フランスのマルディ・グラとクレープ
2月2日のシャンドルーにはクレープを食べますが、フランスの2月にはもう一度クレープを食べる習慣があります。
カーニバルやパレードが有名なマルディ・グラですが、この日もクレープの日なんですよ。
目次
マルディ・グラのカーニバルとクレープ
シャンドルーにクレープを食べた花子さん、今度はマルディ・グラのクレープに興味がわいてきたようです。
会話
Hanako : On mange des crêpes à la chandeleur, mais on en mange encore une fois en février.
シャンドルーにクレープを食べるけど、2月にもう一度クレープを食べるよね。
Marie : Oui au Mardi gras. Mais pas toujours en février.
ええ、マルディグラね。でもいつも2月なわけじゃないのよ。
Hanako : Cela dépend de la date de Pâques, c’est bien ça ?
復活祭の日にち次第だよね。あってる?
Marie : Exactement. 47 jours avant Pâques.
その通り。復活祭の47日前よ。
Du coup, mardi gras peut être en février ou en mars.
だからマルディグラは2月だったり3月だったりするの。
Hanako : Tes enfants se déguisent ?
お子さんたちは仮装をするの?
Marie : Oui, bien sûr. Il y a un petit défilé à leur école.
ええ、もちろん。学校でちょっとしたパレードがあるのよ。
Hanako : Ils doivent être adorables.
きっと可愛いらしいのでしょうね。
Marie : En petit héros et en princesse.
小さいヒーローとお姫様ね。
Si tu veux, tu viens avec nous ce week-end à la maison de campagne ?
良かったら、今週末に田舎の家に一緒に来ない?
Il y aura un carnaval avec des chars.
山車と張り子の人形のあるカーニバルがあるのよ。
Hanako : Et on brûle Monsieur Carnaval !!
そしてカーニバル氏を燃やすのね !!
ポイント
dépendre de ~
「dépendre de ~」で「~次第」という意味です。
会話中の「Cela dépends de la date de Pâques」は「Pâquesの日にち次第(復活祭は移動祝日)」ということですね。
「cela(ça) dépends ~ それは~による」は質問に答える時にも使えて便利。でも使いすぎは感じが悪い場合もあるので注意してくださいね。
A : Tu veux sortir ce soir ?
今晩出かけない?
B : Ça dépend où tu veux qu’on aille.
君がどこに行きたいのかによるなぁ。
A : J’aimerai aller prendre un coup. Ça te va ?
軽く飲みに行きたいわ。どう?
B : Ça dépend si je suis fatigué ou pas après le travail…
仕事のあとの疲れ方しだいかな…
maison de campagne
「maison de campagne」は直訳すると「田舎の家」になりますが日本語だと「別荘」の方がしっくり来る言葉です。(単に「田舎にある家」を指すこともありますが)
日本語で田舎というとネガティブなイメージが付きまといますがフランス語で「campagne」というとなんだかお洒落な雰囲気がしますね。
パリなどの大都市に住むフランスの富裕層は、周辺の田舎町にこの「Maison de campagne」を持っている場合も多いようです。
平日は都会で仕事をし週末は田舎でのんびり、というのも一つのフランス・スタイルです。
Mardi gras
「la chandeleur 聖女のお清めの祝日」と同じく日本ではあまりなじみの無い行事ですね。
意味
「Mardi 火曜日」と「gras 脂肪の多い」で「肥沃な火曜日」と訳されますが、これではどんな意味かわかりませんよね。
カトリックには「Pâques 復活祭」の前に「carême 四旬節」と呼ばれる期間があるのですが、これは必ず水曜日から始まります。
この期間は食事の節制をする期間。自らを振り返り悔い改めたり、慈善行為が推奨されており、キリストの受難を分かち合うという意味もあるそうです。
そんな「carême」の節制の期間の前に「semaine des sept jours gras 7日間の飽食の週」があり、ここでの「gras」は「carême」中の「manger maigre 肉の無い(=maigre)食事をすること」に対応しています。
つまり「carême」の前に、肉や脂たっぷりの食事をする火曜日というのが「Mardi gras」の意味なんですね。
開催日
「Mardi gras」もカトリックの祝日の一つで2月3日~3月9日の間で移動します。これは移動祝日である「Pâques 」の47日前と決まっているから。
「carême」の初日「Mercredi des cendres 灰の水曜日」の前日、そして「la fin de la semaine des sept jours gras 7日間飽食をする週の最後の日」となります。
「Mardi gras」のクレープには「La chandeleur」における”太陽の象徴”のような意味は無いようですが、クレープには卵やバターが使われていますよね。
「carême」中は「gras」な材料である卵やバターを食べられなかったため、その期間に入る前に食べてしまおうという習慣が関係しているようですよ。
クレープのほかに「beignet 揚げ菓子」などシンプルなお菓子も「Mardi gras」の定番です。
意味
「Mardi gras」には「Carnaval カーニバル/謝肉祭」が付き物です。
カーニバルという言葉は単にお祭り騒ぎを指すこともありますが、本来は”carne 肉”と”levare 取り除く”という意味のラテン語から派生した言葉。
「肉(=gras)を取り除く」つまり節制の期間「carême」に入ることを意味するのが「Carnaval」なんですね。
見所
フランスの「Carnaval」で有名なのは「char 山車」が見所のNiceや、参加者の楽しい「déguisement 仮装」が見所のDunkerqueのものなど。
世界でもイタリアのベネティアやアメリカのニューオーリンズ、ブラジルのリオなど有名なカーニバルはたくさんあります。
そして「char」には藁人形(現在では藁とは限りませんが)を乗せ、街をパレード。最後に「Monsieur Carnaval」や「Roi Carnaval」と呼ばれる人形を燃やし「Mardi gras」は終わりを迎えるのです。