フランスで子供が現地校に通っている場合、欠席の連絡をする機会があるかもしれませんね。今回はフランス語ならどういうやり取りになるのか、電話やメールで欠席連絡する方法を見てみましょう。
フランスで子供の学校を休ませる際のコミュニケーション完全ガイド
目次
子供の欠席連絡:電話
子供が学校を休むときは、電話で連絡することが多いですよね。フランス語ではどんな風に伝えればいいのでしょうか。
実際の会話例
まずは子供の学校にお休み連絡をする場合の、フランス語の例文を見てみましょう。
École:Ecole AA, bonjour.
学校:AA学校です。おはようございます。
Madame Suzuki:Allô,bonjour, c’est Mme Suzuki à l’appareil, la mère de Mako Suzuki en classe de XX.
もしもし、おはようございます、鈴木と申します。XX(クラス)の鈴木真子の母です。
École:Ah, bonjour, MadameSUZUKI.
ああ、おはようございます、鈴木さん。
Madame Suzuki:Puis-je parler à Madame Rodin?
ロダン先生をお願いできますか?
École:Je suis désolé, elle est en salle de classe maintenant. Vous voulez laisser un message?
申し訳ありませんが、ただいま教室におります。何かお伝えしましょうか。
Madame Suzuki:Oui, s’il vous plaît. Aujourd’hui, Mako sera absente de l’école à cause du rhume.
はい、お願いします。本日、真子は学校をお休みさせていただきます。風邪をひきまして。
École:D’accord. Soignez bien votre fille.
わかりました。お大事になさってください。
【Vocabulaire】
(“<”記号以下は、もとの形(辞書に載っている形)を表しています。また、名詞の後の(m)、(f)は、それぞれ男性名詞・女性名詞を示しています)
- âllo:もしもし
- appareil (f):器具、機械、装置
- salle (f) de classe:教室
- laisser:残す、置いておく
- message (m):伝言、メッセージ
- sera:être の単純未来(3人称単数形)
- cause (f): 原因
- soigner:世話をする
欠席連絡の必須フレーズ
会話中に登場した、お休みの連絡に必須のフランス語フレーズを確認していきましょう。
C’est Mme Suzuki à l’appareil
「C’est ○○ à l’appareil」は「こちらは○○でございます」と電話で名乗るときの決まり文句。「appareil」はここでは電話の受話器の意味です。
電話の決まり文句ではありますが「à l’appareil」を省いて、シンプルに「C’est Mme Suzuki 鈴木です」と名乗っても問題ありません。
「appareil」を使った類似の表現に「Qui est à l’appareil?」 というのがあります。こちらは「受話器にいるのは誰ですか?=どちらさまですか?」と電話を掛けてきた人の名前を尋ねる表現です。
Puis-je parler à ~
「Puis-je parler à ~」は「~さんをお願いします」という意味。直訳すると「~さんとお話しできますか?」となります。
その後に「s’il vous plaît お願いします」を付けた方がいいか悩むかもしれませんが、付けても付けなくてもどちらでもOK。付けた方が若干丁寧ではありますが、付けなくても失礼な印象を与えることはありません。
「Puis-je」と「pouvoir」を使っているため、それだけですでに丁寧な印象を与えることができますよ。
【Puis-je parler à ~ 以外の表現】
他の方に電話を代わって欲しいときは、下記のような言い方もできます。
Pouvez-vous me passer à ~?
~に電話を回してください。
「passer à ~」は「電話をかける、電話をつなぐ/回す」という意味です。「Pouvez-vous me passer à ~?」は直訳だと「あなたは私を~に回してくれますか」となります。
Je voudrais parler à ~.
~と話したいです。
Est-ce que ~ est là?
~はそこにいらっしゃいますか?
学校には「secrétaire 秘書」がいて、その人が電話を取ってくれることも多いでしょう。そもそも欠席の連絡なら担任の先生に取り次ぎをせず、「secrétaire」が担任に伝えてくれる形式のこともあります。
学校に連絡するのではなく、校長先生が持っている学校用の携帯電話に欠席の連絡を入れてもOK、というところもあるようです。
Mako sera absente
「Mako sera absente」は「真子は欠席するでしょう」という意味。「absent」は「不在の、欠席の」という意味。真子は女性なので「e」を付けて「absente」の形になります。
「sera」は「être」の単純未来形・3人称単数形。当日の欠席連絡でも、電話をしているより少し先のことなので、未来系が使われています。
口語では未来を「aller+動詞の原形」の「近接未来」の形で表すことも多いですが、より一般的な未来時制はこの形で表します。
ただし休む当日の朝に連絡する場合は、連絡している時点と学校を休む時点にほとんど時差がないため、「Mako est absente」と現在系を使っても問題ありません。
【Mako sera absente 以外の表現】
欠席を伝えるフランス語表現には下記のようなものもあります。
Mako ne peut pas venir à l’école.
真子は学校に行くことが出来ません。
日本語では「学校に行く」と言いますが、フランス語では「venir 来る」を使う点に注意しましょう。
フランス語の「aller」と「venir」の使い方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
Mako restera à la maison.
真子は家に残ります。
「restra」は「rester とどまる」の未来系。「(今日は学校に行かずに)家にいます」と伝える表現です。「restra」の代わりに「reste」と現在形を使うこともできます。
à cause de ~
「à cause de ~」は「~のために、~のせいで」という意味で、原因を表す表現です。
学校をお休みする原因を入れて、先生に理由を説明しましょう。
- rhume (m):風邪
- douleur (f): 痛み
- COVID (f): コロナ
- grippe (f): インフルエンザ
- angine (f):アンギーナ(急性扁桃炎)
- maux (m) de tête:頭痛 ※mauxはmal(痛み)の複数形
- diarrhée (f):下痢
- gastro-entérite (f):胃腸炎
日本語だと「病気」を欠席の理由に挙げることが多いのではないでしょうか。この場合は病気=全ての体調不良というニュアンスですよね。
フランス語で「病気」を意味する「maladie」も日本語と同じように、体調不良というニュアンスで使うことができますし、もちろん重い病気の時にも使うことができます。
【à cause de ~ 以外の表現】
Parce que / Car elle est enrhumée.
彼女は風邪をひいているからです。
「Parce que~」も「Car ~」も「~だから」と理由を説明する接続詞です。「enrhumé(e)」は「風邪をひいている」という形容詞。「Elle est ~」の後には名詞の「rhume」の形では使えないので注意してください。
「Parce que~」や「Car ~」の後に続けるフレーズもいくつか確認しましょう。
Il/elle est malade.
彼/彼女は病気(調子が悪い)です。
形容詞の「malade 病気の」を使った「Il/elle est malade」も、重い病気から軽い体調不良まで、幅広く使うことが出来る表現です。
子供が学校を休むとき、風邪から腹痛まで、どんな体調不良もカバーしてくれるので、この一言を覚えておけば欠席の理由に困ることはありません。
具体的に症状を伝えるなら…
Il/elle a mal au ventre.
彼/彼女はお腹が痛いです。
Il/elle a mal à la tête.
彼/彼女は頭が痛いです。
Il/elle a mal au cœur.
彼/彼女は気持ちが悪いです。
「cœur」は「心臓」という意味ですが、「mal au cœur」は一般的に「気持ちが悪い、吐き気がする」という意味になります。もし本当に心臓が痛い場合は「douleur cardiaque 心臓の痛み」というと、吐き気と勘違いされずに済みます。
Il/elle a attrapé froid.
彼/彼女は風邪をひきました。
「attraper froid」は「enrhumé」を使わずに風邪をひいたことを伝える表現です。
「attraper」は「つかむ」という意味ですが「病気にかかる」という意味もあり、「froid」は名詞で「寒さ」を意味しますが「悪寒、寒け」の意味でも使われます。
子供の欠席連絡:メールやSMS
フランス語は話せても、電話で話すのは自信がないという方も多いのではないでしょうか。フランスの学校へ子供の欠席連絡をする際、電話ではなくメールやSMSで連絡することもできますよ。
SMSの場合は先生個人の番号ではなく、校長先生が持っている仕事用の携帯番号などに連絡を入れます。
電話連絡でも登場した鈴木さんを例に、欠席メールの例文を見てみましょう。
Bonjour, Madame Rodin
マダム ロダン、おはようございます。
Je vous préviens que ma fille Mako, en classe de XX, est absente aujourd’hui car elle est malade.
XXクラスの私の娘・真子は調子が悪いため、欠席することをお知らせします。
Elle y retournera demain si elle va mieux.
調子が良くなれば、明日は学校に戻ります。
Je vous préviendrai si elle est toujours malade.
もし(明日も)調子が悪ければ、前もってお知らせします。
Je vous souhaite une bonne journée.
良い一日をお過ごしください。
Madame SUZUKI
マダム 鈴木
インフルエンザなど、治るのに数日はかかるとわかっている場合はその旨を伝えておくと、毎日連絡をしなくて済みますね。
Ma fille Mako en classe de XX qui a la grippe, et ne peut pas venir à l’école pour quelques jours.
XXクラスの私の娘・真子はインフルエンザになったため、数日間学校に行けません。
Son retour sera dans ○○ jours,si ça se passe bien.
順調にいけば、○○日後に学校に戻ります。
Je vous ferai parvenir un certificat médical à son retour.
彼女が戻るときに、医者の診断書をお持ちします。
インフルエンザ以外にも、子供がかかりやすい病名も覚えておきましょう。
- varicelle (f):水疱瘡
- coqueluche (f):百日咳
- rougeole (f):麻疹
- oreillons (m):(複数形で)おたふく風邪
フランスでは子供の欠席連絡に、専用のアプリを使う学校もあります。そんな場合でも、メールの場合と同じような内容を書いて送ればOKですよ。
子供が欠席する際のキーポイント
連絡帳に保護者のサインが必要
子供が欠席する当日に学校に連絡を入れるのは日本と同じ。フランスではそれ以外にも「cahier correspondance 連絡帳」に病欠であった旨を記載し、親がサインをする必要があります。
このひと手間によって、子供が親のふりをして連絡し、学校をさぼるのを防ぐことができますね。子供が親に内緒で学校をさぼった場合は、学校から親に連絡が入ることでしょう。
「cahier correspondance」には「absence 欠席」を伝える用のページが付いているものもあります。 欠席者の名前や日時・理由・再登校する日を書き込み、切り取って渡せる形になっているものもあるので、特に文章を考える必要はありませんよ。
通常のノートを「cahier correspondance」として使用している場合は、上記と同じ内容を箇条書きなど記入すればOKです。
伝染病なら医者の診断書が必要
インフルエンザや水疱瘡など、周りにうつしてしまう病気にかかった場合、学校に戻るためには治ったとわかる「certificat médical 医者の診断書」が必要な場合があります。
「médecin traitant かかりつけ医」に出してもらった「certificat médical」を、登校初日に担任の先生に渡すようにしましょう。これを持たずに再登校しても、学校によっては帰らされてしまうので、忘れないようにしてくださいね。
「médecin traitant」は数日先まで予約がとれないことも多いため、治るであろう日の目星をつけて、早めに予約しておくのをおすすめします。
旅行などで休む場合
病気などで急に欠席するのではなく、旅行などで前もって学校を休ませることがわかっている場合もありますよね。
日仏カップルや日日カップルの場合は、子供の長期休みの前後を伸ばして、少し長めに里帰りをすることもあるでしょう。フランス人カップルの場合でも、長期休暇の前後は子供に学校を休ませて、バカンスに旅立つケースも少なくありません。
そんなときにも登場するのが「cahier correspondance」。お休みの理由と時期を記入して、子供に持たせればOKです。
Mako sera absente du 20 décembre au 10 janvier pour aller voir les grands-parents maternels au Japon.
真子は日本にいる母方の祖父母に会いに行くため、12月20日から1月10日までお休みします。
子供に学校を休ませて旅行に行くのは賛否が分かれますが…。子供だけでなく親もバカンスを重大視しているフランスでは、多少であれば問題視されません。
特に夏やクリスマス休暇の前は、休みに入る数日前から子供を休ませる親が多くて、教室はガラガラなんてこともあります。子供が少なすぎて、先生もきちんと授業をしない為、お休み前の時期は(勉強という意味では)行っても意味がないというフランス人もいます。
そんなフランスですから、外国にいる家族に会いに行くという理由で長期間休ませる場合でも、白い目で見られることはまずないといって良いでしょう。
欠席の理由をなんて書いたらいいんだろうと悩まず、本当のことを堂々と書くようにしてくださいね。
フランス語の文法ポイント:動詞の活用と使用例
「Mako sera absente」の中で「être」の未来系が登場しましたね。ここでは基本的な動詞の「直説法単純未来」の活用をおさらいしておきましょう。
【基本の活用】
主語 | 動詞の語尾 |
je | -rai |
tu | -ras |
il / elle | -ra |
nous | -rons |
vous | -rez |
ils / elles | -ront |
語幹の多くは動詞の原形の末尾の「r」もしくは「re」を除いたものとなりますが、例外的に不規則になるものもあります。「être」はこの不規則なグループに入ります。
【être の活用】
主語 | êtreの活用 |
je | serai |
tu | seras |
il / elle | sera |
nous | serons |
vous | serez |
ils / elles | seront |
【manger の活用】
規則的な活用の例も見ておきましょう。
主語 | manger の活用 |
je | mangerai |
tu | mangeras |
il / elle | mangera |
nous | mangerons |
vous | mangerez |
ils / elles | mangeront |
まとめ
フランスで子供が学校を欠席する場合の連絡方法について紹介しました。日本と違う点はありますが、電話だけでなくメールなど文面でもOKと分かると、少しハードルが下がるのではないでしょうか。
フランスで語学学校に通っている人が学校を休む場合にも、主語を「Je」に変えればOKなので、同じようにきちんと連絡してくださいね。