フランスのマルシェは写真に取れば、そのままポストカードになりそうな魅力にあふれています。
ところがこの「マルシェ」の意味は「朝市」だけではないんですよ。日常生活に必須の「マルシェ」の種類を見てみましょう。
フランス語・マルシェ(marché)の意味と種類
魚を買うのはどのマルシェ「marché」?
フランスで新鮮な魚を手に入れるのは、実は簡単ではないんです。日本のように新鮮な切り身が簡単に手に入らないので、花子さんも毎日お肉ばかりのメニューのようですね。
ではフランスで新鮮な魚は、どこに行けば手に入るのでしょうか?
Hanako : Est-ce que tu connais une bonne poissonnerie par ici ?
この辺りで良い魚屋さんを知らない?
J’en ai assez de manger toujours de la viande…
お肉ばっかり食べていて、うんざりなのよ…
Marie : Une bonne poissonnerie ?
良い魚屋さん?
Moi, j’achète souvent à l’hypermarché.
私はいつも大型スーパーで買っているわ。
Hanako : Bah, tu sais, je n’ai pas de voiture, et sans voiture, c’est embêtant d’y aller.
うーん、私は車を持っていないじゃない。大型スーパーまで行くのはめんどくさいのよね。
Marie : Sinon, tu peux en acheter au marché.
それじゃあ、マルシェでも買えるわよ。
Ça doit être très frais.
きっと、とっても新鮮よ。
Hanako : Je vais essayer prochainement.
近いうちに試してみるわ。
Marie : Il me semble qu’il y a un rayon de poissons au supermarché près de chez toi.
あなたの家の近くのスーパーにも魚売り場があった気がするのだけど。
Hanako : Oui, mais il n’y a pas de choix. Soit du saumon, soit du cabillaud …
あるわよ。でも選択肢がなくて。サーモンか真ダラか…
Marie : Est-ce que tu as essayé au marché couvert?
常設市場は試してみた?
Il y a sûrement une poissonnerie.
魚屋さんがきっとあるわよ。
魚屋での買い物に役立つフランス語は、こちらの記事で紹介してます。
フランス語の「marché」とは
花子さんとマリーさんの会話に何度も登場した単語が「marché」。皆さんが「marché」と聞いて思い浮かべるのは、きっと「朝市」や「青空市」ではないでしょうか?
ところがこの「marché」、日本語で「マルシェ」という時のニュアンスより、もっと幅広く使われている単語なんです。
Marché「市場」
フランス語の「marché」の基本的な意味は「市場」。私たちが「marché」と聞いて想像する「朝市」の意味もありますが、他にもいろいろな意味で使われます。例えば…
- marché de gros 卸売市場
- marchés internationauxl 国際市場
- marché du travail 労働市場
- marché noir 闇市場
フランスを代表する「marché de gros」は「Marché de Rungis https://www.rungisinternational.com/」。パリ近郊のオルリー航空の近くにあり、世界でも最大級の生鮮食品を扱う「marché」です。
とはいえ、文中のマリーさんの「tu peux en acheter au marché それはマルシェで買えるよ」のように、日常会話で単純に「marché」という時は、私たちが想像するような「朝市」を指すことがほとんどです。
いわゆる「朝市」だと明確にしたい時には「marché à ciel ouvert 青空市場」ということもできます。
- ciel 空
- ouvert 開いた
「marché」は生鮮食品がメインですが、「poulet rôti 鶏の丸焼き」をはじめ、いろいろなお惣菜も売られています。
開催時間は場所にもよりますが、朝の8時から昼の2時ごろまで。10~11時過ぎまでが、人出のピークです。
田舎の「marché」では食品以外にも、服や日用雑貨を売るお店も多く、そういったお店は、食品のお店が撤退した後も夕方まで開いていることがあります。
フランス人が大好きな「poulet rôti」についてはこちらの記事をご覧ください。
Marché couvert「覆われたマルシェ」
広場や道沿いで開催される「marché à ciel ouvert」に対して、建物に入っている=屋根に覆われている「常設市場」は「marché couvert」。「覆われたマルシェ」という意味です。
「marché couvert」は街の中心にあることが多く、昼休みを挟んで朝から夜まで開いているので、観光の途中に寄るのも便利です。
お惣菜を買って食べれたり、魚屋で生牡蠣を剥いてくれたりするところもあるんですよ。ワイン屋で買ったワインを、その場で飲むこともできます。
ただし館内で飲食をしてもトイレは使えない事が多いので、事前にトイレの有無を確認しておきましょう。
Supermarché「スーパーマーケット」
「supermarché」はフランス語読みだと「シュペーマルシェ」、いわゆる「スーパーマーケット」のこと。日本で「スーパー」と呼ぶようなサイズ感のお店を指します。
パリ旅行中に寄ることが多い「Monoprix モノプリ」も代表的な「supermarché」の一つです。
比較的大きな「supermarché」では売り子がいる魚売り場があることもありますが、花子さんが文中で言っているように、魚売り場が充実していないことがほとんど。
パック入りで保存性を高めたサーモンやタラなどがいくつかあるだけで、新鮮な魚は見つかりません。
Hypermarché「大型スーパーマーケット」
「hyper」は「super」よりもっとすごい「すごい」の意味。つまり「Supermarché」よりさらに大型のスーパーのことです。
フランスの場合、「Carrefour カルフール」や「Leclerc ルクレー」のような郊外によくあるタイプの大きいお店のこと。電車で行けるお店もありますが、基本は車で行くことが想定されています。
大きい「chariot カート」に山盛りの食料品を入れ、一週間分の買い物をしに来る家族連れで、週末は大混雑するんですよ。
お店を歩き回るだけで一苦労のサイズ感は、アメリカに迷い込んだ気分にさせられます。
Marché à ~「~市場」
「à」の後に複数形の名詞を入れて、「~市場」の意味になります。
- Marché aux fleurs 花市場
- Marché aux poissons 魚市場
- Marché aux puces ノミの市
Superette「コンビニに似た雰囲気のお店」
「marché」とは使われていませんが、「Supermarché」を小さくしたようなお店を「Superette」と呼びます。
24時間営業ではありませんが、コンビニに似た雰囲気のお店です。街中にあるので、日常のちょっとした買い物や、フランス人に人気の日常的なお菓子などのお土産探しにも便利なんですよ。
ただし日本のコンビニがスーパーよりも高めなのと同じく、「Superette」も高めです。必要なものを購入するだけにして、本格的なお土産探しは「Supermarché」へ行くのをおすすめします。
パリのマルシェ情報
パリでは毎日、街のどこかでマルシェが開かれています。曜日によって開催地が違うので、お目当てのマルシェが開いているか、下調べしていくようにしてくださいね。
旅行中ならパリ中心部がおすすめ
パリの地区にそれぞれ違った雰囲気があるように、マルシェの雰囲気もさまざまです。旅行中にマルシェに行こうと思うなら、パリ中心部の治安の良い場所を選ぶのがおすすめ。
お店の人も観光客に慣れていますし、中心部は裕福な人が多いため、商品も質が良いものが揃っています。有名なものでは5区の Marché Monge ・6区の Marché Raspail ・11区の Marché Bastilleなどでしょうか。
Marché Monge
メトロ7番線の「Place Monge」の出口がある「place monge」のマルシェ。規模は小さめですが、週に3回開催されているので、旅行中にも行きやすいのが嬉しいですね。
食料品店やレストランが並ぶ「Rue mouffetard」も近いので、併せて覗いてみてください。
- 住所:Place monge 75005 Paris
- 開催日:水金 7:00~13:30 / 日 7:00~14:30
Marché Raspail
「bio オーガニック」のお店が集まるのが「Marché Raspail」。健康や環境に高い意識を持つパリジャン/パリジェンヌに愛されるマルシェです。食品以外におしゃれな雑貨も売られているので、おしゃれなパリ土産を探しに寄ってみるのもおすすめです。
- 住所:Boulevard Raspail 75006 Paris
- 開催日:日 7:00~14:30
Marché Bastille
いくつもあるパリのマルシェの中でも最大級なのが「Marché Bastille」。メトロの「Bastille」から「Richard-Lenoir」に向かう大通りで開催されています。生鮮食品以外にもお総菜を扱うお店も多いため、食べ歩きにもおすすめです。
- 住所:Boulevard Richard Lenoir Paris 11e
- 開催日:木 7:00~13:30 / 日 7:00~14:30
パリの常設市場
旅行中なら、マルシェだけでなく常設市場もチェックしておきましょう。雨の日でものんびりと見て回れますし、夕方までオープンしていることが多いので便利ですよ。
Marché couvert Saint-Germain
「Marché couvert Saint-Germain」は左岸の「Odéon」の近くにある常設市場。その名の通り、「Saint-Germain-des-Prés」の中心地に位置しています。
大きなマルシェではありませんが、基本的な生鮮食品のお店が揃っているので、マルシェの雰囲気が楽しめますよ。ちなみに同じ建物内に、Uniqlo や Apple のお店も入っています。
- 住所:9 rue clément 75006 Paris
- 営業時間:火~土 8:00~20:00 / 日 8:00~13:00
Marché couvert des Enfants Rouges
「Marché couvert des Enfants Rouges」は北マレにあるパリ最古の常設市場。マルシェといってもその場で食べられるお店が多く、多国籍料理を楽しむフランス人でランチタイムは賑わいます。ゆっくり見たい場合は、ランチタイムを外すのが良さそうですね。
- 住所:39 rue de bretagne 75003 Paris
- 営業時間:火水金土 8:30~20:30 / 木 8:30~21:30 / 日 8:30~17:00
パリ上級者向けマルシェ
庶民的な地域は移民が多く、パリというよりアフリカのどこかに紛れ込んだような雰囲気のマルシェになります。
安さが売りのお店が多く、エキゾチックな商品も多いので慣れてくれば楽しめるマルシェです。その反面スリ等の危険も増えるため、荷物には特に注意してくださいね。
パリのマルシェ一覧
旅行中の滞在ホテルの近所にあるかな?と知りたくなったら、パリ市のサイトから確認できます。
区・曜日・時間がわかるので、ぜひチェックしてみてくださいね。フランス語の勉強も出来て、一石二鳥になりそうです。
マルシェで買い物をするときのポイント
マルシェに買い物に行くときは、日本のスーパーに行く感覚でいると、ちょっと困ったことになるかもしれません。ここからは、マルシェで楽しく買い物をするためのポイントをお伝えします。
マルシェではエコバッグが必須
マルシェで買い物をするならば「sac à course 買い物カバン」つまりエコバッグが必須です。
量り売りが主なため、買ったものを個別の袋に入れてはくれますが、破れやすいビニール袋だったり、持ち手のない紙袋だったりと、そのまま持ち帰るのには向いていません。
地方によっては、量った野菜を紙でくるっと包むだけだったり、紙も無しで裸の野菜を渡されることもあります。
マルシェでは日本のスーパーのようにレジ袋を買うこともできないので、しっかりと「sac à course」を持って行ってくださいね。
マルシェによっては、買い物用の「panier 籠」や、ジュートなどの繊維で編んだカラフルな「sac à course」を売っていることもあります。
折りたたみにくいため場所をとりますが、スーツケースに余裕があるなら、フランス土産を兼ねて購入するのも良いかもしれません。
現金の準備を忘れずに
マルシェでの支払いは基本的に現金です。肉や魚、チーズなど合計額が高めのお店ではクレジットカードが使えることが多いですが、野菜のお店では使えない事が多いです。
また高額紙幣での支払いは、断られることがあります。できれば、10ユーロや20ユーロ札を用意して買い物に挑みましょう。
残念なことにフランスでは偽札が多いようで、50ユーロ札でもお店の人は本物かしっかり確認します。裏返したり太陽にすかしてチェックされるため、疑われているようで居心地が悪い思いをすることも(外国人だから特に厳しくチェックしているわけではありません)。
常設市場では、野菜などの少額の買い物でもクレジットカードが使えることが多いので、現金がないなら常設市場へ行くのもおすすめです。
お店の人に欲しいものを伝える
マルシェで買い物をするときは、野菜などを勝手に手に取らず、お店の人に欲しいものを伝えるのが基本です。
特に傷みやすい野菜や果物を触るのは、嫌がられるので注意しましょう。絶対に触って欲しくないお店や商品には下記のように書いてあります。
Ne touchez pas.
触らないでください。
野菜などの名前は値段と共に書いてあるので、覚えていなくてもそれほど心配しなくて大丈夫。きちんと発音ができなくても、指さしすれば問題ありません。ただしスムーズに買い物するには、量を伝える表現をいくつか覚えておくのがおすすめです。
- un kilo de ~ 1キロの~
- 500 grammes / une livres de ~ 500gの~
- une douzaine de ~ 12個の~
- une dizaine de ~ 10個の~
- une botte de ~ 一束の~
- un morceau de ~ 一片の~
- une tranche de ~ 一切れの~
- une poignée de ~ 一つかみの~
Je voudrais un kilo de carottes et une botte de persil, s’il vous plaît.
1キロの人参とパセリを一束ください。
マルシェでの買い物に役立つフランス語の量に関する表現は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
キロ単位で値段が書かれている物でも、個数を指定して買うこともできます。個数指定で買いたい場合は、欲しいものの前に数字をプラスするだけでOKです。
Je voudrais un poivron et deux pommes, s’il vous plaît.
パプリカ1つとリンゴ2つください。
フランス語の数字について基本から知りたい方には、こちらの記事がおすすめです。
マルシェでもお店によっては、お客さんが自分で欲しいものを袋に入れて、お店の人に手渡していることもあるので、そんなお店では同じようにしてOKです。
自分で手に取って選んで良いお店では、手に取りやすいところに袋を置いているので、どっちなのか悩んだ場合の目安にしましょう。
スーパーにトイレがない
フランスの街中にはトイレが少ないのはご存知の方も多いですよね。「Marché couvert」にトイレがないことはお伝え済みですが、街中にある「Supermarché」や「Superette」にも客が使えるトイレがありません。
日本では気軽にトイレを借りることができるので、その感覚で買い物ついでにトイレに行こうと思っていると、見つからなくて焦ることになってしまいます。
郊外型の「Hypermarché」にはトイレがありますが、基本的には「マルシェやスーパーにはトイレがない」と思っておいた方が良いでしょう。
まとめ
フランス語のマルシェの意味や種類、パリのおすすめマルシェまでご紹介しました。
留学などでフランスに住むときだけでなく、旅行中でもマルシェは欠かせない存在ですよね。お惣菜店も豊富なので、気になる料理を少しずつ味わうこともできます。
普通のスーパーでは味わえないマルシェの雰囲気や、お店の人とのやり取りを楽しんでくださいね。