フランスの秋の味・第三弾はジビエ!野性味の強い肉はフランス人でも好みが分かれるものですが、日本ではなかなか味わえない味です。
機会があれば一度は本場フランスで味わってみてはいかがでしょうか?
目次
お肉屋さんのウィンドー
今日の花子さんとマリーさんはパリの街を散策中。通りがかったお肉屋さんのウインドーを見た花子さんですが、びっくり仰天しています。
会話
Hanako : Qu’est-ce que c’est bien décorée, la vitrine du boucher.
お肉屋さんのウィンドー、素敵に飾られているわね。
Marie : Avec des feuilles mortes, des marrons, des glands… ça se représente bien l’automne.
落ち葉に栗、どんぐりね…秋を上手に表しているわ。
Regarde, il y a plein de gibiers là-bas.
見て、あそこにたくさんのジビエがあるわ。
Hanako : Ouh là là, mais il y a un lapin dépouillé ! C’est dégoûtant !
あらまあ、皮をはがれたウサギが居るわ。酷いわね。
Marie : Ah bon ? Pour moi, il me donne envie de manger.
あら、そう?食べたくなるけどね。
J’adore le lièvre faisandé.
私は「lièvre faisandé」が好きよ。
Hanako : Le lièvre faisandé ? Qu’est-ce que c’est ?
「lièvre faisandé」?それはなに?
Marie : Le lièvre est un lapin sauvage. Faisander est la façon de conserver le gibier pour attendrir et donner un goût particulier.
「lièvre」は野ウサギのことよ。「faisander」はジビエを保存する方法の事で、お肉を柔らかくしたり独特の味わいを与える方法よ。
ポイント
vitrine
「vitrine」は「ショーウインドー」のこと。お店の路面の大きいガラス窓や、商品を陳列するケースの事を指します。
普段は季節のあまり関係ないお肉屋さんの「vitrine」ですが、秋は羽根突きの野禽などが並べられ、シックな色合いでおしゃれに飾られます。
feuille morte
「feuille」は「葉」、「morte」は「死んだ・枯れた」ですから「feuille morte」は「枯れ葉・落ち葉」の意味になります。
dépouiller
「dépouiller」は「皮をはぐ」の意味です。
文中で花子さんをびっくりさせた「lapin dépouillé」はつまり「皮をむかれたウサギ」ということなんですね。
体部分だけでなく頭の皮もむかれているので、目玉がギョロッとして見慣れないとなかなかにグロテスクな様子…。
まれに頭や足の部分の毛を残している場合もありますが、それはそれで、なかなかにシュールな光景です。
ジビエとは
「gibier ジビエ」はフランス料理の影響か、日本語でもそのまま使われることが多いですが「猟の獲物」の事です。
野鳥や野ウサギ・猪や鹿など日本ではめったにお目にかかれないお肉が、お肉屋さんで普通に売られています(さすがにスーパーでは殆ど見かけませんが)。
食べられる期間
基本的に「gibier」は猟のできる期間しか食べることができません。
解禁の時期は種類によって違い、多くは9月中頃ですが、渡り鳥などは8月下旬になります。
ちなみにマリーさんの好きな「lièvre 野ウサギ」の期間は、2017年だと9月17日~11月30日までとなっており、正しく「秋の味」ですね。
独特な熟成方法
「gibier」は野生の動物なので、家畜と比べ臭みや独特の風味が強いのが特徴です。
その風味をさらに加速させるのが「faisander」と呼ばれる熟成方法です。
そもそもお肉はある程度熟成させてから食べるものですが「gibier」は少し腐る程度まで熟成させるのが特徴です。
熟成の目安としては、例えば「lièvre」だと、足を紐で縛って吊るしておいたものが腐り始めて落ちてしまう程度ともいわれています(調理法によって熟成度は違うようです)。
味は賛否両論
クセの強い「gibier」はフランス人の中でも好き嫌いの分かれる食材です。獣臭いお肉を食べられていない日本人には、なかなかハードルが高いかもしれません。
癖の強いチーズやソーセージなども好みが分かれる食べ物なので、「gibier」に限ったものではありませんが…
きちんと下ごしらえを行ったものは、馥郁とした香りと複雑な味わいで絶品です。信頼できるレストランのメニューで見かけたら、ぜひ試してみてくださいね。
そして「gibier」のお供には赤ワインも忘れずに!