2018年冬の「mouvement de gilets jaunes 黄色いベスト運動」は日本のニュースなどでも報道されていますよね。
今回はそんな 「gilets jaunes」たちがよく口にしている、悲しい意味のフランス語のセリフを見てみましょう。
悲しい意味のフランス語集
J’en ai ras le bol!
もううんざりだ!
- ras すれすれに・ぎりぎりに
- bol ボール・椀
「avoir ras le bol de~」で「~にうんざりする・もう十分だ!」という意味。「bol」の「ras」まで不満が溢れかえって、今にもあふれ出そうな状態が想像できますね。
同じように「うんざり」していることを表すのに「J’en ai assez」や「J’en ai marre」という表現がありますが「J’en ai ras le bol」はこれらより「もっとずっと心底うんざり」という時にピッタリくる表現です。
Je ne vis pas, je survis.
« 生きている »のではなく 、« 生き延びている »。
- vivre(vis) 生きる・生活する
- survivre(survis) 生き残る・生き延びている
最低賃金で働く人の多いフランスでは、少ない給料でカツカツの生活を送る人が少なくありません。
そんな彼らの毎日は「vivre」という単語が与える明るいイメージの生活ではなく、辛いもの。「vivre」ではなく「survivre」と、何とか生き延びているという状態である、と言っているわけです。
Je n’arrive pas à boucler la fin du mois.
月末を乗り切ることができない。
- ne pas arriver à ~ ~をすることができない
- boucler 締めくくる・決済する決済する
- fin du mois 月末
毎月赤字続きであることを意味します。
お給料や国からの手当などの額が少なく、どんなに節約しても毎月赤字を出してしまうフランス人は多いのです。
ちなみに「赤字をだす」は「tomber dans le rouge」です。
Ce n’est pas normal de travailler à perte.
損をするために仕事をするのはおかしい。
- Ce n’est pas normal de ~ ~は普通ではない
- travailler 働く
- à perte 損をして
農業従事者やパン屋などの自営業者が、頑張って働いているのに自分の給料が出せない状態であることを意味します。
働けど働けど売上よりも支払いの方が多く、しかしお店や農場などを手放す勇気も出ず、借金を重ねるほかなくなってしまいますね。
特にこういった自営業者の場合、それこそ朝から晩まで働き詰めであるのに最低限の生活を送るだけの収入を得らず、現在の経済システムが問題視されています。
Ce n’est pas normal que les enfants ne peuvent pas partir en vacances.
子供達がバカンスに行けないのはおかしい。
- partir en vacances バカンスに行く
フランス人にとってバカンスは「sacré」つまり「神聖な」ものなんです。
何のために働くかと言えばバカンスのためと答えるのがフランス人、バカンスに行けないというのは、日本人からは考えられないくらい辛く悲しいことなんですね。
親の収入がとても低い子供たちのために、無料でバカンスに連れて行ってくれるようなシステムもありますが、もちろん全員が対象になるわけではありません。
逆に最低レベルではないけど贅沢はできない、といった生活レベルの人たちの子供の方がバカンスに行けないという状況になってしまっているようです。
Il faut que les richesses soient équitables.
富は公平に分配されるべきだ。
- Il faut que~ ~するべきだ
- richesse 富
- équitable 公平な
ルノーPDG(社長)であるカルロス・ゴーン氏の事件が世間を賑わせましたね。
ゴーン氏を例にとってもわかるように、フランスの大企業PDGの収入はとてつもない額。一般社員はSMIC(最低賃金)で働かされているのに、企業の代表たるPDGは目を疑うような給料を懐に収めています。
そんなフランス社会における、一部のエリートとその他大勢の不公平な状況を表す一言です。
まとめ
フランスにはおしゃれで華やかなイメージがありますが、実際にはマイナス面も沢山あります。同様にフランス語にも、できれば耳にしたくないようなセリフもたくさんあります。
悲しい現実ではありますが、一歩進んだフランス語力を身に付けると思って、様々な言い回しを覚えるのも大切ですね。