フランス語で電話をかけるのは、フランス語上級者でもドキドキするもの。身振り手振りで伝えられないからこそ、直接話すよりも難易度はぐんと上がってしまいますよね。
今回はそんなフランス語で電話をかける方法について、一緒に確認していきましょう。
フランス語で電話をかける方法
携帯電話が普及した現代では、相手の番号さえ分かれば直接話すことができますね。
でも、自宅の番号しか分からなかったり、オフィスに電話をしたりする場合には、電話に出た人に相手を呼び出してもらう必要があります。まずはそんなシチュエーションを見てみましょう。
会話
Noriko : Allô!Je suis bien chez Monsieur Binart ?
もしもし、ビナールさんのお宅ですか。
M. Binart : Oui, Madame. Qui est à l’appareil?
はい、そうです。どちらさまですか?
Noriko : C’est Noriko Ogawa. Je suis une amie de Catherine. Voulez-vous me la passer?
小川紀子です。カトリーヌさんのお友達です。カトリーヌさんをお願いできますか?
M. Binart : Je suis désolé, elle n’est pas là en ce moment. Elle reviendra dans une heure environ.
すみません、今留守にしております。1時間ほどで戻る予定ですが。
Noriko : Ah bon! J’appellerai plus tard.
そうですか。ではまた掛け直します。
M. Binart : Voulez-vous lui laisser un message?
何かお伝えしましょうか?
Noriko : Non merci, Monsieur, ce n’est pas la peine. Au revoir.
いえ、大丈夫です。ありがとうございます。さようなら。
【Vocabulaire 単語】
(“<”記号以下は、もとの形(辞書に載っている形)を表しています。また、名詞の後の(m)、(f)は、それぞれ男性名詞・女性名詞を示しています)
- allô もしもし
- chez ~の家
- appareil (m) 器具、電話機、受話器
- ici ここ、こちら
- passer 取り次ぐ
- Je suis désolé すみません
- en ce moment 今、現在
- reviendra<revenir 戻る
- dans ~の中に、(今から)~後に
- environ 約、およそ
- appelerai<appeler 電話をかける
- laisser 残す
- ce n’est pas la peine その必要はない

ポイント
会話文に登場したフランス語表現を詳しく見ていきましょう。どれも電話でよく使う表現なので、ぜひ覚えてくださいね。
Je suis bien chez~?:~さんのお宅ですか?
電話の決まり文句です。「bien」は「よく」「うまく」の意味ですが、この場合は「確かに」というような意味で使われています。
「chez ~」は「~の家、~のお宅」という意味ですが、社名の前につけることもできるので、個人宅へ電話するときだけでなく、会社やお店に電話するときにも「chez ~」を使いましょう。
「Je suis ~」ではなく、「C’est bien chez ~?」という言い方もできます。
C’est bien chez Monsieur Binart ?
ビナールさんのお宅ですか?
Qui est à l’appareil ?:どちらさまですか
これも電話の決まり文句です。直訳すると「電話にいるのは誰ですか?」となります。
「C’est de la part de qui ?」も同じ意味で、よく使われます。
C’est~:こちらは~です
「C’est Noriko Ogawa qui est à l’appareil. 電話を掛けているのは~です」の後半部分を省略した形です。
「qui」は「誰」の意味ですが、ここでは関係代名詞として使われています。
簡単に「Ici Noriko Ogawa.」といっても同じ意味になりますよ。
Voulez-vous me passer à ~?:~さんをお願いします
直訳すると「私を~さんに取り次いで頂けますか?」となります。
「Voulez-vous ~? ~して頂けますか?」は、ものを頼むときの表現ですね。
後ろには動詞の原形が入りますが、フランス語では代名詞が目的語の場合、動詞の直前に置かれますから、「me 私に」が「passer」の前に入ったわけです。
「parler 話す」を使って「Puis-je parler à~?」という言い方もできます。
Puis-je parler à Catherine?
カトリーヌをお願いします。
Elle reviendra dans une heure :彼女は1時間後に帰ってきます
まず動詞を見てみましょう。「reviendra」は「revenir」という動詞の未来形です。
「revenir」は「venir 来る」に「re-」 という接頭辞が付いたものですね。「re-」は「再び」の意味がありますので、「再び来る→戻る」の意味になります。
このため、「revenir」は「venir」に「re-」がくっついた形の活用をします。
【現在形】
- je reviens
- tu reviens
- il revient
- nous revenons
- vous revenez
- ils reviennent
【未来形】
- je reviendrai
- tu reviendras
- il reviendra
- nous reviendrons
- vous reviendrez
- ils reviendront
次に「dans」という前置詞です。もともとは「~の中に」の意味ですが、「~後に」の意味でも使われます。
Nous arriverons dans deux heures.
2時間後に着くだろう。
Voulez-vous lui laisser un message?:何かお伝えしましょうか?
直訳すると「彼女に(lui)メッセージを残したいですか?」となります。
自分から「彼女にメッセージを伝えてください」とお願いする場合は「Pouvez-vous lui transmettre un message?」と言いましょう。
目的語として代名詞を使う場合のカタチについて、混乱し始めた方のために下記にまとめておきました。合わせてご覧下さい。
【フランス語の間接目的語】
直接目的語とは、日本語の「~を」に当たる目的語、間接目的語とは日本語の「~に」に当たる目的語を指します。
英語では「~を」であろうが「~に」であろうが、代名詞のカタチは変わりませんでした。でも、フランス語では、一部違う場合があります。
以下にまとめておきましたので、一度頭の中を整理してみてください。
主語 | 直接目的語 | 間接目的語 |
je(1人称単数) | me | me |
tu(2人称単数) | te | te |
il / elle(3人称単数) | le / la | lui |
nous(1人称複数) | nous | nous |
vous(2人称複数) | vous | vous |
ils / elles(3人称複数) | les | leur |
では、「AをBに」という場合には、どうすればよいでしょうか。
これは、間接目的語(Bに)が1・2人称の場合と、3人称の場合とでパターンが分かれます。ルールを覚えるより、例文を暗記してしまったほうが早いし、応用も利くでしょう。
<間接目的語が1・2人称の場合>
- 間接目的語が先・直接目的語が後
Je vous le donne.
私はそれをあなたに与える。
Vous me la montrez.
あなたはそれを私に見せる。
<間接目的語が3人称の場合>
- 直接目的語が先・間接目的語が後
Je le lui montre.
私はそれを彼(彼女)に見せる。

フランス語で電話するときの挨拶
最初の挨拶
電話をかけたり、とったりした時の最初の挨拶(一言目)は、上記の会話で登場しているように「Allô もしもし」と言うのが一般的です。
会社やお店に電話をかけた場合には、こちらが何か言う前に相手が「○○(社名), Bonjour . ○○です」と言ってくれます。そんな時には「Allô」ではなく「Bonjour」と返しましょう。
会話文のように一般家庭に電話した場合や、知り合いの携帯電話に電話するような場合は、「Allô, Bonjour」と二つを重ねて言っても構いません。
友達や家族との電話の場合は、「Salut」や「Coucou」のようにカジュアルな挨拶でもいいですね。
終わりの挨拶
電話の終わりの挨拶は、通常の別れの挨拶と同様に「Au revoir さようなら」を使いましょう。
これは知り合いとの電話や問い合わせなどの電話だけでなく、間違い電話やセールス電話の場合でも同じです。
「revoir」は「再び会う」という意味なので、二度と電話してきてほしくない人に「Au revoir」と言うのも変な気がしますが…。難しく考えず、さらっと「Au revoir」と言って電話を切りましょう。
ちなみに自分が間違い電話をかけてしまったときは…
Je suis désolé, je me suis trompé de numéro.
すみません、番号を間違えました。
間違い電話がかかってきたときは…
Vous vous trompez de numéro.
番号を間違っています。
フランス人にとって挨拶はとても大切!電話でも役立つ挨拶表現はこちらをチェック!

「電話」のいろいろなフランス語表現
電話
フランス語で「電話」は「téléphone」、読み方は「telefɔn テレフォヌ」です。単語の最後に「e」が付いていますが、男性名詞なので注意してください。
- télephone fixe 固定電話
「fixe」は「定まった、動かない」という意味。いわゆる家や会社などの固定電話のことで、「sans fil コードレス」の電話も含みます。
- téléphone portable 携帯電話
「portable」は「携帯できる」という意味。文脈によっては、「portable」だけでも携帯電話を意味することもあります。
- smartphone スマートフォン
スマートフォンは日本語でもフランス語でも同じ単語ですが、フランスではあまり「smartphone」は使わず、「portable」という単語を使う傾向があります。
もちろん「smartphone」を買いに行ったり、どんな「téléphone portable」を使っているのか聞かれたときには「smartphone」という単語を使いますが、日本語で「スマホで~する、スマホが~」という感覚で言うときには「portable」を使う方が自然です。
電話をかける
フランス語の「電話をかける」には2つの動詞があります。
一つは「téléphone」の動詞形の「téléphoner」。もう一つは「呼ぶ」という意味を持つ「appeler」です。
どちらも同じように「電話をかける」という意味で使えますが、電話をかける対象に対して「à ~ ~に」が要る・要らないの違いがあります。
Je téléphone à Marie.
J’appelle Marie.
マリーに電話をかける。
「téléphoner」は電話をかける対象が間接目的語になるため「à ~」が必要ですが、「appeler」は対象が直接目的語になるため「à ~」は不要です。
上記のマリーを代名詞に置き換えると…
Je lui téléphone.
Je l’appelle.
彼(彼女)に電話する。
電話をかける対象が3人称複数の場合は…
Je leur téléphone.
Je les appelle.
彼ら(彼女ら)に電話する。
電話をかける対象が2人称の場合は、代名詞は同じ形になります。
Je te/vous téléphone.
Je te/vous appelle.
君/あなた(達)に電話する。
【○○のために電話しました】
Je vous téléphone / appelle pour ~
問合せや予約の電話をするときに便利なのがこの表現です。最初の挨拶のあとに、このように切り出しましょう。
例えば…
Je vous téléphone / appelle pour avoir les informations sur ~
~についての情報が欲しくて電話しました。
Je vous téléphone / appelle pour réserver une table / des places.
(レストランの)テーブル / (交通機関やコンサートなどの)席を予約したくて電話しました。
Je vous téléphone / appelle pour confirmer ma réservation.
予約の確認のために電話しました。
フランス語で予約電話をする方法を詳しく知りたい方には、こちらの記事がおすすめです。
それぞれの動詞の活用も確認しておきましょう。
【téléphoner の活用】
現在形
- je téléphone
- tu téléphones
- il/elle téléphone
- nous téléphonons
- vous téléphonez
- ils/elle téléphonent
過去形
- j’ai téléphoné
- tu as téléphoné
- il/elle a téléphoné
- nous avons téléphoné
- vous avez téléphoné
- ils/elle ont téléphoné
未来形
- je téléphonerai
- tu téléphoneras
- il/elle téléphonera
- nous téléphonerons
- vous téléphonerez
- ils/elles téléphoneront
【appeler の活用】
現在形
- j’appelle
- tu appelles
- il/elle appelle
- nous appelons
- vous appelez
- ils/elles appellent
過去形
- j’ai appelé
- tu as appelé
- il/elle a appelé
- nous avons appelé
- vous avez appelé
- ils/elles ont appelé
未来形
- j’appellerai
- tu appelleras
- il/elle appellera
- nous appellerons
- vous appellerez
- ils/elles appelleront
「appeler」の活用は、語尾の変化だけでなく、「l」→「ll」に変化することもあります。間違いやすいので、しっかり覚えておきましょう。

電話をください
「電話をください」という場合も「téléphoner」「appeler」を使いましょう。
動詞の命令形を使って…
Téléphone-moi. / Téléphonez-moi.
Appelle-moi. / Appelez-moi.
(私に)電話をください。
「vouloir ~してください」を使って…
Tu veux me téléphoner / m’appeler?
Veuillez me téléphoner / m’appeler.
(私に)電話をしてください。
「vouloir」は「(自分が)~したい」という意味でよく使われますが、「~してください」とお願いするときにも使える表現です。上記の命令形よりも丁寧な印象を与えます。
「Veuillez〜」は手紙やメールなどで「~してください」と伝えるときに便利な表現なので、ぜひ活用してください。
「pouvoir ~できる」を使って…
Tu peux me téléphoner / m’appeler?
Pouvez-vous me téléphoner / m’appeler?
電話を(私に)かけてくれますか?
電話しましょう
「連絡を取り合いましょう」という意味で、「電話しましょう」ということもありますよね。そんなときはフランス語で…
On s’appelle.
お互いに電話し合いましょう。
「s’appeller」は自己紹介(Je m’appelle ~ 私の名前は~です)の表現なので、ご存知の方も多いですよね。
しかし「On s’appelle」の「s’appeller」の意味は「お互いに呼び合う、(電話を)かけ合う」という意味です。
この「On」は「私たち」という意味で、「nous」と同じ意味。話し言葉では「nous」の代わりによく使われます。
フランス語の電話番号の言い方
フランス語で「電話番号」は「numéro de téléphone」といいます。
電話番号を伝えるときは、10桁の数字を2つずつに区切って伝えましょう。
01 23 45 67 89
zéro un, vingt-trois, quarante-cinq, soixante-sept, quatre-vingt-neuf
書き方は数字を全て引っ付けて書いてもOKですが、発音と同じように2つずつに区切って書く方が間違えにくいのでおすすめです。
フランス語の数字や発音について詳しく知りたい方は、こちらの記事もチェック!
まとめ
フランス語で電話が掛けられれば大したもの。現地に住むようなことがあれば、否応なくそういう機会も巡ってくるでしょう。
最初のうちは、言いたいことを作文してから臨むのもいいですね。身振り手振りもコミュニケーションのうちですが、勉強した表現が通じた喜びもまた格別ですよ。