フランス語の「さようなら」恋人との別れにはアデュー?
恋人と別れたい!と思ったとき、フランス語では何と言えばよいのでしょうか。
今回は、自分から別れを告げる時に使える表現を中心に、「さようなら」に関するフランス語を紹介します。
目次
恋人にさようならを伝えるフランス語
恋人に「私たち、別れましょう」と伝えなければならないこともありますよね。
まずは、そんなときに使えるフランス語表現を紹介します。
Je te quitte
「quitter qn」は「○○と別れる、離れる」という意味。「Je te quitte」は「私はあなたと別れる」と一方的に別れを告げる表現です。
主語に「On / Nous 私たち」を使う場合は「se quitter (互いに)別れる」を使い、「On se quitte / Nous nous quittons 私たちは別れる」ということもできます。
「quitter qn」を使って、他にもこのように言うことができます。
J’ai décidé de te quitter.
あなたと別れる(あなたの元を離れる)ことを決めた。
Je voudrais te quitter.
あなたと別れたい(あなたの元を離れたい)。
Il vaut mieux qu’on se quitte.
私たちは別れた方が良い。
Je ne veux plus sortir avec toi
「Je ne veux plus sortir avec toi」は「もうあなたと付き合いたくない=別れたい」という意味になります。
「Je ne veux plus ~」は「もう~をしたくない」という意味ですね。
「sortir avec toi」は「あなたと付き合う、あなたとデートする」という意味。「sortir」は「外へ出る、外出する」という意味で良く使われますが、ここでの表現のように「付き合う」という意味があることも覚えておきましょう。
「sortir avec toi」を使ったその他の別れの表現は…
J’en ai assez de sortir avec toi.
あなたと付き合うのはもううんざり。
「avoir assez de ~」は「~はもうたくさんだ、もううんざりだ」という表現。「Je ne veux plus sortir avec toi」よりも、キツイ別れの言葉になります。
「sortir avec toi」は告白にも使われる表現です。詳しく知りたい方には、こちらも記事もご覧ください。
C’est terminé entre nous
「C’est terminé」は「お終い、終わった」、「entre nous」は「私たちの間」。「C’est terminé entre nous」は「私たちの間(関係)はお終いよ」という意味です。
「terminé」の代わりに「fini 終わった」、「entre nous」の代わりに「cette relation この(二人の)関係」を使うこともできます。
C’est fini entre nous.
私たちの関係はお終いよ。
C’est terminé cette relation.
この関係はお終いよ。
On s’arrête là
「arrêter」は「やめる、止まる」という意味。「On s’arrête là」は「私たちはここで(関係を)やめよう」という表現です。
「là」の代わりに「cette relation」や「de sortir ensemble 一緒に出掛ける(デートする)のを」等を使っても良いでしょう。
「Il vaut mieux~ ~した方が良い」をつけて「Il vaut mieux qu’on s’arrête 関係を終わらせた方が良い」という言い方もできます。
Je ne suis pas fait(e) pour toi
「Je ne suis pas fait(e) pour ○○」は「私は○○するようにできていない、向いていない」という表現です。
「Je ne suis pas fait(e) pour toi」だと「私はあなたに合わない」という意味になります。
相手に理想を押し付けられたり行動を制限されたりで、「J’en ai assez! もう嫌だ!」という時に使える別れの表現です。
On se sépare
「se séparer」は「(お互いに)離れる、別れる」という意味。「On se sépare」は「私たちは離れましょう」という表現です。
「se séparer」は「Je」を主語にすることもでき、「Je me sépare de toi 私はあなたから離れる」となります。
Je n’en peux plus
「ne plus en pouvoir」は「もうだめだ」という意味で、別れの場面で使う場合は「(この関係に、あなたに)もう我慢できない」という意味になります。
今まで我慢を続けてきたけれど、これ以上は我慢できない…。これ以上は精神的にやられてしまう…。そんなときに使える表現です。
さようならする理由のフランス語
Je ne t’aime plus
「Je t’aime 愛してる」はフランス語の有名な愛の言葉ですが、その否定形である「Je ne t’aime plus」は「私はもうあなたを好きじゃない」。シンプルでわかりやすい別れの理由ですね。
好きじゃないだけでなく、嫌いになってしまった場合は「Je te déteste あなたが嫌い」。憎んでしまった場合は「Je te hais あなたを憎んでいる、恨んでいる」と言うことができます。
恋人と別れたいときには、「Je t’aime」以外の愛の表現の否定形を使ってもいいでしょう。
Je ne tiens plus à toi.
あなたにもう愛着を感じない。
Je ne suis plus attiré(e) par toi.
あなたにもう惹かれていない。
Je ne m’intéresse plus à toi.
あなたにもう興味が持てない。
Je ne suis plus séduit(e) par toi.
あなたにもう魅了されていない。
これらの愛の表現(今回は否定形ですが…)は、こちらの記事で詳しく解説しています。
On ne s’aime plus
「s’aimer」は「愛し合う」。「On ne s’aime plus」は「もうお互いに愛し合っていない」という意味です。
付き合いが長くなり、お互いに恋愛感情が無くなってしまった。そんな時に使える別れの理由です。
同じような意味で「L’amour n’existe plus entre nous 私たちの間にもう愛はない」という表現もあります。
Plus rien ne va entre nous
「rien ne va」は「何も上手くいかない」という表現ですね。「Plus rien ne va entre nous」は「今はもう私たちの間は何も上手くいっていない」という意味になります。
お互い好きだけど喧嘩ばかり、気持ちが冷めてすれ違いばかり、などのシチュエーションで使える別れの理由です。
Je ne supporte plus ○○
「ne plus supporter ○○」は「○○にはもう我慢できない」という意味です。
下記のような相手の嫌なところ等を入れて使うことができます。
- tes caprices あなたのわがまま
- tes mensonges あなたの嘘
- tes infidélités あなたの浮気、不誠実
- ta famille あなたの家族
フランスでは恋人関係でも家族に紹介し、週末やバカンスを一緒に過ごすのは普通の事。そのため結婚していなくても恋人の家族が苦手、もしくは恋人と家族の付き合いの濃さが苦痛ということもあります。
フランス人の家族の付き合い方については、こちらの記事をご覧ください。
Je suis fatigué(e) de ○○
「être fatigué(e) de ○○」は「○○に疲れた、うんざり」という意味。「Je ne supporte plus ○○」と同じような単語を入れて使うことができます。
とはいえ別れたい理由は複数あったり、そもそも明確な理由がないけどうんざり、ということもありますよね。そんなときには…
Je suis fatigué(e) de toi.
あなたにうんざり。
そして、フランス人との付き合いに疲れたりうんざりするのは、「barrière linguistique 言葉の壁」が原因のことも少なくありません。そんなときには…
Je suis fatigué(e) de la barrière linguistique.
言葉の壁に疲れてしまった。
どれだけフランス語を話せるようになっても、外国人との恋愛は細かなニュアンスや文化の違いからスレ違いが起きやすいですよね。
恋愛初期は気持ちが盛り上がっているので問題にならなくても、付き合いが長くなってくると「barrière linguistique」に疲れてしまうことも残念ながらあるものです。
フランス語会話:恋人に別れを伝える
ここまで学んだ表現を使いながら、実際に別れをを伝えるシチュエーションの会話を見ていきましょう。
Hanako: J’ai quelque chose à te parler… enfin…je voudrais te quitter.
あなたに話があるの…ええっと… あなたと別れたいの。
Paul: Quoi? Mais pourquoi? Je croyais qu’on s’entendait très bien…
なんだって?どうして?僕たちはとても上手くいっていると思っていたのに…
Hanako: Je suis désolée, mais je ne t’aime plus comme avant.
ごめんなさい。でも、もう前のようにはあなたのことを愛していないの。
En plus, je suis fatiguée de ta jalousie.
それに、あなたに嫉妬されるのにも疲れてしまったわ。
Paul: Mais moi, je t’aime. Je ne veux pas te perdre.
でも僕は君を愛してる。君を失いたくないよ。
Hanako: C’est trop tard. Il vaut mieux qu’on se sépare avant qu’on se haïsse.
もう遅いわ。お互いに憎しみ会う前に別れた方が良いのよ。
日常生活の「さようなら」
ここまで恋人に対する別れの言葉を見てきましたが、日常生活で使うフランス語の「さようなら」や使い方も確認していきましょう。
Au revoir.
さようなら。
フランス語で日常的に使われる「さようなら」は「Au revoir」。親しい人から目上の人、お店の人など、どんな人にも使うことのできる万能の「さようなら」です。
読み方はカタカナだと「オ(ル)ヴォア(ル)」ですが、「r」と「v」が入っているため、発音がなかなか難しいですよね。発音に自信がないと声が小さくなってしまい、発音の問題以前に相手に聞こえないことも…。
フランス語初心者であれば、「Au revoir」と正しく発音しようとしてボソボソッと発音するよりは、大きな声で「オーボワー」と言う方が相手に伝わりやすいでしょう。
Salut.
じゃあね。
「Salut」は友達同士や家族間など、くだけた間柄で使われる「さようなら」で、仲が良い相手なら仕事関係の人に使うこともあります。日本語だと「じゃあね」というニュアンスです。
発音は「サリュ」、もしくは「サリュー」と語尾を伸ばす人もいます。
「Salut」は「どうも、やあ」のように「こんにちは」の代わりにも使われるため、くだけた関係の人であれば、これ一つで出会いと別れの挨拶ができてしまうんですよ。
Ciao.
じゃあね。
イタリア語の「Ciao」もくだけた間柄でよく使われる「さようなら」の表現です。発音は「チャオ」、「Ciao Ciao」と二回繰り返す人もいます。
フランス語の「またね」
「またね」に該当するフランス語も覚えておきましょう。「Au revoir」や「Salut」の後にプラスすることもできますし、単独で使うこともできますよ。
フランス語の「またね」は「À ~」の形で表現します。
À bientôt.
またね。
「bientôt」は「まもなく、すぐに」という意味。「また会いましょう」のように、次にいつ会うか決まっていないときに使える表現です。
「次に会うのは決まっていないけど、またすぐに会いたいね」というニュアンスです。もちろん、社交辞令のこともありますが…。
あまり深く考えずに、「Au revoir. À bientôt. さようなら、またね」とセットで使ってくださいね。
À la prochaine.
また次回に。
「prochaine」は「近いうちに」という意味。「À bientôt」と同じく、次に会うのが決まっていないときに使える「またね」です。
À tout à l’heure.
また後で。
「tout à l’heure」は「ほどなく、のちほど」という意味。上記の二つとは違い、実際にその後で会うことがわかっているときに使う「またね」です。
ちょっと出かけるけど帰ってくるとき、職場や学校のお昼休みに入るときなど、比較的短時間でまた会うときに使いましょう。
À plus tard.
また後で。
「plus tard」は「のちに、後で」という意味。基本的には「À tout à l’heure」と同様のシーンで使われますが、どちらかといえば「À plus tard」の方が次に会うまでの時間が長い時に使われる傾向があります。
À demain.
また明日。
「demain」は「明日」という意味。このように次にいつ会うかわかっているときは、「またね」と言うときにも、「À」の後に次に会うタイミングを入れてみましょう。
他にも…
- À ce soir また今晩ね
- À lundi また月曜ね
- À la semaine prochaine また来週ね
この表現には曜日もよく使われるので、確認しておきましょう。
- lundi 月曜日
- mardi 火曜日
- mercredi 水曜日
- jeudi 木曜日
- vendredi 金曜日
- samedi 土曜日
- dimanche 日曜日
「À +曜日」は「À samedi prochain また次の土曜日に」のように曜日の後に「prochain 次の」を付けた形でもよく使われます。
そしてフランス人は、「さようなら」の挨拶の後に「Bon ~ 良い~を」という表現も好んで使います。
Au revoir, bon journée.
さようなら、良い一日を。
Au revoir, bon dimanche.
さようなら、良い日曜を。
別れ際の挨拶に使われる「Bon ~」の表現は、こちらの記事もご覧ください。
フランス語の「永遠にさようなら」
フランス語の「さようなら」といえば「Adieu アデュー」じゃないの?と思う方もいるのではないでしょうか。
ところがこの「Adieu」、実は「À dieu 神の御許で」が語源であり、永遠の別れを意味する「さようなら」です。
フランス人が日常的に使うことはなく、たとえ二度と会うことはないとわかっている相手にでも、一般的には「Adieu」ではなく「Au revoir」を使います。
例えば旅行先の店員さんや間違い電話の相手など、二度と会うことはない相手ですが、最後の挨拶は「Au revoir」が正解です。
フランス人があえて「Adieu」を使うとすれば、「二度と会いたくない」という強いネガティブな気持ちを表したいとき。
相手に自分の強い不快感を伝えることになるので、二度と会いたくないと思っていても、無難にやり過ごしたいなら「Au revoir」を使う方がいいかもしれません。
【恋人と別れるとき】
恋人と別れ話をした後の「さようなら」も、相手を憎んで二度と会いたくないというとき以外は、「Adieu」ではなく「Au revoir」と言って別れましょう。
反対に、学校や職場が同じだったり、近所に住んでいて別れてからも顔を合わせる場合でも、「二度と会いたくないくらい大嫌い、憎んでいる」と相手に伝えたいなら、わざと「Adieu」を使うこともあります。
もしくは、お互いに愛し合っていても何かしらの理由があって別れなければいけないとき、「二度と会わない」という覚悟を込めて使うことも。その場合は、「悲しみを込めた覚悟の別れの言葉」というニュアンスになります。
フランス語の「元気でね」
別れ際に「お元気で」と伝えることもありますね。そんなとき、フランス語では「prendre soin de ○○. ○○に気を配る」という表現を使います。
Prenez soin de vous.
お元気で。
Prend soin de toi.
元気でね。
まとめ
恋人に別れを告げる表現を中心に、「さようなら」に関するフランス語をご紹介しました。
フランス人は恋愛感情が無くなると、情に惑わされずにすっぱりと別れを選ぶ傾向があります。
恋愛感情は「barrière linguistique」でも薄れてしまいがちなので、恋人関係に甘えずにフランス語の上達を目指しましょう!