アンディーヴと聞いて思い浮かべるのはいったいどんな野菜でしょうか。実は日本人とフランス人が思い浮かべる野菜は全くの別物なのです。
今回はそんなフランスの冬野菜・アンディーブについて覗いてみましょう。
大量のアンディーブ
今日の花子さんとマリーさんは電話中。どうやらマリーさんがお裾分けしたくて電話をかけてきたようです。
会話
Marie : Est-ce que tu veux des endives ? J’en ai acheté 5 kilos au marché ce matin.
アンディーヴいらない?今朝マルシェで5キロ買ったの。
Hanako : 5 kilos ? Ça fait beaucoup de quantité de salade !
5キロも?それはかなりの量のサラダになるわね。
Marie : Ah, non, ce ne sont pas la salade, ce sont des endives.
あら、いいえ、サラダじゃないわ、アンディーブよ。
Tu te trompes souvent avec la chicorée frisée.
あなたいつもチコリと間違えるわよね。
Hanako : Oui, je vois, je me trompe encore !
ああ、そうだった、また間違ってしまった!
Enfin, je veux bien des endives, s’il te plaît.
ええっと、アンディーヴ欲しいわ、お願いします。
Marie : Ok. Je passe chez toi tout à l’heure.
OK、後であなたの家に行くわね。
Hanako : Merci ! Comme il fait froid, je ferai des endives gratin ce soir.
ありがとう!寒いから今晩はアンディーヴのグラタンにするわ。
フランスのアンディーヴ
フランス語の「endive」は日本でいうところの「チコリ」のこと。全体的に白くて先端がきゅっと締まり薄緑色をしている野菜のことです。
シャキシャキとした触感を活かしてサラダに入れたり、一枚一枚をはがすと船形になるのを活かしてオードブルの盛り付けに使ったりしますよね。
この「endive」はフランスの代表的な冬野菜の1つで、逆に夏にはスーパー以外では見かけることがありません。
「endive」が白いのは、地下栽培であったり露地栽培でも葉が緑にならないよう土を被せながら育てているから。そのお蔭で、ほとんどの葉野菜が育たない冬でも栽培できるというわけです。
普段マルシェで生産者から野菜を買うときは量り売りが基本ですよね。
ところが「endive」は量り売りももちろんありますが、5キロ単位など大量の「endive」を箱売りしていることが多いのも特徴的です。
フランスのチコリ
フランス語の「endive」はチコリのことですが、会話中で花子さんが何と勘違いしていたかというと「chicorée frisée キクジシャ」です。
これはサラダの1種で、葉が強く「frisée」つまり縮れているのが特徴です。
「endive」と「chicorée frisée」の外見は全く似ていないのですが、「chicoré」のフランス語発音は「シコレ」なので、チコレとよく似ていますよね。
しかも この「chicorée frisée 」は日本では「エンダイブ(endive の英語発音)」と呼ばれるので、日本人からすればとても紛らわしい名前となってしまうわけです。
ちなみにこの「chicorée frisée」の呼び名は「chicorée」だったり「salade frisée」「frisée」と呼ばれることもあります。
ただ「chicorée」というと「chicorée」の根を使ったタンポポコーヒーのような飲み物を指すこともあるので、何とも紛らわしいですね。
フランス式アンディーヴの食べ方
さてそんなアンディーブは生食することもありますが、フランスでメジャーなのは火を通す食べ方です。
例えばたっぷりのバターでくたくたになるまで煮込んだ「endives braisées」はキャラメリゼされた「endive」の甘みとほろ苦さが絶品です。
(バターで「焼く」のではなく「煮る」のがポイント!)
また「endive」にハムを巻き、ベシャメルソースとチーズをかけてオーブンで焼き上げた「endives gratins」は「endive」の代表的かつ人気の高いレシピです。
若干の苦みはありますが、それが「endive」の魅力の1つ!炒め物や汁物の具(フランスではポタージュにも使います)にも使えますよ。
冬に旬のアンディーブが大量に手に入ったら、ぜひ生食以外に加熱料理にも挑戦してみてくださいね。