「ジュテーム」これは有名なフランス語の愛の表現ですが、「好きです」と告白する時には使いにくいことをご存知でしょうか。
今回は「ジュテーム」以外のフランス語で告白する方法や、恋人への愛情表現について覗いてみましょう。
恋愛におけるフランス語の魅力的なフレーズ: 愛情を伝えるための完全ガイド
目次
「ジュテーム」の意味と使い方
「ジュテーム」は「Je t’aime」。「あなたを愛しています」という意味です。
「aimer」は物にも人にも使える表現ですが、物の場合は「好き」、人に対しては「好き」ではなく「愛している」の意味で使われます。「Je t’aime」というと「好き」という比較的軽い愛情表現ではなく、重い愛情表現になってしまうのですね。
もちろん付き合っている相手には「Je t’aime」と伝えますし、フランス人は自分の子供や親などに愛情を伝える時にもこの表現を使います。
【とても好き=友達として好き】
そして「Je t’aime」には「Je t’aime beaucoup」「Je t’aime bien」のように「たくさん・とても」を意味する「beaucoup」や「bien」を付けて、好きの程度を表現することもあります。
「aimer」を人物に対して使う場合は「beaucoup」や「bien」が付くと、本来の意味よりも軽くなるという特徴があります(物に対しては「大好き」の意味になる)。
そのため「Je t’aime beaucoup/bien」は、「もっと愛している」ではなく、友達などに伝える「君のことが(友達として)好きだよ」という意味でつかわれます。恋人に対して使うと、恋人だと思っていたけど友人と思われていたの!?とショックを与えてしまうことでしょう。
「aimer」の使い方やニュアンスはこちらの記事でも紹介しています。
フランス語の告白のセリフ
日本語でも告白する時に「好きです」とは言っても、「愛してます」と言うことがほとんど無いのと同様、フランス語でも「Je t’aime」と言うことはまずありません。
「aimer」のニュアンスを軽くしようと「Je t’aime beaucoup/bien」と伝えても、「Je t’aime bien aussi 私もあなたを(友達として)好き」と言われて、友達どまりで終わってしまうでしょう。
フランス語の「付き合ってください」
「Je t’aime」が告白に使えないなら、どうやって告白すればいいの?と思いますよね。そんなフランス語で、この人と付き合いたい!と思った時に口にするセリフとは…
Est-ce que tu veux sortir avec moi ?
「sortir」は「外出する」という意味ですね。「sortir avec quelqu’un」は「○○と外出する=デートする=付き合う」という意味でつかわれます。
つまり「Est-ce que tu veux sortir avec moi ?」は、相手に自分と付き合う意思があるかを尋ねているわけですね。
「○○と付き合っている」は「Je sors avec ○○」です。
フランス語の告白のポイントは、使うのが「Est-ce que tu veux ~?」であり「Je veux sortir avec toi 私はあなたと付き合いたい」という表現ではないこと。
「Est-ce que tu veux sortir avec moi ?」は直訳だと「あなたは私と外出(デート)したいですか?」。日本語に訳してしまうと、何言ってるのコイツ…なんで私があんたとデートしたいと思わなきゃいけないのよ!なんて思ってしまいますよね。
直訳だとなんだかなぁ、と感じてしまう表現ですが、フランス人的には「付き合ってください」の意味なので、悪いようにとらないようにしましょう。
「Est-ce que tu veux〜?」の使い方
フランス語では「自分がその人と○○したい」「自分が誰かに○○してほしい」という時に「Je veux~」ではなく、「~してくれませんか」と相手の意向を尋ねる「Est-ce que tu veux ~?」を多用します。
自分が○○したいと言うよりも、相手に委ねることで相手を尊重したりとマイルドな表現にすることができます。例えば…
Est-ce que tu veux aller au cinéma?
直訳だと「あなたは映画に行きたいですか?」。
こちらは本当は自分が映画に行きたいと思っていて、相手にあなたも映画行きたい?と聞いています。日本語だと「映画に行かない?」といった感じでしょうか。
「Est-ce que tu veux ~?」と言われた時に「相手がしたいと思っている」ことを理解できていないと、単純に自分がどうしたいか、を基準にして答えてしまいますよね。
もちろん自分がしたくない事には「non いいえ」と答えて良いのですが、相手がしたいと思っていることを理解出来ていれば、答え方も変わってくることでしょう。
もちろん文脈によっては、純粋にあなたが映画に行きたいのかを聞いている場合もあります。
Est-ce que tu veux faire le ménage de la cuisine?
直訳だと「あなたは台所の掃除をしたいですか?」。
自分がその人に掃除をしてほしいと思っている時にも、このように「Est-ce que tu veux ~?」は使えます。「台所の掃除をしてくれる?」という意味ですね。
こんな風に聞かれると、日本人的には「Non, je ne veux pas. いや、したくない」と答えたくなりますが…。
前述した通り「veux=vouloir ~したい」を使って質問していても、あなたが掃除したいかを聞いているわけではなく、聞きたいのは「掃除をするかどうか」です。
断るなら「vouloir」ではなく「pouvoir ~ができる」を使い、 「Désolé, je ne peux pas maintenant ごめん、今はできない」などと答える方が良いでしょう。
一緒外出したいだけの場合
告白に「sortir」を使うなら、ただ「友達を外出に誘いたい」時にどう言えばいいか悩んでしまうかもしれませんね。そんなときは「sortie 外出」を使って聞いてみましょう。
Est-ce tu veux faire une sortie?
おでかけしない?
この表現なら、告白と勘違いされることはありませんよ。
フランス語で告白の返事
自分が告白するだけでなく、告白されることもあるでしょう。あなたがその人と付き合いたいなら…
Oui, je veux bien.
はい、わたしもそうしたいです。
Merci, avec plaisir.
ありがとう、よろこんで。
告白されても、お断りしたいこともありますよね。そんなときは…
Merci, mais…
ありがとう、でも…
はっきり言わなくても、通常はこれだけでお断りの意思は伝わります。それでも諦めてくれない場合は、恋人がいるというと良いでしょう。
(男性の場合)Je suis désolé, j’ai une petite amie.
(女性の場合)Je suis désolée, j’ai un petit ami.
ごめんなさい、恋人がいます。
告白を断るとき注意したいのが、「Est-ce que tu veux ~?」と聞かれたからといって「Je ne veux pas」と答えないこと。とても強い拒否を感じさせるので、相手を無駄に傷つけることになってしまいますよ。
ただし上記の掃除の例文で紹介したように「je ne peux pas」と返事をしてしまうと、「付き合いたいけど、何か障害があって付き合えない」と受け取られる可能性があります。誤解を避けたいなら、この表現も使わないようにしてくださいね。
付き合っているか確認するフランス語
フランス人が好きな人に告白する時のセリフをご紹介しましたが、実はフランスでは付き合う時に明確な言葉が無いことも少なくありません。明確な告白がないまま距離が縮まり、気がつけば付き合っている状態だったということも。
しかし告白が無いと、自分たちは本当に付き合っているの?遊ばれているだけかも?など不安になってしまうこともありますよね。そんな時に付き合っているのか確認するには…
Est-ce que l’on est en couple?
私たちってカップルだよね?
Est-ce que je suis ta petite amie / ton petit ami?
私はあなたの彼女 / 彼氏?
Qu’est ce que je suis pour toi?
あなたにとって私って何?
Tu n’as pas quelqu’un d’autre?
他に誰かいないよね?
Je voudrais connaître ton sentiment pour moi.
あなたの私への気持ちが知りたい。
日本語なら「私たち、付き合ってるの?」と軽く聞けるのに、フランス語になるとどれも重い表現になりがちですね…。
ちなみに「付き合う」の表現に使う「sortir」を使った「Est-ce que tu sors avec moi?」は、「私と付き合う?」の意味になるため、付き合っているのかを聞くことはできません。
二人の関係をはっきりさせたい時は、回りくどい聞き方よりも、シンプルにこんな風に聞いてみるのもいいかもしれませんね。
Est-ce que tu m’aimes?
私のこと愛してる?
Moi, je t’aime. Et toi?
私はあなたを愛してる。あなたは?
必ずしも、愛している=付き合っている、となるわけではありませんが。曖昧な関係から恋人になるにしても、関係を清算するにしても、そのきっかけにはなることでしょう。
【曖昧な関係になった時の注意点】
フランス人と曖昧な関係になってしまった時、相手が外国人であることを関係が曖昧な理由にして、自分を無理に納得させないようにしましょう。
文化の違いや言葉の壁、フランス人と付き合っている特別感から、日本人が相手の場合は受け入れないような関係でも、ズルズルと続けてしまうこともあります。
相手が不安に感じているのに、それを無視して曖昧なままの関係を続けようとする人は、フランス人だろうが日本人だろうが、きちんと付き合う気がない人です。不安な気持ちがあるなら、フランス人フィルターを外して、きちんと相手を見極めるようにしてくださいね。
恋人に愛情を伝えるフランス語
告白では好きだと言わず、曖昧な表現を使うフランス人ですが、付き合いだしたらストレートに愛情表現をするようになります。フランス人は恋人やパートナーにどんな愛情表現をしているのでしょうか?
Je t’aime「好き・愛してる」
「好き・愛してる」とストレートに伝えるフランス語は「Je t’aime」。告白のセリフとしては使われない事をご紹介しましたが、恋人同士や夫婦間では普通に使われる愛情表現です。
「Je t’aime」は「baucoup とても」等の表現を付けると、友達などに使う「大好き」の意味になってしまい、恋人に向けた表現にならない事にはすでに触れました。
そんな「Je t’aime」を使ってもっと熱烈な愛情を表現したいと思ったら「Je t’aime à la folie」と言ってみましょう。「à la folie」は「熱烈に」という意味なので、「Je t’aime à la folie」で「熱烈に愛してる」と伝えることができます。
Je t’aime 以外の強い愛情表現
Je suis amoureux de toi.
あなたに恋している。
「Je suis amoureux(se) de toi」は「あなたに恋している」という表現です。「Je t’aime」は恋人だけでなく親や子供などの家族にも使う表現ですが、こちらは恋愛感情の「好き」に対してだけ使います。
Je suis fou de toi.
私はあなたに夢中。
「fou / folle」は「狂った」という意味ですが、「fou de ~」で「~に夢中な」という意味で使われます。「Je suis fou / folle de toi」は「私はあなたに夢中」という表現です。
Je ne pense qu’à toi.
あなたのことが頭から離れない。
「penser à toi あなたの事を考える」に「ne ~ que ~しかない」がついた「Je ne pense qu’à toi」は「あなたの事しか考えられられない」という表現です。
同じような意味で「いつもあなたの事を考えている」なら「Je pense à toi tout le temps」。「あなたのことが頭から離れない」なら「Je n’arrête pas à penser à toi」ということもできます
J’ai besoin de toi.
私にはあなたが必要です。
「besoin」は「必要」、「avoir besoin de ~」は「~が必要だ」。「J’ai besoin de toi」は「私にはあなたが必要です」という意味ですね。
あなたの助けが必要という場面でも使われる表現ですが、「自分が生きていくためにはあなたが必要」という強い愛情表現としても使われます。
Tu comptes beaucoup pour moi.
あなたは私にとってとても重要な人である。
「compter」は「数える」の意味でよく使われますが、「重要である」という意味もあります。「Tu comptes beaucoup pour moi」は「あなたは私にとってとても重要な人である」という表現です。
J’ai envie de toi.
あなたが欲しい。
「envie」は「切望・欲望」、「avoir envie de ~」は「~が欲しい」という意味です。「J’ai envie de toi」は「あなたが欲しい」ですが、これは「Hがしたい」という意味でつかわれます。
もっと直接的な表現では「faire l’amour Hする」を使った「Je voudrais faire l’amour avec toi あなたとHしたい」もあります。
「J’ai envie de toi」には、よく似た表現の「Je t’envie」があり、この「envie」は「envier 羨む・ねたむ」という意味の動詞です。「Je t’envie」と言ってしまうと「あなたが羨ましい」という意味になるので、愛の表現とは全く違ってしまいます。混同には注意してくださいね。
Je ne peux pas vivre sans toi.
あなたなしでは生きていけない。
「vivre」は「生きる」、「sans toi」は「あなたなしでは」。「Je ne peux pas vivre sans toi」は「あなたなしでは生きていけない」という強い愛の表現です。
日常で使える愛情表現
上記でご紹介したようなフランス語の愛情表現は、人によっては執着心が感じられて、口にするのを躊躇ってしまうこともあるでしょう。「Je ne peux pas vivre sans toi」や「J’ai besoin de toi」などは、別れ話の最中に愛する人を引き止めるには有効かもしれませんが…。
そんな重さを感じる愛情表現ではなく、日常的にも使いやすいフランス語の愛の表現も覚えておきましょう!
Tu me manque.
会えなくて寂しい。
「manquer」は「不足する」という意味ですが、「A manquer à B」だと「AがいなくてBはさみしい・恋しい」という意味になります。
「Tu me manque」は「君がいなくて(会えなくて)、私はさみしい」「君が恋しい」という表現です。「会えなくて寂しかった」と伝えたい時は、過去形にして「Tu m’as manqué」と言いましょう。
Je suis bien avec toi.
あなたと居るのが心地いい。
「Je suis bien」は「Tu vas bien? 元気?」と聞かれたときに、「元気です」の答えとして覚えている方も多いですよね。
ところがこの「Je suis bien」には、「元気」以外にも「心地良い」という意味があります。「Je suis bien avec toi」だと、「あなたと居るのが心地いい」「自然体で過ごせる」「一緒にいるのがしっくりくる」といった意味合いになります。
Mon amour
私の愛する人
こちらは愛を伝えるセリフではなく、愛する人に対する呼びかけとして使う表現。「mon 私の」「amour 愛、愛する人」という意味です。他にも「coeur 心臓、心」を使った「mon coeur」もよく使われます。
フランス語の恋人への呼びかけ方はバリエーションが豊富!詳しくはこちらの記事をご覧ください。
Bisou
キス
「Bisou」はキスのことですが、実際にキスするだけでなく、特に別れ際の挨拶にプラスして使われる単語。恋人との電話を切るとき、朝どちらかが家を出る時など。メールやSNSでのやりとりの最後に「Bisou」と書くこともあります。
恋人だけでなく、親しい友人や家族に対しても使う表現ですが、恋人間では欠かせない甘いやり取りの一つです。
フランス語で愛情を伝える際の注意点
フランス人は恋人への愛情表現を惜しまず、日常的に言葉や態度で愛情を伝えます。ここまでご紹介したような愛の言葉だけでなく、感謝の言葉や褒め言葉も惜しみません。
家族や友達とのハグや「bisou」などスキンシップに慣れているフランス人ですから、恋人への愛情を込めたスキンシップも日本人よりも多いのが当たり前。
そんなフランス人相手に、恥ずかしいからと愛情表現を出し惜しみしていると、あなたの恋人は不安になってしまう可能性があります。
もちろんむやみに愛の言葉を口にすれば良いという訳ではありませんが、日本人の感覚で「言わなくても分かっているだろう」と思っていると、愛想をつかされてしまうかもしれません。
「Je t’aime」や「Je suis amoureux de toi」など、直接的な愛の言葉を口にできないなら、せめて褒め言葉は惜しまないようにしてください!
フランス語の褒め言葉はこちらの記事でも紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
まとめ
好きな人に告白したり、恋人に愛を伝えるフランス語をご紹介しました。フランス人は日本人よりも愛情表現が激しいイメージがありますが、「Je t’aime」は告白に使わないのと同様、付き合い初めには口にせず、それ以外の愛の表現を使うことが多いようです。
フランス人の恋人から「Je t’aime」と言われるようになったら、それは二人の関係がより深まったという証かもしれません。