お菓子に欠かせないホイップクリームですが、その由来をご存知ですが?フランス語で「crème chantilly」と呼ばれる、その由来を覗いてみましょう。
目次
苺とホイップクリーム
今日の花子さんはマリーさんのお宅でティータイムを過ごしています。本日のおやつは苺のようですが…?
会話
Marie : Zut, elles ne sont pas assez sucrées, ces fraises.
あらまあ、この苺、あまり甘くないわ。
Est-ce que tu veux de la crème chantilly ?
ホイップクリームいるかしら?
Hanako : Oui, s’il te plaît.
ええ、お願いするわ。
Humm, Qu’est-ce qu’elle est bonne, cette crème !
うぅん、このクリーム、なんて美味しいの!
Marie : Ah, tu vois ? C’est la crème fermière.
あら、わかる?農場産のクリームなのよ。
Hanako : Ça ma rappelle le goût de la crème chantilly que j’ai mangée au château de Chantilly.
シャンティイ城で食べたホイップクリームの味を思い出すわ。
Marie : Je ne suis jamais allée au château de Chantilly.
シャンティイ城には行ったことがないわ。
On peut y manger la crème chantilly ?
そこでホイップクリームを食べられるの?
Hanako : Oui, on dit que c’est là-bas que l’on a inventé la crème chantilly.
ええ、ホイップクリームは、あそこで発明されたらしいの。
Dans le café du hameau, il sert la crème selon la recette de l’époque.
集落の中にあるカフェでは、当時のレシピどおりのクリームが提供されているのよ。
ポイント
fermier
「fermier」とは「小作地の・農家/農場の」という形容詞で、工場生産ではなく、原料の生産者が加工して販売している商品を指すときに使われます。
「crème fermière」だと、畜産農家がその牛乳を使い作ったクリームのことですね。大手企業のクリームより、濃厚で風味豊か、個性も豊かなものが多いようです。
hameau
「hameau」とは「小さな集落」を意味します。お店や学校などの無い、家だけが何件か集まっている、というイメージです。
la crème chantilly
「crème chantilly」とは「ホイップクリーム」の事。
「crème」は「クリーム」ですが、「chantilly」とは固有名詞です。パリ近郊の北に位置する町の名前であり、そこにあるお城の名前でもあります。
名前の由来
クリームを泡立てたものが料理やお菓子に使われだしたのは16世紀のイタリアのようですが、フランスで「crème chantilly」が生まれたのは「château de Chantilly シャンティイ城」でのこと。
生みの親は「Vatel」という17世紀のシャンティイ城のコック長だといわれており、当時の王を招いての食事会で提供されたようですよ。
そのことからお城の名前を取って「crème chantilly シェンティイ クリーム」と呼ばれるようになったそうです。
生乳を使ったクリーム
「château de Chantilly」の広大な庭園のなかに「le Hameau」というレストランがあり、そこで当時のレシピのままの「crème chantilly」を味わうことができます。
現地で味わえる「crème chantilly」は、こっくりと濃厚で少し茶色がかった色をしており、ホイップクリームといってイメージする軽い味わいとは全く違う美味しさです。
濃厚な味の秘密は、乳脂肪が多いことと「crème cru 非加熱のクリーム」を使っていること。ミルク本来の豊かな風味が楽しめますよ。
【自宅で再現するなら】
残念ながら、市販の生クリームは必ず殺菌処理がされているので「château de Chantilly」で頂く「crème chantilly」と同じ味を自宅で作るのは不可能です。
少しでも近い味を家庭で楽しみたい場合は「crème fermière 農場産のクリーム」を使ってみてください。
乳脂肪分が高いクリームを手に入れることができるので、濃厚な風味の「crème chantilly」を作ることができますよ。
château de Chantilly
「château de Chantilly」はパリの北郊外に位置しており、「Gare du Nord 北駅」から SNCF (約25分)もしくはRERのD線(約45分)で行くことができます。
見所は、お城の中にあり、ルーブル美術館に次ぐ古典絵画のコレクションを誇る「Musée Condé コンデ美術館」。
有名なルーブル美術館やヴェルサイユ宮殿よりも観光客が少ないので、お城や絵画をじっくり見て回りたい人におすすめですよ。
もう1つの見所は「Grandes Écuries 大厩舎」と、併設されている「Le musée du cheval 馬の博物館」。
現在も使われている「Grandes Écuries」を見学でき、馬の調教のデモンストレーションも見ることができますよ。