フランスの秋冬の風物詩ともいえるのが「marrons chauds 焼き栗」のお店です。香ばしい香りに引かれて、お腹がすいてしまいますよね。
そんな「marron」ですが、実は食用の栗ではないってご存知ですか?
目次
パリで栗拾い?
今日の花子さんとマリーさんは、秋の街を散策中。ふと足元を見ると落ちていたものは…?
会話
Hanako : Ah, il y a plein de marrons par terre.
あ、マロンがたくさん地面に落ちているわ。
Tu peux m’attendre un peu ? Je voudrais les ramasser.
ちょっと待っていてくれる?マロンを拾いたいわ。
Marie : Je peux t’attendre, mais qu’est-ce que tu fais avec ces marrons ?
待つのはいいけど、マロンで何をするの?
Hanako : Bien sûr que je les cuisine!
もちろん料理するのよ!
Marie : Attends un peu, je crois que tu confonds les marrons avec les châtaignes.
ちょっと待って。あなたマロンとシャテーニュを混同しているでしょう。
Ces marrons ne sont pas comestibles. Les marrons qu’on mange, ce sont les châtaignes.
このマロンは食べられないわよ。私たちが食べているマロンは、シャテーニュよ。
Hanako : Ah bon ? Mais on mange des marrons, n’est ce pas ?
え、そうなの?でもマロンを食べているわよね?
Les marrons chauds, le marron glacé, la crème de marron, etc.
焼き栗にマロングラッセ、マロンクリームとか。
Marie : Oui, tu as raison.
ええ、その通りよ。
Cependant, les marrons qu’il s’agit ne sont pas des marrons, mais la châtaigne qui est le fruit du châtaignier .
でもね、それらのマロンはマロンじゃないの。シャテーニュというシャテニエ(栗の木)の実なのよ。
ポイント
par terre
「par terre」は「地面に」という意味です。公園にはクルミやノワゼットの木が植わっていることもあり、秋になると拾い集めているフランス人をよく見かけます。
confondre A avec B
「confondre」は「混同する・間違える」という意味。「AとBを間違える」は「avec」を使い「confondre A avec B」と表現します。
マロンとシャテーニュ
マロン
フランス語で「栗」といいたいとき、まず思い浮かべる単語は「marron マロン」ではないでしょうか。
「marron glacé マロングラッセ」や「crème de marron マロンクリーム」など、お菓子の名前でおなじみですよね。
パリの街路樹に良く使われている「marronnier マロニエ」をマロンの木、つまり栗の木と思っている人も多いのでは?
日本の秋には銀杏拾いをしたりしますが、パリでは栗拾いができるのか…なんてうらやましく思ってしまいますよね。
とことがこの「marronnier」ですが正式には「marronnier d’inde」といい、実は栗の木ではなく「トチの木」のこと。
この木から採れる「marron(d’inde)」は有毒で、食用ではなかったんです!拾っても食べられないのが残念…。
シャテーニュ
では食べられる「栗」はフランス語でなんというのかというと「châtaigne」です。そして「châtaigne」が採れる木は「châtaignier」と呼びます。
栗というとマロンという呼び方のほうが馴染みがあるので、変な感じがしてしまいますね。
マロンと呼ばれるシャテーニュ
「栗=châtaigne」が基本ですが、紛らわしいことに「châtaigne」を「marron」と呼ぶことも多々あります。
どんな場合に「châtaigne」なのに「marron」の呼び名が使われるかというと、大きく立派な「châtaigne」のことを「marron」と呼ぶようです。
「marron glacé」などが当てはまります。
もう1つは栗の加工品の場合です。小ぶりな「châtaigne」を加工した「crème de marron」などがそうですね。
生の栗の場合で「marron」とあれば大きい栗、「châtaigne」とあれば小さい栗の場合が多いようです。
どれも「marron」と呼ばれてもあくまで「châtaigne」です。「marronnier」から採れる実ではないので、間違えないように気を付けたいですね。