きます。そして馬にではなく悪魔に蹄鉄を打ち付けることで、悪魔を追い払ったといわれています。
coccinelle / bête à bon Dieu
てんとう虫
- bête 虫
- Dieu 神
「coccinelle」もしくは「bête à bon Dieu」はてんとう虫のこと。「bête à bon Dieu」は直訳だと「神の虫」という意味です。
「coccinelle」が「bête à bon Dieu」とも呼ばれる由来は10世紀にまで遡ります。
無罪を訴える死刑囚が首を落とされる寸前、その首にてんとう虫が留まります。何度追い払っても戻ってくるため刑を実行できません。
当時の王はそれを神の意志だと受け取り、恩赦を決めました。その数日後、本当の犯人が見つかりました。
この話は瞬く間に広がり、てんとう虫は神の使いとして「bête à bon Dieu」と呼ばれるようになったということです。
patte de lapin
ウサギの脚
- patte (動物の)脚
- lapin ウサギ
「patte de lapin」は「ウサギの脚」のこと。そもそも「lapin」は多産であり、大昔から「abondance 豊穣」の象徴とされていますが、なぜ「patte」が特に「porte-bonheur」といわれるのでしょうか。
それは「patte」には食べるところもなく、乾かすのも容易であるから。そのため腐らず「porte-bonheur」として持ち歩くのに適していたということです。
「patte de lapin」は金を探すのにも使われていました。そのことから豊かさをもたらすシンボルになったとのことです。
arc en ciel
虹
- arc 門
- ciel 空
「arc en ciel」は直訳だと「空の門」、つまりは「虹」のことで、「paix 平和」「harmonie 調和」「espoir 希望」の象徴といわれています。
「arc en ciel」は日本のロックグループ名にも使われているフランス語なので、ご存じの方も多いのではないでしょうか?
ただし発音は「l’arc en ciel」と定冠詞を付けた形で「ラーコンシェル」。ラルクアンシエルと発音してもフランス人にはわかってもらえません。
フランスの縁起がいい行動
Croiser les doigts
幸運を祈る
- Croiser 交差させる
- doigt 指
「Croiser les doigts」は直訳だと「指を交差させる」という意味で、人差し指に中指を絡める、日本だとエンガチョといわれるポーズのこと。
フランスでは「幸運を祈る」ときに行う仕草で、この仕草と共に「Je croise les doigts 幸運を祈ります」と口に出します。仕草なしで「Je croise les doigts」とだけ言ってもOKです。
marcher sur une crotte de chien avec le pied gauche
左足で犬の糞を踏む
- marcher 歩く
- sur ~の上を
- crotte de chien 犬の糞
- pied gauche 左足
「marcher sur une crotte de chien avec le pied gauche」は「左足で犬の糞を踏む」という意味で、これも縁起のいいことといわれています。
ただし、これは「pied gauche」で踏んだ場合で、「pied droit 右足」で踏んだ場合は不幸が訪れるとのこと。どちらの足でも犬の糞は踏みたくないものですが、「pied gauche」なら、縁起がいいと少しは心が慰められるかもしれませんね。
そして「marcher sur une crotte de chien」は直訳だと「犬の糞の上を歩く」ですが、フランス語では「○○を踏む」は「marcher sur ○○」といいます。
昔のフランスでは犬の糞が放置されていることも多く、糞だらけの道もありましたが…。パリなどの観光地ではあまり見かけなくなっているので、偶然に左足で犬の糞を踏むことも少なくなっていることでしょう。
toucher du bois
木に触る
- toucher 触る
- bois 木
「toucher du bois」は「木に触る」という意味で、幸運を呼び込んだり、悪運を追い払うといわれている縁起のいいフレーズです。
このフレーズを口にするときは、同時に「bois」や木製の物に触れましょう。木製の物なら、机や椅子などどんなものでもOKです。
この言葉の由来は諸説ありますが、古代から「bois」は神聖なるものとみなされていました。「bois」に触れることで神に近づくことができ、それによって奇跡を呼び寄せることができると考えられていたのです。
「縁起がいい」を意味するフランス語
ここまで縁起がいいフランス語の表現をご紹介しましたが、最後に「縁起がいい」を意味するフランス語についてもご紹介しましょう。
bon augure
「augure」は「前兆、縁起」という意味。「bon 良い」「mauvais 悪い」を頭に付けて「bon augure 縁起がいい」「mauvais augure 縁起が悪い」ということができます。
présage
「présage」は「前兆、前触れ」という意味。「augure」と同じように「bon 良い」「mauvais 悪い」を付けて「bon présage 吉兆」「mauvais présage 凶兆」ということができます。
「縁起を担ぐ」は「présage」と使い、「Je crois aux présage」といいます。
porte-bonheur
「porte-bonheur」は「お守り」という意味。「bonheur 幸せ」を「porte- 運ぶ)」、つまりお守りや縁起物のことを指します。
上記の「porte-bonheur」は名詞ですが、「porte-」を動詞の「porter 運ぶ」に変えて、「○○が幸せを連れてくる」ということもできます。
Le trèfle à quatre feuilles porte bonheur
四葉のクローバーは幸せを連れてくる
まとめ
フランスの縁起のいい言葉をご紹介しました。フランス語のテスト前や、フランス語学習に挫けそうになったときの心の支えになるような言葉もありましたね。
フランス語の縁起のいい言葉をどんどん口に出して、幸運や幸せな未来を手に入れて下さいね。