フランスのパンといえば「baguette バゲット」が有名ですが、フランスのパン屋には似ているのに違う名前のパンがいくつも並んでいます。今回はそんな「baguette」に代表される、フランスの食事用パンの種類について覗いてみましょう。
目次
クラシック?それともトラディッション?
夕食にマリーさんを招待している花子さん、どうやらパンを買い忘れていたことに気づいたようです。
会話
Hanako: J’ai oublié d’acheter le pain pour le dîner. Je vais en acheter.
夕食のパンを買うのを忘れていたわ。買いに行ってくる。
Marie: Je vais en acheter, si tu veux. Une baguette classique ou tradition?
良かったら、私が買いに行くわ。クラシック?それともトラディッション?
Hanako: Je préfère la ficelle, si ça te va. Sinon, tu peux choisir ce que tu aimes.
もしあなたも好きなら、フィセルが良いな。もしくはあなたの好きなのを選んでいいわよ。
Marie: J’aime quelque chose de plus consistant, comme le pain de campagne ou le pain aux céréales.
私はもっと噛み応えのあるのが好きよ。例えばパン・ド・カンパーニュと穀物入りのパンとか。
Hanako: Sans problème, je les aime aussi.
問題ないわ。私も好きよ。
細長いパンの種類
細長いフランスのパンといえば、いわゆるフランスパン「baguette」が有名ですが、他にもいろいろなパンがあります。
baguette classique
「baguette classique」はいわゆる「baguette」のことで、パリなどでは約250gの物を指します。「classique」は「伝統的な、ごく普通の」という意味です。
「baguette parisienne パリのバゲット」「baguette blanche 白いバゲット」とも呼ばれます。
baguette tradition
「baguette tradition」の外見は、少し色が濃いくらいで「baguette classique」とほぼ同じ。「tradition 伝統」の名の通り昔ながらの作り方を守っている「baguette」です。
発酵時間をより長く取っているため、「croûte 皮」のパリパリ感や「mie 中身」の空洞が「classique」よりも大きく、保存期間も比較的長めなのが特徴です。
別名は「baguette de campagne 」や「baguette rustique」。どちらも「田舎の」という意味です。
ficelle
「ficelle」は「紐」という意味があり、その名の通り細長いパンのこと。形以外の作り方は「baguette classique」と同じです。
細長いので「mie」に対して「croûte」が多く、「baguette」よりもパリパリ食感がより楽しめます。
flûte
「flûte」は「フルート」の意味なので細長いパンを想像してしまいますが、実は「baguette」よりも2倍ほど太いサイズのパンです。
bâtard
「bâtard」は太くて短いパンのこと。「flûte」との違いはその長さで、「flûte」は「classique」と同じくらいですが、「bâtard」は半分くらいです。
baguette en épis
「épi」は「穂」のことで、「baguette en épis」はその名の通り麦穂をかたどっています。
一本のパンの中に沢山の「croûton パンの端」があるので、「baguette」の端っこが好きな人におすすめです。
【紛らわしいパンの名前】
細長いパンは「baguette classique」「ficelle」「flûte」「bâtard」のように生地は同じでも、サイズによって呼び方が変わります。
上記でサイズや長さをお伝えしましたが、実は地方やお店によっても呼び方が違い、「ficelle」のことを「flûte」と呼ぶことも。
「flûte」が一般的な「baguette classique」のサイズで、「baguette classique」が一回り小さいというケースもあります。
いろいろなパンの種類
pain de campagne
「pain de campagne」は丸くて大きい「田舎パン」のこと。楕円型のこともあります。少しの酸味と長期保存できるのが特徴です。
「farine de blé 小麦粉」か「seigle ライ麦」、もしくはどちらも使い作られることが多いですが、他の粉類も使われます。
pain aux céréales
「pain / baguette aux ○○」で「○○入りのパン/バゲット」。「céréale」は「穀物」の意味で、他にも「graines de ○○ ○○の種」「noix クルミ」「sésame ごま」などいろいろなものがあります。
pain complet
「complet」は「完全な」という意味で、「farine complet 全粒粉」を使ったパンのことです。
pain au levain
「levain」は「サワードウ」のこと。酸味と独特の風味が特徴です。
まとめ
フランスには食事用のパンにもたくさんの種類があるので、シンプルな「baguette」だけでなく、色々チャレンジして自分の好みを探すのがおすすめです。
ただしお店によって名称が違う場合があるので、初めてのお店では指さしながらお買い物すると安心かもしれませんね。
フランスの食パンについてはこちらをご覧ください。