シモーヌ・ヴェイユという女性をご存知でしょうか。フランスの有名な政治家の1人で、2018年7月1日に偉人を祀るパンテオンに埋葬されました。
彼女の功績とはどんなものなのでしょうか?
パンテオンに合祀
会話
Hanako : J’entends beaucoup parler de Simone veil ses derniers jours.
ここ何日か、シモーヌ・ヴェイユの事を話しているのを良く耳にするわ。
Il se passe quelque chose ?
何かあるの?
Marie : Le Président Macron a annoncé sa panthéonisation lors de son décès.
マクロン大統領が、彼女が亡くなった時にパンテオンに埋葬することを発表したの。
Et il s’approche le jour de l’inhumation annoncé.
埋葬するって発表されている日が近づいているのよ。
Hanako : Qu’est-ce qu’elle a fait pour avoir l’honneur d’entrer au Panthéon ?
パンテオンに入る名誉を得るなんて、彼女は何をしたの?
Marie : Elle s’est battue pour le droit des femmes, notamment pour la loi sur l’interruption volontaire de grossesse appelée « loi veil ».
女性の権利のために戦ったのよ。特に«ヴェイユ法 »と呼ばれる自発的中絶を認める法律とかね。
ポイント
panthéonisation
「Panthéon」とは国の偉人を祀る霊廟のこと。「panthéonisation」とは、生前の功績が認められ「Panthéon」に祀られることを意味します。
他にもや動詞形で「pantéoniser」といったり「entrer au Panthéon パンテオンに入る」という言い方もされます。
inhumation
「inhumation」とは「埋葬」を意味します。日本語で埋葬というと地中に埋め葬ることを指しますが「Panthéon」に「安置」されるなどの場合にも使われます。
シモーヌ・ヴェイユとヴェイユ法
「Simone veil」は1927年生まれのフランスの政治家です。
第二次世界大戦下でドイツのアウシュビッツに収容された過去を持ち、解放された後、パリ大学等で法律を学んでいます。
女性の権利や自立が現在のフランスのように認められていなかった時代に、男女平等のために戦い強い賞賛を集めた女性です。
「Valéry Giscard d’Estaing」の元で保険相を務め1975年に成立した「loi veil ヴェイユ法」と呼ばれる自発的な妊娠中絶合法化に尽力しました。
ほぼ男性で構成された当時の「Assemblée national 国民議会」で行われた彼女の演説を見てみましょう。
Je le dis avec toute ma conviction :
確信を持って言います:
l’avortement doit rester l’exception, l’ultime recours pour des situations sans issues.
堕胎は例外でなくてはなりません、出口のない状況下での最後の手段として。
Mais comment le tolérer sans qu’il perde ce caractère d’exception, sans que la société paraisse l’encourager ?
では、例外という性質を失わず、社会がそそのかすことなく、どのようにそれを許容することが出来るのでしょうか?
Je voudrais tout d’abord vous faire partager une conviction de femme,
まず、女性の信念を共有してもらいたいと思います。
je m’excuse de le faire devant cette Assemblée presque exclusivement composée d’hommes :
ほぼ男性のみで構成されたこの国民議会で、これを行うことに謝罪します。
aucune femme ne recourt de gaieté de cœur à l’avortement.
堕胎を喜んで行う女性は1人もいません。
Il suffit d’écouter les femmes.
女性の声を聞けば分かります。
C’est toujours un drame et cela restera toujours un drame.
それは常に悲劇であり、悲劇であり続けます。
C’est pourquoi, si le projet qui vous est présenté tient compte de la situation de fait existante, s’il admet la possibilité d’une interruption de grossesse,
あなた方に提出されたこの法案が実際に存在する状況を鑑み、妊娠中絶を可能にするとしたら、
c’est pour le contrôler et, autant que possible, en dissuader la femme.
それは妊娠中絶をコントロールし、可能な限り女性にそれを思いとどまらせるためなのです。
当時のフランスは、母体の危険を伴う妊娠の場合の中絶は認められていましたが、それ以外の中絶は犯罪とされている時代でした。
そのため望まない妊娠をした場合は、心身ともに危険で辛い非合法の中絶を行うしかありませんでしたが、この「loi veil」は「volonté de la mère 母親の意思」による妊娠中絶を可能にしました。
彼女の功績はフランスにおける女性解放の大きな一歩として、今後も語り継がれることでしょう。