日本のお盆のようにフランスにも皆がお墓参りに行く日があります。そしてその日にお供えするのは日本同様に菊の花が人気です。
今回はそんなフランスのお墓参りについて覗いてみましょう。
目次
お墓参りと菊の花
花屋の前を通りかかった花子さん、たくさんの菊の鉢植えを目にしてマリーさんに質問をしているようです。
会話
Hanako : Il y a beaucoup de chrysanthèmes en pot. Vous l’aimez, les français ?
鉢植えの菊が沢山あるわ。フランス人って菊が好きなの?
D’ailleurs, je ne vois pas souvent chez quelqu’un…
でも人の家ではあまり見かけないんだけど…
Marie : Ils sont destinés à la visite au cimetière à la Toussaint.
諸聖人の祝日にお墓参りに行く用の菊よ。
Hanako : Ah oui ? Au Japon aussi, on dépose souvent des chrysanthèmes sur la tombe, mais pas en pot, et souvent jaune ou blanc.
そうなの?日本でもお墓に菊を備えるけど、鉢植えじゃないし、だいたい黄色か白なのよ。
Marie : Si tu vas au cimetière à cette période, tu vois beaucoup de gens avec des pots de chrysanthèmes bien colorés.
この時期に墓地に行くと、カラフルな菊の鉢を持った沢山の人を見かけるわよ。
En plus, cette fleur résiste au froid en Novembre.
その上、この花は11月の寒さに耐えてくれるからね。
ポイント
en pot
「pot」は「つぼ・瓶」のこと。「pot de confiture ジャムの瓶」というように使いますが「植木鉢」のことも意味します。
「pot à fleure」だと「植木鉢」、「fleure en pot」だと「鉢植えの花」となるので、前置詞や名詞の並びに気を付けてくださいね。
ちなみに子供のおまるもフランス語では同じく「pot」と呼びます。ジャムの瓶や花瓶とおまるが同じ単語だなんて面白いですね。
le cimetière
「cimetière」は「墓地」のこと。「ère」で終わる名詞は女性名詞が多いのですが「cimetière」は男性名詞なので要注意です。
la tombe
「tombe」は「墓・墓穴」のこと。「(誰かの)お墓参りに行く」は「aller fleurir à la tombe (de qn)」や「aller se recueillir sur la tombe (de qn)」といいます。
「fleurir」は「花で飾る」、「se recueillir」は「黙祷する」の意味です。
フランスのお墓参りの日
Toussaint
フランスの11月1日は「Toussaint」というカトリックの祝日です。「tous 全ての」「saint 聖人」つまり「全ての聖人」の祝日で、日本語だと「諸聖人の祝日・万聖節」と呼ばれます。
フランス人にとって「Toussaint」はお墓参りに行く日。日本人がお盆にお墓参りに行くように、普段はお墓参りに行かなくても年に一度この日には行くというフランス人も多いようです。
fête des morts
でもカトリックの聖人を祝う日になぜお墓参り?と疑問に思いませんか?
実はフランスでは「Toussaint」の翌日が「fête des morts 死者の日」なのですが、この日は残念ながら祝日ではありません。
そのため前日の祝日である「Toussaint」にお墓参りに行く習慣ができたといわれています。
菊の鉢植え
菊は切り花ではなく鉢植え
フランス人が「Toussaint」のお墓参りに持っていくのは「chrysanthèmes en pot 菊の鉢植え」です。
切り花でなく鉢植えをお供えするのがフランスの主流で「Toussaint」の日の墓地の周りには、鉢植えの菊を売るお店が出没するほど。
もちろん花屋の店先にも、この時期にはたくさんの「chrysanthèmes en pot」が並びます。
色とりどりの菊
フランス人がお墓参りに持っていく菊の花は色とりどり!黄色や白だけではなく、ピンク・ボルドー・オレンジ ・バイオレットと暖色系カラーも人気のようです。
全体が丸いシルエットになるよう整えられたカラフルな菊が並ぶ様は、日本のお墓の風景とは違ったかわいらしさまで感じさせます。
パリにはきれいに整備された有名な墓地が幾つかあるので、11月頭にパリ旅行するなら、一目見に行ってみるのも良いかもしれません。
ただし故人を偲ぶ場であることを忘れないよう、観光とはいえ礼節をわきまえ訪れるようにしてくださいね。