日本とフランスのことわざ:面白い類似点と相違点

    1. フランス語会話・勉強

    日本とフランスのことわざ:面白い類似点と相違点

    「時は金なり」「猫に小判」-古くから伝わる教訓や知識を含蓄する「ことわざ」は、日常的に使われる頻度がとても高いフレーズですね。

    今回はフランス語のことわざを日本のものと比較しながら見てみましょう。

    日本と共通のことわざ

    フランスにも勿論、沢山のことわざ・慣用句がありますが、中には日本と共通のものも少なくありません。例えば、

    Le temps,c’est de l’argent.

    時は金なり

    • temps   (m)時、時間
    • argent  (m)金

    このことわざはアメリカの政治家ベンジャミン・フランクリンの言葉 « Time is money »の翻訳と言われています。

    冠詞の用法にちょっと注目してみましょう。ここでは「時、時間」という漠然とした概念が、「その長さに応じたいくらかのお金」という数えられる尺度に置き換えられています。

    そのため「時というもの」「時とは」のように「概念・集合体」としての“時”には定冠詞が、数えられる尺度としての“(いくらかの)お金”には部分冠詞が付いています。

    Jeter des perles aux pourceaux.

    豚に真珠を投げる=その価値が分からないものに貴重なものを与えても無意味であること

    • jeter ~を投げる
    • perle  (f.)真珠
    • pourceau  (m.)豚  *文章的な語

    日本語の「豚に真珠」と同じですね。このことわざは聖書の中のキリストの言葉「豚の前に、真珠を投げてはなりません。

    それを足で踏みにじり、向き直ってあなたがたを引き裂くでしょうから」がルーツとなっています。

    日本と良く似たことわざ

    フランスにあるコインの山の上に置かれた金色の貯金箱。

    日本のことわざとよく似ているけどちょっと違う、そんな言い回しも沢山あります。まずは先ほどの「豚に真珠」の別バージョン。

    Donner de la confiture aux cochons.

    豚にジャムを与える

    • donner A à B  AをBに与える
    • confiture  (f. )ジャム
    • cochon  (m.)豚

    Acheter un MacPro pour une utilisation occasionnelle, c’est donner de la confiture aux cochons!”

    めったに使わないくせにMac Proを買うなんて、まるで豚に真珠だね」のように使います。

    • acheter ~を買う
    • utilisation (f.)使用
    • occasionnel,-elle たまの、偶然の

    Vendre la peau de l’ours avant de l’avoir tué.

    熊を殺す前にその皮を売る

    • vendre ~を売る
    • peau (f.) 皮、皮膚
    • avant de ~ ~する前に
    • ours (m.) 熊
    • tuer ~を殺す

    日本語の「とらぬ狸の皮算用」とそっくりですね。フランスには狸という動物はいないため「熊」なのでしょうか?

    avant de l’avoir tué」は「不定詞の複合形」と呼ばれる形です。

    本来なら「vendre la peau de l’ours après l’avoir tué」「熊を殺した後でその皮を売る」ところを、「それが完了“する前に”」という不可能な行為であることを表しています。

    • après avoir +過去分詞  ~した後で

    Noire géline pond blanc œuf.

    黒い雌鶏が白い卵を産む

    • noir,-e 黒い
    • géline (f.) 雌鶏
    • pondre (卵)を産む
    • blanc,blanche 白い
    • oœuf  (m.)卵

    日本語では「鳶が鷹を生む」と言うところを、フランス語ではこのように言うのですね。

    ちなみに、「鳶が鷹を…」とは逆のことわざもありますね。

    フランス 赤いサーフボードを持ってビーチを歩く男性と少年。

    「蛙の子は蛙」、「瓜の蔓になすびは生らぬ」。これらはフランス語で « Tel père,tel fils»(この父にしてこの子あり)、 «D’un sac à charbon ne peut sortir blanche farine»(炭の入った袋から白い粉は 出ない)という言います。

    二つ目のフレーズの主語は「farine」 で、動詞と倒置されています。

    • teltelle このような
    • père (m.)父
    • fils (m.)息子
    • sac (m.)袋
    • charbon (m.) 炭
    • sortir (de…) (~から)出る
    • farine (f.)粉、小麦粉

    Il n’est si méchant pot qui ne trouve son couverture.

    ふたが見つからないほどひどい壺はない=誰にでも相応の相手は見つかるものだ

    • Il est … ~がある*文章的な語表現
    • méchant,-e  ひどい
    • pot (m.) 壺、鍋
    • si 形容詞+名詞 qui … …するほど~な(もの)
    • trouver 見つける
    • couverture (f.) 蓋

    冒頭のIl est …は「彼は~だ」ではなく、文章語で「~が存在する(=il y a)」という意味です。(il は非人称のil)。

    何とこれは、日本語の「割れ鍋に綴じぶた」とそっくりですね!

    「割れ鍋に綴じぶた」(「綴じぶた」とは「(壊れて)修繕したふた」という意味)は、江戸時代のいろはかるたの一つです。

    「割れた鍋にも相応の相手は見つかる、または似た者同士が一緒になるとうまくいく」ということわざです。

    【ことわざはそのまま覚えよう】

    日本語でもフランス語でも、ことわざにはしばしば文語的な言い回しが使われているため、冠詞の省略や倒置があって分かりにくいこともありますね。

    そのまま覚えてしまうことをお勧めします!

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