フランス・夏至の音楽祭

  1. フランス語会話・勉強

夏至の夜に行われる音楽祭をご存知でしょうか?フランス発祥のこのイベントは今や世界各国で行われるようになりました。

そんな夏至の音楽祭、フランスではどんな様子なのかを覗いていましょう。

街中のコンサート

日もだんだん長くなって夏が近づいてきたある日、マリーさんは花子さんに音楽祭の日の予定を尋ねているようです。

会話

Marie : Est-ce que tu sors pour la fête de la musique avec ton mari ?

音楽祭にご主人とお出かけする?

Hanako : Oui, on compte sortir pour se balader dans le quartier.

ええ、界隈を散歩しに出かけるつもりよ。

Marie : Si vous aimez le jazz, venez nous joindre.

もしジャズが好きなら、私たちのところにいらっしゃいよ。

Un ami va jouer dans un bar.  

友人の1人がバーで演奏するの。

Hanako : J’aime bien le jazz ! Il joue de quel instrument ?

ジャズは大好きよ!彼はどんな楽器を演奏するの?

Marie : Du piano. Il est amateur, mais très talentueux.

ピアノよ。彼はアマチュアだけどとても才能があるの。

Vous ne serez pas déçus.

がっかりしないわよ。

Hanako : Super. Il commence à quelle heure ?

わかったわ。何時に始まるの?

Marie : Vers 23 heures, il me semble. Un peu tard pour toi ?

23時位だったと思うわ。あなたにはちょっと遅い?

Hanako : Non ça ira. De toute façon, à cause de la musique, je suis sûr que je ne peux pas dormir avant certaine heure…

いいえ、大丈夫よ。だいたい音楽のせいで、ある程度の時間までは寝れないってわかってるからね…。

フランスの路上で音楽を演奏するミュージシャンのグループ。

ポイント

instrument

instrument」は「道具・器具」の意味。「de musique 音楽の」をつけ「instrument de musique」で「楽器」の意味になります。

文中では音楽祭やジャズについて話しています。話の流れで「楽器」とわかってもらえる場合は「instrument」だけでもOKです。

 amateur

amateur」は「愛好家」や、「アマチュア」の意味を持ちます。

文中の「il est amateur」は「アマチュアのピアニストである」という意味ですね。

愛好家とアマチュアの区別をはっきり付けたいときには、「amateur de  musique 音楽愛好家」「musicien amateur アマチュアの音楽家」と表現しましょう。

La fête de la musique

  • fête 祭り・パーティー
  • musique 音楽

La fête de la musique」は1982年にスタートしたフランス発祥の音楽祭です。それ以来、毎年一年で一番日が長い夏至の6月21日に開催されています。

この日は、街中のありとあらゆる場所で音楽が溢れています。

コンサート会場や特設ステージのみならず、公園・広場・カフェ・そして道路上にまで演奏者が現れ、多種多様な音楽を聞かせてくれます。

いつもなら賛美歌が流れる教会でロックのコンサートが行われたりもするんですよ。

プロの演奏者もいますが、アマチュアが多いのもこの音楽祭の特徴です。

フランスのコンサートでベースギターを演奏する人々のグループ。

アマチュアのお披露目の場

この音楽祭が誕生した目的は、普段人前で演奏する機会のないアマチュア音楽家に披露の場を提供することでした。

楽しそうに演奏する姿はエネルギーに溢れていて、夏至の夜を彩るにふさわしいイベントといえるのではないでしょうか。

老若男女が楽しめる一大イベント

夏至の夜は緯度の高いパリは10時過ぎまで明るく、一年で一番短い夜を音楽三昧で過ごそうと開催される音楽祭は老若男女が楽しめる一大イベントです。特設ステージで、カフェで、路上で、ジャズあり、ロックあり、クラシックあり、ソウルあり、ブラスバンドあり、サンバあり、和太鼓まで登場します。

パリ遊学中の太郎さんがこれを見逃すはずもなく、学友ピエール君から情報収集中の様子。

会話

Taro: Pierre, tu vas aller à la fête de la musique?

ピエール、音楽祭には行くかい?

Pierre: O, tu t’interesses?? J’y irai, sans doute. Et toi aussi?

あ、興味ある?たぶん行くよ。君も?

Taro: Oui, j’aimerais bien aller. Mais où sortir?

うん、ぜひ行きたいんだ。でもどこへ行けばいいんだろう?

Pierre: Bien, il y a un site officiel dela fête. Tu peux consulter si tu veux. Mais il te suffit de sortir prèsde chez toi. Il y a des concerts partout dans la ville.

うん、公式ウェブサイトがあるよ。何だったらチェックすればいい。だけど、家の周りに出かけるだけでも十分だよ。街中いたる所でコンサートをやってるからね。

Taro: Ils sont gratuits, n’est-ce pas?

無料なんでしょう?

Pierre: Oui, et ouverts au public. Les réseaux métro, bus, RER et trains fonctionnent toute la nuit. C’est une grosse fête! Tu viens avec moi?

うん、だれでも行っていいんだ。地下鉄やバス、RERも電車も終夜運転で、すごいお祭りだよ。一緒に来るかい?

Taro: Avec plaisir!

喜んで!

ポイント

Vocabulaire(“<”記号以下は、もとの形(辞書に載っている形)を表しています。また、名詞の後の(m)、(f)は、それぞれ男性名詞・女性名詞を示しています)
fête (f) 祝祭、お祭り騒ぎ
doute (m) 疑い
sans doute おそらく
site official 公式ウェブサイト
consulter 相談する、参照する
suffit<suffire 十分である、足りる
près 近く
chez ~~の家
partout いたる所で、あちこちに、どこもかしこも
gratuit 無料の
réseau (m) 網、ネットワーク
fonctionner 機能する、働く
grosse<gros 太い、大きい、並外れた

J’y irai, sans doute.:「たぶん行くよ」

iraialler「行く」の単純未来形(1人称単数)です。一応活用をまとめておきましょう。

***********allerの活用(単純未来) **********
J’irai         nous irons
    Tu iras         vous irez
    Il ira          ils iront

J’ と iraiに挟まっているyは、場所を表す副詞で、「そこへ」「そこで」「そこに」の意味です。à+名詞の代わりにおかれていると思えばよいでしょう。
sansは英語でいうwithoutdouteは同じくdoubtですから、直訳すると「疑いなく」となり、「必ず」「間違いなく」の意味になりそうなものですが、「たぶん」「おそらく」の意味になります」

il te suffit de sortir près de chez toi.:「自分の家の近所に出掛けるだけでよい」

このilは無人称のilで、形式的な主語です。実質的な主語はde以下の部分で、il suffit de ~で「~することで十分だ」の意味になります。te はここでは英語のfor youにあたり、「~する人」を表しています。

Ex. Il lui suffit d’attendre ici.   「彼はここで待っていさえすればよい」
Ex. Pour commander ce livre, il vous suffit de remplir le formulaire ci- dessous 「この本を注文するには、下のフォームに記入するだけでよい」

chez ~は「~の家」の意味で、ここでは名詞的に使われていますが、「~の家で(に、へ)」副詞的に使うことも出来ます。
Ex. Viens chez moi! 「うちにおいでよ」

Ils sont gratuits :「コンサートは無料だ」

「無料」はgratuitです。
Ex. Le Musée du Louvre est gratuit le dimanche. 「ルーブル美術館は日曜日は無料だ」
Entrée gratuite 「入場無料」

La fête de la musiqueは1982年に始まった比較的新しいお祭りですが、嬉しいのは、どのコンサートも無料なこと(もちろんカフェのコンサートなら飲み物代はかかりますが)。

今や初夏の風物詩として定着し、パリ以外の街にも広がっています。緯度が高いということはそれだけ冬も長いということで、夏の到来は単純に嬉しいのかもしれませんね。

きちんと調べてお目当てのコンサートを聴きに行くのも良いですし、散歩しながら気に入ったコンサートの前で足を止めるのも楽しいですよ。

ただ基本的に屋外のイベントだけに、悪天候は鬼門で、2012年にはストラスブールなどの街で暴風雨のため中止になりました。

音楽祭を楽しむための注意事項

この「La fête de la muique」、無料なだけありどこも凄い人出です。そのためコンサートに夢中になっていると、人混みの中でスリにあったり、酔っ払った人に絡まれたり…。

音楽を楽しみながらも、周囲への注意は怠らないようにしてくださいね。

フランス旅行で音楽祭の日の夕方以降に到着される場合、ホテルの位置によっては人混みで移動に苦労することもあるでしょう。

また深夜まで行われるイベントなので、大音量の音楽のせいで寝れない、なんてこともありえます。

なんと言っても街中がコンサート会場のようなものなので、防音設備が整っているホテルでも完全にシャットアウトするのは難しいことが多いようです。

翌日に早起きの予定があるなら、耳栓を用意した方がいいかもしれませんね。

https://fetedelamusique.culture.gouv.fr/

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