フランスの春を告げる花

  1. フランス語会話・勉強

フランスの春を告げる花

日本で春を象徴する花は桜ですが、フランスではあまり見かけない花です。ではフランス人はどんな花を見ると、春が来たと実感するのでしょうか?

今回はフランスの代表的な春の花と、気温やバカンスなどフランスの春にまつわる情報をお伝えします。

フランス語会話:フランスの春の花は?

今日の花子さんとマリーさんは、小春日和の中をお散歩中。公園の片隅で桜が咲いているのを見つけたようです。

Hanako : Regarde, Il y a des cerisiers en fleurs là-bas.

見て、あそこに桜の花が咲いているわ。

Marie : Ah oui, elles sont très belles…

あら本当だ。とてもきれいね…。

Tiens, il y a des gens qui font un pique-nique. Ils ne sont pas japonais ?

ほら、ピクニックしている人たちが居るわ。日本人じゃない?

Hanako : Sûrement. C’est notre coutume de faire le pique-nique pour l’admirer.

きっとそうね。桜を鑑賞するためにピクニックをするのは、私たちの風習だもの。

Marie : J’ai déjà vu à la télé des cerisiers du Japon. C’était magnifique…J’aimerais bien un jour venir au Japon pour les regarder.

日本の桜をテレビで見たことがあるわ。素晴らしかった…。いつか日本へ見に行きたいわ。

Hanako : Je te le conseille fortement !

強くおすすめするわ!

La fleur de cerisier est le symbole du printemps chez nous.

私たちのところでは、桜の花は春のシンボルなのよ。

Marie : En France, la fleur qui symbolise le printemps, c’est le mimosa.

フランスで春を象徴する花といえば、それはミモザね。

Hanako : Je l’aime bien. En plus, elles sentent très bon !

その花、好きよ。それにとても良い香りだもの!

Marie : Sinon, il y a aussi la jonquille et  le forsythia.

それか、黄水仙やレンギョウがあるわ。

Hanako : Donc pour vous, les fleurs de printemps sont jaunes.

つまりフランスでは、春の花は黄色いのね。

明るい黄色のミモザの花束と緑の葉がライトブルーの背景にエレガントに配置され、フランスの魅力を彷彿とさせます。

フランスの春を告げる黄色い花

フランスで春を告げるのは会話で登場したミモザを始めとした黄色い花たち。代表的な春の黄色い花を紹介します。

ミモザ

le mimosa

ミモザ

フランスを代表する春を告げる花といえば「mimosa」。

黄色いポンポン状の花がいくつも付いた形はとてもかわいらしく、そして軽やか。輝く太陽をイメージさせるような明るさです。

mimosa」は南仏でよく見られる木で、その枝を切ったものを何本かまとめてブーケにしたものが売られています。

春をイメージさせる花ですが、登場するのは2月~3月ごろ。まだまだ冬の寒さの厳しい中、鮮やかなビタミンカラーで、もうすぐやって来る春を一足先取りした気分を味わうことができますよ。

【La fête du mimosa】

南フランスの「Côte d’Azur コート・ダジュール」の街、「Mandelieu-La Napoule マンドリュー・ラ.ナープル」では、2月中旬に「La fête du mimosa ミモザ祭り」が開催されています。

mimosa」でデコレーションされた山車のパレードや、「mimosa」が咲き誇る街道など見どころもたくさん!

Mardi gras マルディ」のカーニバルで有名な「Nice ニース」からは公共交通機関で1時間~1時間半ほどの距離。開催時期も同じころなので、南仏で春のお祭り巡りを楽しむのもおすすめです。

Mandelieu-La Napoule公式サイト

【salade mimosa】

salade mimosa」はゆで卵の黄身を細かくほぐしたものを乗せたサラダのこと。黄色が鮮やかで、まるで「mimosa」の花をあしらったように見えることから、この名称が付いています。

どんなサラダでも、卵の黄身をほぐしてあしらったものは「salade mimosa」と呼ぶことが多いですが、そのなかでも人気があるのがロシア風の「salade mimosa」。

じゃがいもやビーツ・人参・塩漬けの魚などを順番に重ね、上に卵の黄身をあしらったサラダで見た目にも華やか。前もって準備して置けるので、おもてなし料理としても活躍してくれるでしょう。

レンギョウ

le forsythia

レンギョウ

mimosa」の次にお目見えする花は「forsythia」でしょうか。公園の植え込みなどで目にする木です。一軒家の庭の囲いにも使われることもあります。

まだ他の木々は花をつけていない中、沈んだグリーンや茶色の植え込みをぱっと明るく照らしてくれる存在です。

地方に行くと目にする機会は多いのですが、切花として花屋では売られていないので、都会に住んでいるとあまり見ないかもしれませんね。

黄水仙

la jonquille

黄水仙

寒さが緩み春らしい陽気を感じられるようになると一斉に咲くのが「jonquille」。芝一面がこの「jonquille」に埋め尽くされる光景はなかなかの見物です。

こちらも花屋ではそれほど見かけることは無いのですが、マルシェに行くとこの「jonquille」だけを売っている売り子さんに声をかけられることもあります。

丸いボール状にまとめてブーケになった「jonquille」はとても可愛らしく、ついつい購入したくなってしまうでしょう。

フランスの晴れた日に、色とりどりの花が咲き誇る花壇が前景を飾り、背景にはエッフェル塔の基部が見えます。

黄色以外のフランスの春の花

フランスの春の花は、もちろん黄色い花だけではありません。黄色以外の代表的な花を見てみましょう。

le ilas

リラ/ライラック

春本番の4月から5月に咲くのが「ilas」。切り花として売っていることは少ないですが、フランスではとてもポピュラーで、庭がある家庭では目にすることが多い植木です。

芳香の強い花なので、街を歩いているときにふっと香りがしてきて、春だなぁと感じることができます。

la tulipe 

チューリップ

日本でも春の花として人気の「tulipe」はフランスでも人気の花の一つ。家庭だけではなく、公園や道路横の植え込みでも頻繁に見かけます。

jonquille」が終わるころに咲き始めるので、共に植えられていて、入れ替わるように咲き誇る姿を見せてくれますよ。

la pensée 

パンジー

pensée」の季節は春だけではありませんが、フランスでも「tulipe」と共に受けられることが多いので、春のイメージが強い花です。

ちなみに「pensée」は「penser 考える」の名詞形で、「考え、思考」という意味もあります。花の「pensée」はその姿が考える人の姿に似ているというところから、命名されているということです。

le muguet 

スズラン

muguet」もフランスの春を代表する花の一つ。5月1日の「fête du travail レイバー・デー」には大切な人に「muguet」を贈る文化があり、販売スタンドが街の至る所に登場します。

ちなみにこの「muguet」、「大切な人に贈る」といわれると誰が誰に贈っても良い気がしますが、男性から女性に贈るものとされていて、女性から男性・女性から女性に贈るのは一般的ではありません。

他の花のフランス語名や、フランスの国花については、こちらの記事がおすすめです。

ストライプのシャツ、青いパンツ、ピンクの帽子をかぶった女性が、フランスの田舎の咲き誇る花のそばの屋外に立って、黄色いハンドバッグを持っている。

フランスでお花見をするには

フランスにはお花見の文化はありませんが、日本人としては春といえばやはり桜の花を見たくなってしまうものですよね。

cerisier

桜の木

cerisier」は「桜の木」のこと。「桜の花」は「fleur de cerisier」、「花の咲いている桜」は「cerisier en fleur」もしくは「cerisier fleuri」といいます。

パリにも「cerisier」の植えられている公園があるので、お花見をすることもできます。

ただし、芝生は進入禁止の事も多いので、レジャーシートを広げてお花見する際は、注意書きが無いかチェックしてからにしてくださいね。

ちなみにフランスの桜のほとんどはピンク色の濃い八重桜です。薄ピンクで儚げな染井吉野とはまた違った魅力が楽しめますよ。

coutume

慣習・風習

coutume」は「慣習・風習」のこと。フランス語でお花見について説明するなら「culture 文化」ではなく、この「coutume」を使いましょう。

他にもクリスマスツリーを飾ったり、イースターにチョコレートを贈ったりするのも「culture」ではなく「coutume」を使います。

Les japonais ont coutume d’admirer les fleurs de cerisier au printemps.

日本人は春に桜の花を鑑賞する風習がある.

avoir coutume de ~」で「~をする習慣がある」という表現になります。

C’est notre coutume de faire le pique-nique pour admirer les fleurs de cerisier.

桜の花を観賞するためにピクニックをするのは私たちの風習です。

パリ近郊のお花見スポットが知りたい方には、こちらの記事がおすすめです。

春といえば花粉!フランスの花粉症事情

allergie au pollen

花粉症

  • allergie アレルギー
  • pollen 花粉

残念なことにフランスにも「allergie au pollen」は存在しますが、原因となる「pollen」の種類は日本とはもちろん異なります。

【フランスの春の代表的な花粉】

  • aune / aulne ハンの木
  • bouleau カバノキ
  • chêne カシワ
  • cyprès イトスギ
  • frêne トネリコ
  • graminée イネ科の植物
  • herbacée 草本植物
  • hêtre ブナの木

フランスでも「allergie au pollen」は増えていて、国民の三人に一人は「allergie au pollen」だともいわれています。

とはいえ日本ほど「allergie au pollen」の対策は取られておらず、春だとしてもマスクをしている人を見かけることはまずありません。

予防するよりも、薬で症状を抑えるほうが主流なのですが、薬局でも「allergie au pollen」用の目薬や飲み薬を大々的に扱っているわけでもありません。ほとんどの人が処方箋を出してもらって、薬を入手しているのでしょう。

とはいえ、処方箋なしの「antihistaminique 抗ヒスタミン薬」も販売されているので、フランス旅行中に「allergie au pollen」の症状が出てしまった場合は、薬局に行ってみましょう。

Je voudrais le médicament antihistaminique pour mon allergie au pollen.

花粉症用の抗ヒスタミン薬をください。

症状も付け加えると、症状に合った薬も出してもらえるでしょう。

J’ai les yeux qui grattent.

目がかゆいです。

J’ai la gorge qui gratte.

喉がかゆいです。

J’ai le nez qui coule.

鼻水がでます。

Je n’arrête pas d’éternuer.

くしゃみが止まりません。

J’ai du mal à aspirer.

呼吸が苦しいです。

フランスの花粉飛散状況はこちらのサイトでチェックできます。心配な方は旅行前に確認してみてくださいね。

フランスの二か国語の道路標識には、雲のある青空を背景に、「Hiver」が取り消し線で消され、その下に「Printemps」と表示されている。

フランスの春にまつわるあれこれ

春の時期と気温

北フランスと南フランスでは春がやってくる時期も少しずれていますが、感覚的には日本と同じく3月から5月。暦上での春は3月21日から6月21日となっています。

【パリの春の気温】

最低気温最高気温
3月5.3°C12.2°C
4月7.3°C15.6°C
5月10.9°C19.6°C

※参照:Paris Je t’aime – Office de Tourisme 

日本の3月は重いコートを脱いで軽いジャケットを選ぶ日も多いですが、フランスの3月はまだまだ寒く、特に朝方はとても冷え込むので、冬用のアウターが必須です。

4月や5月でも最低気温は低いので、朝早くから頑張って観光に出かけたい!という方は、脱いでも邪魔にならない軽くて暖かいアウターを一枚持ってくると安心ですね。

一言で春といっても、フランスと日本では気候が異なります。特にパリのような北フランスに来るなら、3月に旅行するなら日本の2月、4月に旅行するなら日本の3月というように、日本の一月前の気温をイメージした服装選びをするのがおすすめです。

【フランス人は気温に沿った服装を選ぶ】

日本人は季節感を大切にするので、春が来るとどれだけ寒くても、我慢して薄着をしがちですよね。

そんな日本人とは反対に、実際の気温に合わせて服を選ぶのがフランス人。たとえ4月や5月の春真っただ中でも、寒い日には冬物のコートやダウンジャケットを着ている人をたくさん見かけます。

春だけでなく、7月や8月の真夏でも、寒ければためらわずに冬物のコートを着る人もいるほど。春なのに冬物のコートなんて…と思ってしまうかもしれませんが、フランスでは全く恥ずかしく感じる必要はありません。

フランス旅行中に風邪をひかないためにも、寒いと思ったら春でも厚着をするようにしてくださいね。

春にフランス旅行に行くのにどんな服を持って行けばいいか分からない…そんな方にはこちらの記事もおすすめです。

春のバカンス期間

フランスにも春休みがあり、年や地方によって違いはありますが、だいたい4月頭から5月頭の間の2週間、学校がお休みになります。

フランス人の通う学校だけでなく、大学付属の語学学校も同じようにお休みになるので、留学される方はこの期間に旅行の計画を立ててみてはいかがでしょうか。

フランス人のバカンスは、数日ではなく一週間単位で旅立つのが一般的なので、バカンス期間中の金曜夜から日曜日は長距離列車はとても込み合います。切符もどんどん値上がりするので、春休みに旅行するなら、早めに予定を立ててくださいね。

春の食材

花以外でも、食べ物で春が来たと実感することも多いですよね。

【フランスの春野菜】

フランスで春を告げる野菜といえば…

  • asperge アスパラガス
  • radis ラディッシュ
  • pomme de terre nouvelle 新じゃが
  • carotte nouvelle 新にんじん 
  • navet nouvel 新かぶ

asperge」はフランスでは春にしか出回らない野菜。「asperge blanche ホワイトアスパラ」が主流ですが、まれに「asperge vete グリーンアスパラ」も見かけます。

また「radis」や「carotte nouvelle」「navet nouvel」のように、葉付き野菜が出回るのも春ならではです。

フランスの春野菜については、こちらの記事でも紹介しています。

【フランスの春の果物】

春の果物といって一番に思い浮かべるのは「fraise いちご」ではないでしょうか?

フランスの「fraise」は、日本のようにクリスマス時期に大々的に販売されることはなく、本来の旬である春に市場に出回る果物です。

春といっても3月末から出回るのではなく、4月末ごろからで始めて、5月から6月にかけて美味しく、そして安くなっていくため、晩春から初夏にかけての果物といった方が良いかもしれません。

こちらの記事では、フランス人が愛するいちごの食べ方について紹介しています。

【フランスの春の料理】

フランスの春の料理といえば「agneau 子羊」を使った料理。キリスト教における春の祝日である「Pâques 復活祭」の定番です。

特にポピュラーなのが「gigot もも肉」を使った「gigot rôti もも肉のロースト」 。「gigot」を丸ごと一本オーブンで焼き上げて、どーんと食卓でサービスします。一緒にローストした春野菜を添えれば、まさに春のご馳走です。

Pâques」になぜ「agneau」を食べるの?と思った方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

まとめ

フランス人にとって春を告げる代表的な花は「mimosa」。桜の儚い美しさとは全く別物ですが、フランスの冬は薄暗いからこそ、力強い明るさを持った「mimosa」が好まれるのかもしれませんね。

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