フランス人が事実婚を選ぶ理由・同棲事情

  1. フランス語会話・勉強

フランス人が事実婚を選ぶ理由・同棲事情

フランスでは「mariage 結婚」を選ばずに「 concubinage 事実婚」という形をとるカップルが増えています。

一緒に暮らしていて子供も居るのに結婚していないケースも多く見られます。では事実婚を選ぶ理由はいったい何なんでしょう。

フランスの同棲事情

フランスでは学生時代は親元で暮らしていても、社会人になり収入を得るようになれば親元を離れます。仕事場と実家が近くても、実家ではなくアパートを借りるのが一般的です。

働いていても理由なく実家で暮らしていると、自立できていないとみなされがちです。そうして一人暮らしをしていると、彼・彼女が出来た時に一緒に暮らすのも簡単ですね。

会話

Nicolas Ecoute, on sort depuis 6mois, est ce que tu veux qu’on habite ensemble ?

あのさ、俺たち付き合って6ヶ月になるし一緒に住まない?

Marie Vraiment ?

ほんとに?

Je pensais à ça aussi, depuis un certain temps !

私もしばらく前からそれ、考えてたの!

Tu veux q’on habite chez toi ou chez moi ?

あなたと私の家のどちらが良い?

Nicolas Je trouve qu’ils sont un peu petit pour nous deux.

どっちも二人にはちょっと小さいと思うんだよね。

D’ailleurs, le mien est assez éloigné de ton travail …

それに、俺の家は君の仕事場から遠いしね。

On peut louer un autre plus grand ?

もっと大きいのを借りようよ

Marie Oui, tu as raison.

そうね、それが良いわね。

On va faire le tour des agences immobilières la semaine prochaine ?

来週、不動産めぐりしましょ。

Nicolas OK, je vais regarder déjà sur Internet !

OK、インターネットでも見ておくよ!

単語

  • sortir (自動詞) 外へ出る
  • depuis (前置詞) ~から
  • habiter (自動詞) 住む
  • ensemble (副詞) 一緒に
  • chez (前置詞) ~の家で
  • louer (他動詞) 賃貸しする/賃借りする
  • agence (女性名詞) 取扱事務所/代理店
  • immobilier (形容詞) 不動産の

フランスでサングラスをかけベンチに横たわる男女。

ポイント

On sort depuis 6mois

6ヶ月前から付き合っている

sortir」は「出かける」ですが、「 sortir avec quelqu’un」だと「~と付き合っている」の意味になります。

ですのでTu veux sortir avec moi ?」と聞かれたときは要注意です。「一緒に出かけない?」ではなく「私と付き合わない?」の意味になりますね。

nous deux

私たち二人

nous trois」といえば「私たち三人」、「nous quatre」だと「私たち四人」となります。

depuis un certain temps

しばらく前から

certain」は「確実な」という意味ですが、「 un」を頭につけて「 un certain +名詞」になると「ある/いくらかの~」という意味になります。

trouver que +直説法 

~であると思う

「~と思う」には他にも「penser」や「croire」があります。「penser」は「(考えた上で)~だと思う」、「croire」は「~だと信じる」というニュアンスが感じられます。

trouver~」だと「(何か根拠があって)~だと思う」といったニュアンスですね。

文中の「Je trouve qu’ils sont un peu petit pour nous deux」は、お互いのアパートの広さを知った上での発言ですから、「trouver」の「思う」が適当です。

D’ ailleurs 

さらに/その上

ailleurs」では「他の場所で」、「par ailleurs」では「他の見地では/他方では」となります。

D’ailleurs, le mien est assez éloigné de ton travail …」は、その前に「どちらのアパートも小さい」と話していますので、「D’ailleurs」「「その上」仕事場からも遠い」となります。

小さい・遠いと言葉の方向性がネガティブで統一されていますね。

par ailleurs」は「D’ailleurs」と逆で言葉の方向性が逆になります。

mon appartement est petit, par ailleurs il est très bien situé」「私のアパートは小さい「けれど」とても良い場所にある」になります。

フランスの引っ越しボックスの前で床に座る若いカップル。

同棲が多い理由

一緒に暮らす状態で問題がない場合、なにか切っ掛けがないとその状態(同棲)に留まってしまいがちです。

二人での同棲生活が上手くいっているので、結婚する必要性を見出せないのですね。

「結婚していること」よりも「パートナーが居ること」に重点が置かれるフランス社会ですから、結婚をせずに何十年と過ごすカップルも少なくありません。

そして法的な結婚をしていない男女が、同情的に見られることもないので、結婚適齢期といったプレッシャーを感じないのも事実婚が多い理由のひとつでしょう。

子供の苗字のつけ方

一緒に暮らしていて子供も居るのに、「mariage 結婚」を選ばずに「 concubinage 事実婚」のままで居ることを選択するカップルも居るフランス、子供の苗字や親権がどうなっているのか気になります。

事実婚をしているNicolasさんとMarieさんの間に、どうやら子供が出来たようです。

Marie Nicolas, j’ai quelque chose de très importante à te dire.

ニコラ、大切な話があるの。

Je suis enceinte  !!

妊娠したの !!

Nicolas Vraiment ? C’est super !!

ほんとに?すごい !!

C’est un garçon ou une fille ?

男の子?女の子?

Marie Ca, on ne peut pas encore savoir.

それはまだ分からないわよ。

Mais on peut commencer à réfléchir à son nom de famille.

でも子供の苗字を考えはじめないとね。

Je voudrais qu’il porte les deux noms de famille.

苗字を2つ付けたいわ。

Nicolas C’est bonne idée.

それはいいね。

Le mien et le tien, comme ça, on sait tout de suite que nous sommes leurs parents.

君のと僕の、こうすれば僕らが親だってすぐ分かるね。

単語

  • important (形容詞) 重要な
  • enceinte (形容詞) 妊娠している
  • garçon (男性名詞) 男の子
  • fille (女性名詞) 女の子
  • nom (男性名詞) 名前
  • famille (女性名詞) 家族
  • parents (名詞) 両親(男性複数形で)

ポイント

quelque chose à dire

何か言うこと

話の前置きに「 j’ai quelque chose à dire」と言う事もありますし「Quelque chose à dire」と言うと「何か言う事ある?」となります。

être enceinte  

妊娠している

être enceinte de mois」で「妊娠~ヶ月」です。

nom 

苗字

nom」だけでも苗字を表しますが「prénom (下の)名前」とはっきり区別したい時には「nom de famille」と言ったほうが良いでしょう。

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子供の苗字を選ぶ場合

・父親の苗字

・母親の苗字

・両親の苗字から1つずつ選んで、好きな順番で並べる

父親が「Dupont」、母親が「Martin」の場合を見てみましょう。この場合の苗字のつけ方は4つあります。

・Dupont (父親の苗字)

・Martin (母親の苗字)

・Dupont Martin (父親+母親)

・Martin Dupont (母親+父親)

ここまでは簡単ですね。では既に苗字を2つ持つ両親の子供はどうなるのでしょうか。父親が「Dupont Martin」、母親が「Simon Leroy」で例を見てみます。

・Dupont / Martin (父親の苗字の1つ)

・Simon / Leroy (母親の苗字の1つ)

・Dupont Martin (父親の苗字から2つ)

・Simon Leroy (母親の苗字から2つ)

・Dupont Simon (父親と母親から1つずつ)

この両親の様に共に2つの苗字を持つ場合、子供の苗字の選択肢は14にもなります。

上記では代表的な例を挙げましたが、「Martin Dupont」と片方の親の苗字を逆転させたり、もちろん「Simon Dupont」と母親の性を前にするのも可能です。

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子供の苗字を選ばない場合

・結婚している場合→父親の性

・結婚していない場合

①子供の生まれる前に父親が認知しなかった場合→母親の性

②子供の生まれる前、もしくは生まれた時に父親が認知した場合→父親の性

この様に結婚している場合でもフランスでは、子供が母親の苗字を名乗ることがあります。

事実婚を選んだカップルでも自分たちで話し合って、納得した上で子供の苗字を決められるんですね。

結婚した場合でも女性の苗字は変わりませんが「Madame+夫の名前」を使うことが日常生活では主流です。

以前は子供の苗字は父親のものになっていたので、事実婚では母親と子供の苗字が違ってしまいました。

ですので、子供が出来ると事実婚から結婚へと移行するカップルも多かったようです。

現在は母親と子供の苗字が違うという問題も、自分たちの選び方次第で解決できるので、子供が出来たから結婚するという選択をする必要を感じなくなっているようです。

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フランスの親権制度

フランスと日本の親権制度において、大きく違うのは結婚していない状態で「共同親権」か否かですよね。共同親権とはその名の通り、父親と母親が等しく子供の親権を有する状態です。

フランスでは事実婚や離婚後も、この子供に対する共同親権は維持されます。日本のように片親だけが (事実婚で両親が揃っていても) 親権を持つ状態とは全く違いますね。

事実婚で苗字の問題も無く、両親が等しく親権を保持できるのならば、結婚する必要が無いのも頷けます。

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