フランス語会話:夏の夜の侵入者「蚊」との攻防
フランスには様々な魅了がありますが、困ることや日本と比べて不便に感じる面も当然ながら存在します。
そんなフランスの “夏の困ること”を覗いてみましょう。
目次
夏の夜の侵入者
今日のマリーさんと花子さんは、花子さんの家でディナーを楽しんでいるようですが…
会話
Marie : Est-ce que je peux ouvrir la fenêtre ?
窓を開けても良い?
Comme j’ai bu du vin, j’ai un peu chaud.
ワインを飲んだから、ちょっと暑くなってきたわ。
Hanako : Oui, mais tu peux fermer la moustiquaire s’il te plaît.
ええ、でも網戸を閉めてね。
Il y a un fil qui pend par le haut, tu peux le tirer.
上から垂れている紐があるでしょ、それを引っ張ってね。
Marie : Ah, c’est super ! Tu l’as fait installer ?
まあ、良いわね!付けたの?
Hanako : Oui, je ne supporte pas d’avoir des moustiques chez moi, surtout pendant la nuit.
ええ、家に蚊がいるのって我慢できないのよ。特に夜はね。
Mon premier été en France, j’ai passé plusieurs nuits blanches à cause d’eux.
フランスで過ごす初めての夏には、彼らのせいで幾晩も眠れない夜を過ごしたわ。
Marie : Tu n’as pas utilisé de produit anti-moustiques ?
蚊よけの製品を使わなかったの?
Hanako : Je n’aime pas utiliser les produits chimiques, et je ne savais pas trop quoi choisir à l’époque.
化学製品を使うのって好きじゃないのよ。それにあの頃は、どれを選んで良いか良くわからなかったし。
Marie : En tout cas, maintenant, le problème est réglé grâce à ta moustiquaire !
まあ、今は網戸のおかげで問題は解決ね!
ポイント
passer une nuit blanche
「nuit blanche」は直訳すると「白い夜」つまり「白夜」ですが、日常生活では「眠れない夜・徹夜」の意味でよく使われます。
「passer une nuit blanche」は「眠れない夜を過ごす」ですね。
もう一つ「nuit blanche」は夜中に開催されるイベントの名称としても使われます。
有名なものでは、10月第一週の土曜日の夜から日曜日の朝にかけてパリで開催される「nuit blanche」がありますね。
この夜はパリの中心のいたるところがライトアップされ、いつもと違ったパリの表情が楽しめますよ。
à l’époque
「époque」は「時代・時期」の意味です。歴史上の時代を表すほか、個人的な時期を表すのにも使えます。
花子さんが文中で使っていた「à l’époque」は「あの頃」の意味ですね。あの頃ってどの頃かと言えば「mon premier été en France フランスでの初めての夏」です。
詳しく表現するなら関係代名詞「où」を使い「à l’époque où j’ai passé mon premier été en France 初めてフランスで夏を過ごした頃」となります。
フランスの蚊事情
moustique
蚊
日本の家の窓には網戸が付いているのがスタンダードではないでしょうか。そのため開け閉めに気をつけていれば、家の中で蚊に悩まされることはありませんよね。
ところがフランスの窓には、網戸がないのがスタンダード。夏の夜に窓を開けると、蚊やハエに悩まされることになります。
produit anti-moustiques
蚊除けのための製品
diffuseur électrique liquide anti-moustiques
コンセントに差し込む蚊避け
フランスでメジャーな家庭での蚊対策としては、コンセントに差し込むイプのもの。中に入っている液体が揮発し、蚊を呼び寄せ退治してくれます。
「électrique 電気」の「diffuseur ディフューザー」で、「 liquide 液体」の「anti-moustiques 虫除け」、なんとも捻りのない名前ですね。
spray anti-moustique
スプレーの蚊避け
こちらも捻りのない名前で「spray スプレー」タイプの虫除けです。
体に吹き付けて使うタイプのものと、窓枠などに拭きつけて蚊の侵入を防ぐタイプがあります。
窓に吹き付けるタイプのものは、「barrière 柵・障害物」や「répulsif 防虫剤」と書いてあることが多いので、体用との使い分けには気をつけてくださいね。
encens insecticide
蚊取線香
あまりフランスでは使われませんが、蚊取線香も存在しています。
「encens」は「線香」、「insecticide」は「殺虫の」の意味。「encens anti-moustique」でもOKです。
渦巻き型より小さい三角錐や棒状をしているものがほとんどで、蚊遣り豚の代わりに小皿等において使われます。
moustiquaire
蚊帳・網戸
さて日本の蚊対策には大活躍な窓に設置されている「moustiquaire」ですが、フランスではあまり見かけることはありません。
一般的にフランスで「moustiquaire」と言うと、ベッドの上につるす蚊帳を指すことが多いようです。
でもこれだと寝ているとき以外には、家の中でもかの被害にあってしまうので、暑くても窓を開けるのをためらってしまいますよね。
そんな不便さにフランス人も気が付きつつあるのか、窓枠に取り付ける網戸を見かけるようになってきました。
ただ残念なのが「moustiquaire」をつけると、せっかくのおしゃれな両開きの窓が、一気にダサくなってしまうことでしょうか…。
【フランスの網戸のタイプ】
タイプは「rideau カーテン」「enrouleur ロール式(ロールスクリーンと同じようなシステム)」などが一般的です。
フランスの窓は両開きのものが多いので、日本のようなスライド式の「moustiquaire」は一般的ではないようですよ。