フランスで仕事を探しているとき、いざ気になるポストが見つかったら詳細を問い合わせて応募しなくてはなりません。今回はそういうシチュエーションを見てみましょう。
フランスで求人に応募しよう!仕事探しの必須単語とCVの書き方
目次
求人を見て電話しました
インターネットで求人に応募することが増えてはいますが、応募前に確認したいことが有る場合は、電話で問い合わせるのが便利ですよね。
急募の求人なら、電話することですぐに面接が決まることもあります。
会話
Taro:J’ai vu votre annonce dans le journal et je suis intéressé par ce poste. Puis-je poser quelques questions?
新聞で広告を拝見して、このポストに興味を持っています。いくつか質問してよろしいですか?
Homme:Bien sûr. Allez-y.
男性:もちろんです、どうぞ。
Taro:C’est une poste temporaire ou à durée indéterminée?
これは非常勤のポストですか、常勤ですか?
Homme:Temporaire.
非常勤になります。
Taro:De combien est le salaire?
給与はおいくらですか
Homme:11 euros 65 centimes de l’heure.
時給11,65 €ユーロです。
Taro:Est-ce que j’aurai des frais de transport?
交通費は支給されますか?
Homme:Non, ils sont inclus dans salaire.
交通費は給与に込みです。
Taro:Quand voulez-vous que je commence?
いつからの勤務をご希望ですか?
Homme:Dès que possible. Quand pouvez-vous commencer?
なるべくはやい方がありがたいです。いつから始められますか?
Taro:N’importe quand.
いつでも大丈夫です。
Homme:Envoyez votre CV. Vous avez l’autorisation de travailler?
ではまず履歴書をお送りください。労働許可はお持ちですか?
【Vocabulaire】
<記号以下は、もとの形(辞書に載っている形)を表しています。また、名詞の後の(m)(f)はそれぞれ男性名詞・女性名詞を示しています。
- annonce (f) 知らせ、通知、広告
- journal (m) 新聞、定期刊行物
- poste (f) 職、地位、ポスト
- poser 置く、提出する
- temporaire 臨時の、一時的な
- durée (f) 持続期間
- indéterminé 不確定の、不明確な
- salaire (m) 給与、賃金、サラリー
- frais (m、複数) 費用、経費
- inclus (<inclureの過去分詞) 含まれた
- dès ~から
- envoyer 送る
- CV (m)=curriculun vitae 履歴書
ポイント
Allez-y:どうぞ!
間投詞的に使って、「さあ、おやりなさい!」のように促す、強く勧める語感です。
à durée indéterminée:常勤の
英語でいう permanent と同じです。「temporaire」と並んで前の「une poste」を修飾している句です。
de l’heure:時給
実は、私の手持ちの辞書には「à l’heure」として見出しがある(そして「de l’heure」の見出しはない)のですが、インターネットなどで実際の用例を見ると、「de l’heure」の方が普通に用いられているようです。
ils sont inclus dans salaire:それは給与に込みになっている
「ils」は前の行の「des frais de déplacements」ですね。平たく言えば、別に交通費は出ない、ということ。「Il sont à votre charge それはあなたのご負担です」という言い方も出来ます。
Dès que possible:なるべく早く
英語の as soon as possibleですね。
例)Je vous contacte dès que possible. なるべく早くご連絡します
N’importe quand:いつでも
「N’importe +疑問詞」で、英語の any ~のような意味になることは以前にもご紹介していますが、その用法です。
例)J’irai n’importe où. 私はどこにでも行きます
フランスで仕事を探すときの必須単語
ここからは、求人広告をチェックするときや面接時に知っておきたいフランス語について、詳しく紹介します。
給料に関するフランス語
仕事をするとなると一番気になるのがお給料ですよね。まずはお給料に関するフランス語を確認していきましょう。
SMIC
「SMIC」とは「salaire minimum de croissance」の略語で「業種間一律スライド制最低賃金」のこと。読み方は「スミック」です。
- salaire 給料
- minimum 最小、最低
- croissance 成長、発展
「SMIC」は物価上昇率など様々な観点から、毎年改定されます。フランス全国で均一ではなく、海外県の「Mayotte」や年齢によっても金額は違います。
そして「SMIC」は、時間・月・年で金額が定められています。
- horaire 一時間当たりの
- mensuel 月毎の
- annuel 一年の
2024年4月時点でのフランス本土・大人の金額はこちらです。
Montant brut(額面) | Montant net(手取り) | |
---|---|---|
Smic horaire(時給) | 11,65 € | 9,23 € |
Smic mensuel(月給) | 1 766,92 € | 1 398,70 € |
Smic annuel(年給) | 21 203,00 € | 16 784,32 € |
時給の手取りが9,23ユーロ、1ユーロ160円計算だと約1500円、月給だと約223000円。悪くない給料のような気がしますが、物価も高いのがフランスです。実際のところ「SMIC」では、パリなどの都会で生活するのはかなり難しいでしょう。
【SMIC以下で働くのは禁止!】
「SMIC」は法律で決められた金額なので、これよりも少ない金額で人を雇うのは禁止されています。
きちんと書面で契約するような仕事先の場合は基本的に問題がありません。しかし口頭でのみのやり取りで契約書を作成しない職場の場合は「SMIC」よりも低いことがあります。
書面は「SMIC」だけどサービス残業させられて、実際は「SMIC」より低い給料になってしまう悪質なケースもあるとのこと。
きちんと「SMIC」の金額を確認してから、面接などに挑むようにしてください。
「SMIC」の金額はこちらで確認できます。
brut / net
そして「salaire」について確認するとき、気を付けて頂きたいのが「montant brut 額面」か「montant net 手取り」かということ。
「montant brut」は税金や社会保険料などを引く前の金額、「montant net」はそれらが引かれた後の手取り額です。
- montant 総額
- brut 総計の
- net 正味の
日本では「salaire」の話をするときに「montant net」について話すことも多いですが、フランスでは基本的に「montant brut」について話をします。
日本の感覚で「montant net」について話していると思っていたら実は「montant brut」のことで、いざ受け取ったら思っていたより少なくてがっかり…、なんてことにもなりかねません。
impot sur le revenu
ちなみに、上記の表の「montant net」は「impôt sur le revenu 所得税」が引かれる前の金額です。
- impôt 税金
- revenu 収入、所得
「impôt sur le revenu」は同じ「salaire」でも、家族構成や家庭全体の収入などによって変わるため、「montant net」には反映されていません。
面接で「montant net」をしっかり確認したのに、思っていたより少ないのであれば、「impôt sur le revenu」が引かれている可能性があるので、明細を確認してみてくださいね。
【所得税の源泉徴収と確定申告】
フランスでは2019年から「impot sur le revenu」の「prélèvement à la source 源泉徴収」が始まりました。
それまでは毎年の「déclaration des revenus 収入の申告」をしたうえで、翌年に「impot sur le revenu」を支払うシステムでした。
この「déclarationdes revenus」は日本の確定申告のようなものですが、会社勤めの人でも各自で申告する必要があるものです。
もちろんフランスに留学中の外国人も申告の義務があります。短時間のアルバイトだとしても、収入がゼロでも申告をする必要があるので、忘れないようにしてくださいね。
フランスで初めて「déclaration des revenus」をする場合は、こちらを確認してください。
雇用形態に関するフランス語
仕事を探すうえで、雇用形態を確認するのも大切です。日本とは雇用形態に対する感覚も違うので、必ず確認してくださいね。
CDI / CDD
雇用形態を確認するとき、一番重要なのが「CDI」と「CDD」。これも略語でそれぞれ「セーデーイー」「セーデーデー」と読みます。
CDI: contrat de travail à durée indéterminée
CDD:contrat de travail à durée déterminée
- contrat 契約
- travail 仕事
- durée 期間
- indéterminée 不確定の
- déterminée 明確な
「CDI」は期間が決まっていない「無期限雇用契約」、「CDD」は期間が決まっている「有期労働契約」のことです。会話中に登場した「poste temporaire」は「CDD」に該当します。
「CDI」と「CDD」は正社員かパート・アルバイトかという区分ではなく、単に契約期限の有無に関するものです。週や月の労働時間は多くても少なくても関係ありません。
日本のいわゆるパートやアルバイトでも、契約期間が決まっていなければ「CDI」。勤務時間が長くても、契約期間が決まっていれば「CDD」です。
「CDI」は「indéterminée」=「不確定」という単語が使われているため、何となく安定しない契約な気がしてしまいませんか?ところがこれは「期間が決まっていない=基本的にはずっと雇用」という意味なので、安定した契約になります。
フランスでは一度「CDI」で雇用してしまうと解雇するのがとても難しいため、長期での雇用を考えている場合でも「CDD」からスタートさせるのも一般的。勤務態度や成績を見て、良ければ「CDI」に昇格させるというパターンです。
まれに「CDD」の方が良いという人もいますが、安定した仕事を見つけたい気持ちはフランス人も日本人も同じ。「CDI」での雇用を目指して「CDD」の期間中は仕事に真面目に取り組むフランス人は多いようです。(残念ながらCDIになるとさぼり始める人も多いのですが…)
【CDDの期間と回数】
「CDD」の期間はケースによって違いはありますが、一般的には18か月が最長です。とはいえ実際の求人では、3~6か月程度の期間が多くなっています。
「CDD」は最長18か月を超えなければ2回まで契約更新できますが、3回目(もしくは18か月を超える場合)は「CDI」での契約が必要です。
temps partiels / temps pleins
「temps partiel / temps plein」は労働時間に関する表現です。
- temps 時間
- partiel 部分的な
- plein いっぱい、満ちた
フランスの法定労働時間は週に35時間。契約が週35時間であれば「temps plein」、つまり「フルタイム、常勤」ということですね。それ以下なら「temps partiel」、つまり「パートタイム」の勤務となります。
【フランスの正社員】
日本で正社員というときは、一般的に「CDI」かつ「temps plein」を指しますよね。
フランス語で正社員として働いているといいたいときには…
Je travaille en CDI à temps plein.
正社員として働いている(フルタイムの無期限雇用契約で働いている)。
【フランスのアルバイト】
日本のアルバイトやパートは、各種保険がついておらず、所得税以外に天引きされるお金がないことが多いですよね。
ところがフランスではどれだけ短時間・短期間の「CDD」であっても、「CDI」と同じように各種保険や年金を支払う必要があります。
そのため、厳密には日本人がイメージするアルバイトやパートは、フランスには存在しません。
学生などが数時間働いている場合でも、アルバイトという区分ではなく、「CDD」か「CDI」、かつ「temps partiel」という契約になり、各種保険に加入します。
ただし契約上の話ではなく、アルバイト的に少し働いているという表現は存在します。
Je fais des petits boulots.
アルバイトをする。
「boulot」は口語で「仕事」のこと。「petits boulots」というと、学生の短時間アルバイト的な働き方を想像させます。もちろんこの「petits boulots」にも「CDD」と「CDI」が存在し、保険や年金にも加入が必要です。
フランスの学生は勉学で忙しいため、働くのは長期休暇だけという人も少なくありません。特に夏休みの仕事のことを「job d’été」といいます。
「job」も口語で「仕事」のこと。「été」は「夏」という意味です。こちらは最初から夏の間と期間が決まっているので「CDD」になります。
Je cherche un job d’été.
夏のアルバイトを探している。
intérim
「intérim」は「代理期間、臨時雇用」という意味。いわゆる「派遣社員」を指し、こちらは日本と同じように期間が決まっている「CDD」です。
「intérim」の仕事は「agence d’intérim 派遣会社」で探すことが出来ます。日本でも派遣社員の雇用が増えているのと同様に、フランスでも増えているとのこと。
街の至る所でマンパワーやアデコなど、日本でもおなじみの「agence d’intérim」の支店を見つけることが出来ますよ。
仕事の面接で役立つその他の表現
Avez-vous de l’expérience dans ce domaine?
この分野でご経験はおありですか?
Votre ancien salaire était de combien?
前職の給与はいかほどでしたか?
Il y a une période d’essai de trois mois.
3か月間の試用期間があります。
Est-ce qu’il faut faire des horaires supplémentaire?
残業はありますか?
Je ne peux travailler que *18 heures par semaine, car je suis étudiant(e) de nationalité étrangère.
外国籍の学生なので、週に18時間しか働けません。(*厳密には年に964時間)
Je suis autorisé(e) à travailler, car je suis marié(e) avec un(e) français(e).
フランス人と結婚しているので、働くことが出来ます。
J’ai un titre de séjour qui m’autorise à travailler.
労働許可付きの滞在許可書を持っています。
C’est quelle date le jour de paye ?
給料日は何日ですか?
Est-ce que j’ai les droits aux tickets restaurant ?
チケ・レストランは利用できますか?
チケ・レストランとは会社の福利厚生の一つで、従業員の食費を一部負担するシステム。詳しくはこちらをご覧ください。
フランス語のCVの書き方
フランスの「CV 履歴書」には、日本のようにある程度決まったフォーマットがあるわけではありません。
好きな形式で書けばよいのですが、逆にその職にアピールするように書かなくてはなりません。求職者にとっては最初の難関ですが、自分とポストをよく考えるにはよいステップのように思います。
会社によっては「un formulaire de candidature」と呼ばれる、一種のエントリーシートのようなものがある場合もあります。
- formulaire 申込用紙、質問用紙
- candidature 立候補
フランス語のCVの書き方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
まとめ
フランスの求人に応募する方法や、知っておきたいフランス語単語を紹介しました。
留学やワーキングホリデーでフランスに行く場合、語学上達のためにもできればフランス人に囲まれた職場で働きたいものです。
まずは求職に必要な基本単語を覚えて、応募したいと思える仕事を見つけてくださいね。
※全て2024年4月の情報です。